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2022.05.05

最北の地 生き抜くワイン 北海道の大地がはぐくむ命の恵み〈シリーズ企画ワイナリー編01/上川エリア〉

Tripeat編集部
Tripeat編集部
ドメーヌレゾンのブドウ畑

最北のワイナリーがある上川エリア

 北海道にあるワイナリーは53を数え、今やワインの一大産地となっている。地形や気候、積雪量の違い-。生産者たちは地域ごとのテロワール(風土)を生かすため、時には自然と戦いながらブドウを育て、ワインをつくっている。最北のワイナリーがある上川地方。その厳しい環境下で誕生するワインは、人とブドウの生命力が勝ち取った「命の恵み」だ。

 上川、名寄、富良野と内陸地帯に盆地がある上川地方は、国内最低気温の氷点下41度を旭川で記録する一方、夏の上富良野町で37.5度となるなど、寒暖の差は極めて大きい。厳しい冬、ブドウの樹は雪の布団の中で「暖」を取りながら春を待つ。最大の難関は、その布団から出入りする時季だ。やっとの思いで芽吹いた春先や、たわわに実をつけ収穫を待つ直前、突如として大敵の霜が襲いかかる。

かがり火を焚きブドウを守る/森臥

森臥の店内、ブドウ、ブドウ畑でのかがり火

 最北のワイナリーとして知られる名寄市の「森臥(しんが)」。竹部裕二、麻理夫妻が2006年、欧州系品種のブドウ栽培を始めたが、寒さが原因で病気にかかり、断念した過去がある。

 11年の再挑戦では、バッカスと、道内での実績がなかった山ブドウ交配種「小公子」を選んだ。いずれも寒さに強い品種だが、霜よけのため、5~6月でも寒い日には夜を徹して畑にかがり火を焚き、ブドウを守る。竹部さんは目指すべきワインについてこう説明する。「こんな寒い所に連れて来られたブドウの頑張りが、ボトルの中にぎゅっと詰まっていればいい」

森臥(名寄市弥生674)
直売所での販売は、HPの問い合わせフォームで個別対応している

畑作農家3代目がこだわる野生酵母/多田農園

多田農園のブドウ畑、商品

 上川地方では今年、富良野市がワイン事業を始めて50周年を迎える。ワインづくりの歴史は半世紀に及ぶが、南北に細長く、岐阜県に匹敵する広さの上川の環境は千差万別で、生み出されるブドウも個性豊かだ。

 07年に栽培を始めた多田農園(上富良野町)は、ワインを初出荷した11年の12月はじめ、予想外の冷え込みでメルローが全滅しかけた。わずかな積雪に助けられ、復活した畑を前に、多田繁夫さんは「この子たちには苦労をかけた」と振り返る。

 120年前に入植した畑作農家の3代目で、野生酵母にこだわる。火山灰層に根を張る樹は、十勝岳や富良野岳からのミネラル分を含む伏流水を吸い上げ、実をつける。「そう考えるとロマンですよね」とワインづくりの醍醐味を語る。

多田農園(上富良野町東9線北18号)
直売所あり。農園内に「プチペンション田舎俱楽部」を併設し、ワインや農園で収穫された無農薬野菜などが味わえる。今年の営業は4月28日から10月11日までを予定

北海道ならではの爽やか&華やか/ドメーヌレゾン

ドメーヌレゾンの商品と畑、店内

 山梨、長野、山形、北海道-。中富良野町の「ドメーヌレゾン」は、宿泊施設やワイナリーなどを全国で展開するレゾンディレクションが四大生産地の最後の進出地として19年に開設した。

 山梨の醸造も管理している取締役部長の塩島匠さんは、中富良野でのワインを「爽やか&華やか」と表現する。冷涼な中富良野産ブドウは酸がしっかり効き、ワインにすると爽やかさになるという。勝手が違う気候に苦労も多いが「北海道ならではの品種を栽培できるのは楽しみです」と話す。

ドメーヌレゾン(中富良野町東1線北4号)
カフェ&レストランを併設する直売所で試飲可能。目の前の畑では除草を手伝うヤギを飼育し、排泄物を堆肥にするなど人間と自然が共存できる環境でのワインづくりを目指している。HPからワイナリーの見学ツアー(無料)の申し込みができる

(TripEat北海道編集長 山崎真理子)

  • ワイナリー・ヴィンヤードを訪問する際のルール&マナー
    ①無断で農園(ヴィンヤード)に立ち入らないようお願いします
    ②ワイナリー・ヴィンヤードのなかには見学・立ち入りが不可なところや、事前に見学の予約が必要なところもあります。予め電話やホームページで確認ください

♢ ♢ ♢

 札幌・大通公園で7月1~3日に開催される「北海道 お酒と食のおいしいマルシェ2022」に出店予定のワイナリーを中心に、道内各地域を計5回にわたって紹介します。

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Tripeat編集部
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