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2024.03.20

北海道フードフィルムフェス プレイベント開幕~ドキュメンタリー「北の食景」の上杉監督らトーク

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

ドキュメンタリー映画「(仮題)北の食景」のトークショーが開かれた会場

 北海道の豊かな食と、食の魅力を発信する映像をテーマにした映画祭「北海道フードフィルムフェスティバル」のプレイベントが3月19日(火)、道内の飲食店や食材生産地を舞台にしたドキュメンタリー映画「(仮題)北の食景」を制作中の上杉哲也監督らを招いた完成前トークイベントを皮切りに、始まりました。北の食景のショート映像を上映したほか、上杉監督と、映画製作のプロジェクト監修をしたフードライター小西由稀さんが映画や北海道の食について語りました。

映画や北海道の食についてのトークを繰り広げる上杉監督(右)と小西さん

 19日夜、ホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」で開催し、限定30人が参加しました。司会はフリーアナウンサーの国井美沙さんが務めました。この日は、札幌市中央区南2条西5丁目のサツゲキで食をテーマにした映画を鑑賞する「フードシネマ上映会」も始まり、「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」が上映されました。

 北の食景は、北海道で活躍する4人の料理人が登場します。札幌のフレンチ「ラ・サンテ」の高橋毅さん、栗山町の日本料理店「味道広路(あじどころ)」の酒井弘志さん、札幌のすし店「○鮨」の川崎純之亮さん、札幌のフレンチ「アグリスケープ」の吉田夏織さん。さらに、足寄町のヒツジ牧場や安平町のホワイトアスパラガス生産者、山菜や木の芽など自ら食材を集めたり、自ら農園を営み、食材を育てる料理人らの姿も、春夏秋冬、1年をかけて追いかけています。

 この日、披露されたショート映像は3分ほどでしたが、本編は約2時間。現在、上杉さんが編集を進めており、今秋には公開予定です。北の食景の撮影スタイルについて、上杉さんは「ドキュメンタリーは普通、ナレーションやインタビューを交えて理解を深めるスタイルが多いが、今回は挑戦としてナレーションはなしで、その場にあるものだけで、見る人に感覚的に追体験してもらえるように撮りました」と話します。そのため、複数のカメラを厨房や畑に入れて、さまざまな角度から撮影する「マルチカメラ」方式を採用しました。

 スタッフ以外にも、札幌の20代の若手カメラマンに協力してもらい、「ぼくの技術を伝える場にもなった。アプローチも特殊なドキュメンタリーなので、若手の経験の場にもなったかな」とも話しました。

トークショーを終えた上杉監督(右)と小西さん

 ラ・サンテでは、春のホワイトアスパラガスとミルクラムの料理をフォーカス。小西さんは「2~3月に生まれたヒツジはホワイトアスパラガスが旬を迎える5~6月に、ミルクラムとしていただきます。この時期のホワイトアスパラガスとミルクラムがラ・サンテの名物」と紹介。上杉さんは「ヒツジの生産牧場では、2月に3日間密着して、出産シーンも撮影しました。ヒツジは神聖な生き物だという印象を持ちました」と感想を語り、「高橋シェフは生産者を大切にしていて、生産者との関係性をつむいでいくスタイルの料理人です」と敬意を表しました。

 味道広路の酒井さんは栗山町出身で、滋賀県の日本料理「招福楼」で修行後、同店の東京店で腕を振るい、ふるさとに戻って店を運営しています。上杉さんは「本格的な日本料理店の撮影は緊張したが、川崎さんはユーモアあふれる人で。歴史や芸術性、人柄のバランスが絶妙。山菜や庭先でとれるものなど、栗山じゅうのものを使って料理を提供しています」と説明。小西さんは「栗山の駅からタクシーで1~2メーターの店には、東京や関西からも来客があります。皿の上に世界観や季節感がかもし出されています」と絶賛しました。

会場前に設置された北海道フードフィルムフェスティバルの看板

 ○鮨について、小西さんは「(ネタに一手間かける)江戸前寿司と(素材の良さを生かす)蝦夷前寿司の両方をあえて出している寿司店」と説明します。上杉さんは「カウンターの奥の客と手前の客は別グループだが、大将の川崎さんの仕切りで、最後には客同士がつながって、みんなで楽しんでいるのがおもしろかった」と目を輝かせます。

 アグリスケープの吉田さんは、畑で野菜を育て、養鶏や養豚、養蜂、ヒツジやヤギの飼育もしています。小西さんは「笑顔がすてきなシェフで、店に行くと最初に今とれているものを大皿にのせて見せてくれる。食材について、楽しそうに、うれしそうに説明してくれるので、食べるまでわくわくが続きます」と笑顔を見せます。吉田さんは飼っているブタに名前を付けて育てているといい、上杉さんは「生き物をかわいがっているが、その肉をさばく。生物や生き物に対するリスペクトが魅力。生き物に対する向き合い方に超越したものがある」と感心していました。

 小西さんは「この映画は札幌と北海道の豊かさは何か、食べることの尊さとはを考え、当たり前に思っていることが何てすてきなものなのかと思えるものになると思います。北海道の飲食店は、皿の上だけでおいしさが完結するのではなく、生産者が見え、好奇心が広がるのが魅力です」と話しました。

 上杉さんは「北海道に住んでいる人も、外の人も、新しい視点が得られるといい。北海道の食はジンギスカンやラーメンといったステレオタイプなイメージがあるが、いろいろな面があることを気づいてほしい。見た後に語らいが生まれる映画になればうれしい」と期待を込めました。

ワンドリンクのひとつとして提供された森臥のワイン
おつまみの一口サイズのクロケット

 イベントは、ワンドリンクとピンチョス付き。開始前に、参加者にドリンクとフードが配られました。ドリンクは日本最北のワイナリーの名寄市の森臥(しんが)の白「2022バッカス」や赤「2021小公子」のほか、「ゆめぴりかとカルダモンのレモンサワー」、「リンゴと和紅茶の相思相愛」などのアルコール、ノンアルコール十数種類がそろいました。

 フードは一口サイズのクロケット。音更町産の熟成メークインの中に、興部町のチーズ工房「ノースプレインファーム」のモッツァレラチーズを入れたクロケットに、タラコとバターのソース、ネギオイル、ハーブをかけた香り高い一品です。

 また、北の食景のショート映像上映とトークショーに先駆け、上杉監督の2022年北欧国際短編映画祭の受賞作品「となりの井戸」も上映されました。冬の入り口の札幌が舞台で、写真家を志し、上京しようとするリョウと、安定した生活を求め地元・札幌に残る友人ユキの揺れ惑う一夜を描いた作品です。

あいさつをする伊藤社長
司会の国井さん

 イベント冒頭では、北海道フードフィルムフェスティバル実行委員長で、俳優の大泉洋さんらが所属する芸能事務所「クリエイティブオフィスキュー」の伊藤亜由美社長があいさつ。伊藤社長は「芸能事務所を32年間運営し、たくさんの映画に関わるなかで、北海道で食の映画祭をずっとやりたいと思っていました。おいしい映像を見て、おいしいを体感してもらいたい。そういう楽しい映画祭にしたいので、期待して、応援してほしい」と話しました。

 プレイベントは20日(水、祝日)に俳優の大泉洋さん主演の「そらのレストラン」上映とトークショー、21日に俳優の市原隼人さん主演の「劇場版 おいしい給食 Final Battle」の上映とトークショーがあります(いずれもチケットは完売)。そのほか、フードシネマ上映会として、20日午後4時から、「バベットの晩餐」、21日午後6時半から、「今日も嫌がらせ弁当」が上映されます。20、21日両日には、札幌市内の飲食店を食べ歩き、飲み歩きする「サッポロシネマバル」も実施されます。

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小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

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