十勝名物「豚丼」が、地域に根付く食文化を認定する文化庁の本年度の「100年フード」に認定された。90年以上にわたり地域で親しまれ、現在は十勝地方のソウルフードとして広く普及している点が認められた。申請した帯広市は「全国的な知名度を上げたい」と広報用パンフレットやイベントでの発信に活用する考えだ。
十勝管内から申請した料理が選ばれるのは初めて。文化庁が日本各地の食文化の振興や継承を促す目的で2021年度から毎年度行っている。地域で100年以上受け継がれる、または100年続くことを目指す郷土料理が対象で、江戸期から続く「伝統」、明治・大正期に生まれた「近代」、昭和以降に生まれ今後100年の継承を目指す「未来」の3部門があり、豚丼は「未来」部門で認定された。
これまで道内5件を含む計200件が認定されており、本年度は石狩市の郷土料理「石狩鍋」など道内4件を含む50件が選ばれた。
豚丼は1933年(昭和8年)に開業した市内の老舗豚丼店「ぱんちょう」が発祥とされ、しょうゆベースの甘辛いたれが特徴。同店によると、創業者の故阿部秀司さんがスタミナがつく料理として考案すると徐々に人気が高まった。阿部さんの孫でぱんちょう代表の山田美鶴さん(60)は認定について「名誉なこと。祖父も豚丼がここまで広がったことを喜んでいると思う」と話した。市観光交流課の阿部恭子課長は「地元に親しまれる料理として、豚丼をきっかけに十勝に興味を持ってもらいたい」と期待する。 (杉崎萌)
(北海道新聞2024年3月7日掲載)
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