文化庁は、地域に根づいた食文化を登録する「100年フード」に、「釧路のそば」を認定した。道内そば店の草分け、東家本店(現在の竹老園東家総本店)=釧路市=を起源とする100年を超す業界の歴史や、緑色の麺、かしわそばから麺を抜いた吸い物「かしわぬき」など、地域固有のそば文化が評価された。業界団体「釧路そば商組合」(釧路市)は「そばの街釧路を全国に売り込むチャンス」と吉報を喜ぶ。
100年フードは、2021年度に創設された制度。100年以上の歴史がある「江戸時代から続く郷土料理」「明治・大正に生み出された食文化」と、昭和以降に誕生し今後100年の継承を目指す「目指せ100年」の3分野ある。本年度に50件を追加し、登録は計250件になる。
釧路のそばは、明治・大正の食文化で追加認定された。道内でこれまで100年を超す食文化で認定されたのは、ジンギスカンに続き2件目。釧路そば商組合が申請した。
同組合によると、釧路地域のそば店は、1912年(明治45年)に市内で開店した東家本店が始まりとされる。クロレラを配合した緑色の麺、若鶏ではなく親鶏を使う「かしわそば」、複数の具材を盛る「種込みそば」、地場産シカ肉を使った「モミジそば」など、地域固有のメニューが多いのが特徴。市内には50店を超すそば店があり、人口比では道内有数の多さという。
石丸達郎組合長(55)は、「100年フード認定は、独特のそば文化を築いた先人のおかげ。認定を弾みに釧路のそばを観光資源として売り込み、地域活性化につなげたい」とし、加盟23店に認定を告知するポスターを掲示するなど、PR活動を強化する考えだ。
道内で本年度認定された100年フードは釧路のそばのほか、「目指せ100年」分野で石狩鍋など3件。(佐竹直子)
(北海道新聞2024年3月9日掲載)
豚丼 文化庁「100年フード」に*十勝から初めての認定*発祥の店ぱんちょう「名誉なこと」