【伊達】市が試験栽培しているブドウで初めて醸造したスパークリングワインが完成した。市農務課は「飲み口がすっきりしていて、フレッシュ」とPR。関係者向けのお披露目会が22日に、市民対象の無料試飲会が23日にそれぞれ市内で開かれる。また、市のふるさと納税の返礼品として活用されるほか、温泉ホテルや市内の飲食店で試験的に販売される予定。同課は“新星”の誕生が今後の事業推進につながると期待している。
市が宝水ワイナリー(岩見沢)に醸造を委託し、671本(1本750ミリリットル入り)を製造。市職員らが昨年10月、市内関内の市有地0・4ヘクタールで初めて収穫した白ワイン用のシャルドネと、赤ワイン用のピノノワール計約767キロを使った。
アルコール度数は11・5%。試験栽培に協力しているサントリーワインインターナショナル(東京)から「熟成させると、味わいに厚みや奥行きが生まれるだろうと評価してもらった」(市農務課)という。
お披露目会は22日午後1時半からの開催で、近隣の首長や関係機関の幹部らを招待する。無料試飲会は23日午後5時から。開催場所はともにホテルローヤル(市内末永町)。試飲会は20歳以上の市民が対象で、限定50組計100人程度(ひと組4人まで)。申し込みは所定の申込用紙に必要事項を記入し、市農務課に郵送やファクス、メールで申し込む。14日締め切り。問い合わせは市農務課電話0142・82・3201へ。
また、市は今回、市内の酒類販売「寿浅」にワインの販売などを委託。ふるさと納税の返礼品とする考えで、市への寄付金1万3千円に対してワイン1本を送る。試験販売は、北湯沢や洞爺湖、登別、定山渓、ニセコの温泉ホテル、市内の飲食店で実施する予定。価格は各ホテルや飲食店が設定する。
市の事業は2019年、醸造用ブドウ5品種計2千本を植栽して始まった。春~秋の少雨や冷涼な気候が、スパークリングワインの産地として世界的に有名なシャンパーニュ地方(フランス)などに似ているという。ブドウの初収穫は今秋を予定していたが、ブドウの生育状況が良好だったため、1年前倒しで収穫・醸造に踏み切った。
市は24年まで試験を続けていく計画。市農務課は「市内で民間によるブドウ栽培が始まるなど、新しい動きも出てきている。伊達のスパークリングワインを高品質な名産品に育てていきたい」と話している。(梶山征広)
(北海道新聞2022年7月8日掲載)