小樽グルメといえば、お寿司やあんかけ焼きそばが有名。でも、寒い季節は、熱いラーメンが食べたくなりませんか? 近年は外国人観光客にも大人気のラーメン。スープはもちろん、麺や具材にこだわる「小樽の個性派ラーメン店5選」をご紹介します。
目次
フルコースのような一杯
らあめんとおばんざい 麺乃夢恋
札幌から車で小樽に来るなら、ぜひ訪れてほしいのが国道5号線沿いにある「らあめんとおばんざい 麺乃夢恋(めんのむこう)」。店主の荒木麻美さんは東京のイタリア料理店でパティシエとして働いていましたが、「日常的なお惣菜である、おばんざいの店を持ちたい」という高校時代からの夢を叶えたいと地元に戻り、2018年に店をオープンしました。
なぜ、パティシエなのにおばんざいの店なのか? じつは麻美さんは子どものころ、あまり家庭料理を作ってもらった記憶がなく、「おふくろの味」を知らないどころか、まったく料理ができないまま19歳で結婚。最初は料理本を見て基礎から勉強し、その後、各地の様々な店の味を食べ歩きしながら自ら作ってみる…を繰り返すうちに、数々のおばんざいレシピをものにしました。
ただ、おばんざいだけでは店が成り立たないと、同時に研究をしたのが、煮干しスープをもとにしたラーメン。じつはこのスープも、食べ歩きで立ち寄ったそば店の「かえし」にほれ込み、「このかえしでラーメンを作りたい!」という熱い思いが原点というから驚きです。自分なりのアレンジを加え、試行錯誤の末に完成したのが、看板メニューであり一番人気の「煮干し中華そばしょうゆ」。化学調味料を一切使わない「完全無加調」のスープに、コリコリとした食べ応えあるメンマ、シャキシャキの刻み玉ねぎ、低温で作られたトロトロチャーシューと、こちらもトロリ感がたまらない味玉、そしてこだわりのストレート麺。それぞれがしっかりと自己主張しながらも見事にマッチしており、「一杯のラーメンを、フルコースのように食べてほしくて」という思いどおりの、大満足の一杯になっています。
もちろん、夜に提供される麻美さん自慢の日替わりおばんざい(水曜~土曜日のみ提供)も大人気。夕方以降に来店の際は、ラーメンとともにチェックしてみてくださいね。
住所/小樽市春香町361-1 |
電話/0134・65・7059 |
営業時間/日曜・月曜:午前11時~午後5時/水曜~土曜:午前11時~午後9時 |
定休日/火曜(他にも不定休あり) |
駐車場/共用20台(敷地内どこでも可) |
濃厚でまろやかな鶏白湯
麺処 龍仁
2013年創業、18年に現在の場所に移転オープンした「麺処 龍仁(たつじん)」さんは、素敵なご夫婦が切り盛りするラーメン店。しかし、移転オープンしてすぐにコロナ禍となり、非常に苦労されたそうです。
「でも、お客様の9割が小樽市民で、創業当時からの常連さんがお昼に食べに来てくれました」とご主人の鈴木恵祐さん。また、奥さんの美雪さんも「コロナ禍でしたが、開店10周年だったので、大きな食のイベント「オータムフェスト」に初出店したんです。そこで、札幌のお客さんにうちの店を知ってもらえたのも大きかった。イベントは大忙しで大変でしたけど、挑戦してよかったです」と語ります。
そんな「龍仁」のイチオシであり、イベントでも大人気だったのが「濃厚鶏白湯らーめん」。鶏と野菜を9時間コトコトと煮込んだ鶏白湯スープがベースになっていて、ややとろみのある白濁スープは、濃厚でとってもまろやか。いりごまを更に炒って、香ばしくしてからすった「すりごま」のいい香りが鼻をくすぐります。イベントで食べたお客さんからも「いろいろな鶏白湯ラーメンを食べてきたけれど、こんなの初めて!」と大絶賛されたそうですよ。途中から、ラー油などを入れて「味変」して食べるのもおすすめです。
また、「龍仁」のラーメンは、すべて「熟成麺」と「新生麺」の2種類から麺を選べるシステム。そのほかにも、埼玉出身のご主人が「ちゃんぽん食べたいけど小樽にないから、自分で作っちゃえ」とメニュー化した「俺のちゃんPONめん」や、小樽の名物「あんかけ焼きそば」も大人気だそう。1つの店でいろいろな種類の「麺」を楽しめるのも、西山製麺の麺が自慢の「龍仁」だからこそ。ぜひ、各種メニューをお試しくださいね。
住所/小樽市入船4丁目7-8 |
電話/0134・21・2480 |
営業時間/午前11時~午後3時、午後5時~8時 |
定休日/水曜 |
駐車場/12台 |
情熱を注いだこだわりの麺
らー麺 京や
「らー麺 京や」店主の松原大輔さんは、2006年に「京や」の店長となりますが、当時はまったく違う味のラーメンを作っていました。しかし、札幌の有名店「麺EIJI」の店主・古川さんと出会ってラーメンの奥深さを知ることになります。「師匠に習ったようにやっても、湿度や温度、保存場所が違うと教わったような麺にならない。できるまで、いろいろな小麦を試しながら、何千回も麺を打ちました」という松原さん。
そうやって生まれた「京や」の麺は、現在、道産の「はるきらり」「春よ恋」「きたほなみ」「ゆめちから」を主力に、何種類もの小麦をブレンドして作られています。京やの製麵部門・工場長の西川さんは、小麦を触るとすぐに状態がわかるそうで、都度、水分や塩の量を変えて製麵しているそう。同じメニューであっても、じつはどんどんと麺が変化し、進化しているんです。
「京や」の製麵への情熱とこだわりは、市内各店にも伝わり、中華に限らず、イタリアンやすし店などからも麺づくりの依頼が来ています。自分の店で使う麺も含めると、年間20種類以上の麺を新たに生み出すというのですから、その麺づくりへの情熱には驚きます。
もちろん、スープにも手を抜くことはありません。「通常の店が使う4倍近い豚骨や鶏ガラ、煮干しを使ってスープを取ります。原価はかかりますが、このスープじゃなきゃダメなんです」と語る松原さん。「京や」では、「豚骨スープ」「鴨スープ」「乾物を使った和風だし」の3種のスープを取り、メニューごとにスープをブレンドしながら、化学調味料を使わずに仕上げています。
一番人気の「魚介豚骨醤油」は師匠から習った味をベースに、松原さんのアレンジを加えたラーメン。EIJIの味を知る人も、京やの工夫を感じてみてください。超人気店のため特に土日は行列必須ですが、「並んでも食べたい味」に、今日も多くの常連さんが足を運んでいます。
住所/小樽市稲穂3丁目4-15 |
電話/0134・27・0036 |
営業時間/午前11時~午後3時(L.O.午後2時45分)、午後6時~8時30分(L.O.8時15分) 日曜のみ 午前11時~午後5時(L.O.4時45分) |
定休日/毎週水曜、第3火曜 |
駐車場/6台 |
味も値段も優しい一杯
支那そば 愛幸
小樽出身のご主人・横手将人さんが9年前にオープンした「支那そば 愛幸(あいこう)」。栄養士として青森で勤めたのち、東京、仙台と移住しましたが、仙台の地で、とあるラーメン店の味にほれ込み、そのまま約30年も勤めることになったそう。しかし、2011年の東日本大震災で店が全壊。働く場所がなくなり、生活も一変してしまいました。
その後、地元の小樽に戻り、ラーメン店をオープン。一番人気の「支那そば 正油」は、仙台の店と同じ、山形の醤油を使用しています。サバやカツオの削り節に昆布、野菜をたっぷり使ったスープは、あっさりしているのに味わい深く、子どもからお年寄りまで愛される優しい味になっています。
そんな手間暇かけたラーメンにも関わらず、平日限定ランチは、支那そば正油に小ライス、小鉢がついて700円。さらに、同じく平日限定のかけラーメンとミニカレーの「ワンコインランチ」や、土日も含む朝6時からの「朝ラー(正油のみ)」は、なんと500円! 安すぎませんか!?との問いに「ラーメンは、中高生が自分のおこづかいで食べられる値段にしたい」と横手さん。安くてボリュームもあるので、男性の常連さんが毎日やってくる人気店なのも納得です。
そのほか、酒かすと生姜が入っている「みそっかすラーメン」や、餡がかかっている「あんかけラーメン」も、生姜がたっぷり入っていて温まるので、寒い季節は特におすすめです。
そして、こちらも人気というのが「豚足」。コリコリとした食感がたまらず、スープで煮込まれ味がついているので、そのままでおいしくいただけます。数量限定ということもあり、コアなファンには「今日は何本あるの?」と聞かれる隠れた人気メニュー。ぜひ、ラーメンと共に味わってみてください。
住所/小樽市稲穂5丁目9-2 |
電話/0134・64・5522 |
営業時間/午前6時~7時30分(朝ラーメンのみ)、午前11時~午後2時30分、午後5時~7時 |
定休日/毎週月曜、第1・3火曜 |
駐車場/5台 |
冬のおすすめ「ホルモンラーメン」
おたる 蔵屋
1988年創業、JR南小樽駅から徒歩3分の場所にある「おたる 蔵屋 総本店」。駅からのアクセスの良さと、メルヘン交差点など観光スポットに近いこともあり、市民のみならず、観光客も多く訪れている人気ラーメン店です。
蔵屋 総本店のスープは、煮干しベースの豚骨スープ。じつは、2020年12月、JR小樽駅前の長崎屋内にオープンした「蔵屋 長崎屋小樽店」では、豚骨ではなく煮干しベースの「牛骨スープ」を使用しており、同じ蔵屋のメニューでも、店によってスープが違うんです。ちなみに、豚骨は「こってり」、牛骨は「あっさり」ということなので、味の好みでどちらに行くか選ぶのもいいかもしれません。
豚骨スープで作る総本店の一番人気は、「トロチャーシュー麺」。やわらかいチャーシューは、地元のお客様はもちろん、肉を好む外国人観光客、特にアジア圏の方にも大人気だそうですよ。そして、とくに冬におすすめという一品が「ホルモンラーメン」。ピリ辛の味噌ベースのスープがホルモンとの相性抜群で、ポカポカと体が温まります。もちろん、こちらのホルモンラーメンも「総本店」は豚骨、「長崎屋店」は牛骨スープなので、食べ比べてみるのも楽しいかもしれませんね。
また、ラーメン店にも関わらず、創業時から人気というのが寿司桶に入ったカレーライス。特に、ボリュームたっぷりの「カツカレー」は本店限定です。ラーメンもカレーもどっちも食べたい…という方は、ミニカレーとラーメンの「南樽セット」もありますよ。お腹いっぱい食べたい方におすすめです。
野菜などの具材や中細のちぢれ麺など、蔵屋のラーメンは、すべて道産の食材で作られています。「北海道らしいラーメンが食べたい!」という方にもピッタリですし、どちらのお店も駅から近く、車のない方にも便利です。ぜひ、足を運んでみてくださいね。
【総本店】 |
住所/小樽市住吉町10-1 |
電話/0134・33・8188 |
営業時間/午前11時~午後8時 |
定休日/なし |
駐車場/4台 |
【長崎屋小樽店】 |
住所/小樽市稲穂2丁目20-1 1F |
電話/0134・33・8188(本店) |
営業時間/午前11時~午後8時 |
定休日/なし |
駐車場/契約駐車場あり |
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