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2024.03.22

From北海道新聞

シカ肉の味 猟師が伝える*昨年、比布移住の桑野さん*自前工房で解体、加工

北海道新聞記事
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ジャーキーなどシカ肉の加工販売を手掛ける「ピピユク」の桑野さん
ジャーキーなどシカ肉の加工販売を手掛ける「ピピユク」の桑野さん

 【比布】昨年、町内に移住した30代の若手ハンター桑野未来さんが、エゾシカ肉を加工販売するジビエ工房「PIPIYUK(ピピユク)」の事業を軌道に乗せようと奮闘している。桑野さんは「害獣として駆除されるシカを活用し、肉のおいしさを伝えたい」と意気込む。

 香川県出身。道内の大学卒業後、趣味のスノーボードや釣りが楽しめる富良野地方のスキー場や、旭川市内の会社で10年以上働いてきた。2021年春、ハンターの知人に連れられ、シカやクマの肉が振る舞われた食事会に参加し「ジビエってこんなにおいしいんだ。自分の獲物を食べる幸せを私も味わいたい」と自給自足生活へ憧れた。

 22年3月には猟銃所持の試験に合格。知人ハンターと山に入り、駆除活動で腕を磨いた。

 旭川に住んでいた桑野さんは「都会より、もっと静かな山の近くに暮らしたい」との思いも強まり、比布町内に中古の木造住宅を買い、昨年6月に移住した。駆除されたシカの多くが廃棄される現状に対し「少しでも有効活用したい」と同8月、町に工房の開業届を出した。所属する道猟友会旭川支部によると、会員約360人のうち女性は15人ほどで「加工販売までする人は珍しい」という。

 とったシカの肉は解体し、旭川市内の飲食店へ卸すほか、工房で乾燥させてペット用ジャーキー(20グラム、400円)にする。人が食べるジャーキー(40グラム、1300円)は町外の業者へ製造委託している。

 今は知り合い中心の販売だが、オンラインストアなどでの販路拡大を狙う。桑野さんは「命を無駄にしない取り組みに」と、工房で解体作業を見せたり、ハンター同士が交流する機会を設けたりもしたいという。

 問い合わせは桑野さんのインスタグラム@pipiyuk.gibierへ。(山中悠介)

(北海道新聞2024年3月19日掲載)

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