【石狩】石狩市の郷土料理「石狩鍋」が、地域に根付く食文化を認定する文化庁の「100年フード」に認められた。普及に取り組んできた団体は「お墨付きをもらったので道内外の観光客やインバウンド(訪日客)にPRしていきたい」と喜んでいる。
「100年フード」は地域の食文化を次世代に受け継ぎ国内外に発信する狙いで文化庁が2021年度に創設した。3部門のうち、石狩鍋は今後100年続く食文化を目指す「未来」部門に選ばれた。申請は全国から60件あり、計50件が今月上旬に認定された。道内からは他に、明治・大正から続く「近代」部門で「釧路のそば」、「未来」部門で余市の「ひる貝カレー」、帯広の「豚丼」が認定されている。
石狩鍋は白みそがベースで魚介類はサケだけを使う。野菜はキャベツやタマネギを入れ、薬味にサンショウを振りかけるのが特徴だ。市などによると、石狩鍋は昭和20~30年代、サケの地引き網漁を見学する観光客に振る舞ううちに全国的に広まったという。
今回、100年フードには「いしかり地産地消の店推進協議会石狩鍋部会(あき味の会)」が応募した。あき味の会は「石狩鍋」をてこにして観光客を呼び込む「石狩鍋復活プロジェクト」に協力する石狩市内の飲食店でつくり、現在は市内の8店舗で提供している。
あき味の会会長の「鮨爽醇鳥(すしそうじゅんちょう)ひだか」(市花川南9の3)の店主、矢野目伸一さんは認定を喜び、石狩鍋は郷土料理でありながら一部の老舗料理店でしか食べられないことに触れ、「認定を契機に石狩鍋を提供する店が増えてほしい」と話している。 (国乗敦子)
(北海道新聞2024年3月19日掲載)
豚丼 文化庁「100年フード」に*十勝から初めての認定*発祥の店ぱんちょう「名誉なこと」