【下川】町内錦町24でビアバー「ビアスタンドエール」を経営する「しもかわ森のブルワリー」代表中村隆史さん(50)、紀久美さん(50)夫妻が、初めての商品となるクラフトビール(酒税法上は発泡酒)を完成させ、販売を始めた。林業のまち下川にちなんで、副原料に町内で間伐したトドマツの枝葉を使用しており、中村さん夫妻は「奥深い味わいを知ってほしい」と話している。
商品は「ペールエール」「ピルスナー」、「ヴァイツェン」の3種類(いずれもグラスSサイズ500円、Mサイズ700円、瓶詰め330ミリリットル入り800円)で、2月9日から提供している。
ずんどう鍋で煮込んだ麦汁をポリ袋に入れ、専用の冷凍庫をタンクの代わりにして発酵させる「石見(いわみ)式」と呼ばれる製法を採用。タンクで仕込む一般的な製法に比べ10分の1の初期投資で済み、少量多種類を製造できるのが特徴だ。店舗に併設する醸造所で製造している。
札幌で半導体関連のエンジニアとして勤務していた代表の隆史さんは、コロナ禍で地方への移住を検討し、2022年4月に起業型地域おこし協力隊員として下川に移り住んだ。お酒好きの2人が選んだのはビール。「かしこまらず飲むことができ、原料にさまざまな農作物を使える」ことが決め手だった。
隆史さんは昨年8月、石見式でビールを造る札幌の澄川麦酒(ビール)で約1カ月間、製法を学び、9月に全国各地のクラフトビールが飲めるビアバーを開業した。11月に酒造免許を取得し、12月中旬から製造を始めた。
今年2月20、21日には札幌市内で開かれた道内各地の物産販売イベントで瓶詰めの商品を販売し、好評だったという。隆史さんは「自分たちが目指す味わいにすることができた。今後は改良をしながら特産のフルーツトマトやイチゴ、小麦など下川ならではの原料で造りたい」と意気込む。
営業は午後5~11時(日曜祝日は午後3~8時)。不定休で、公式インスタグラム(@smb_brew)で告知している。(朝生樹)
(北海道新聞2024年3月2日)