日本のてっぺん稚内市から車で60分。7つの市町村をまたがって流れる日本最北の大河・天塩川の河口に位置するのが天塩町です。小さな町でありながら古くから天塩川を利用した交易拠点として栄えた歴史を持ち、四季折々に豊かな自然と動植物が賑わいを見せます。北海道の歴史と共に歩んできた天塩の変遷をたどりながら、天塩川によってもたらされたダイナミックな自然と豊富な食資源に舌鼓を打つ…。
そんな風にゆっくりと天塩町で時を過ごすための旅のヒントを天塩町役場さんに教えてもらいました。2回にわたってお伝えします。
<その①>北海道第2の長流 天塩川
天塩岳を源流とする天塩川は道北7市町村をまたがり、河口の町・天塩町へ流れつきます。かつての蝦夷地に「北海道」と命名した冒険家・松浦武四郎は、当時の江戸幕府の命により、調査のため幾度となく蝦夷地を訪れ、天塩川を舟で移動しています。現在は中流から河口まで157kmにわたって人工構造物がないことを活かして、国内最長のツーリングカヌー大会も開かれています。
下流域にはカヌーを発着できるカヌーポートもつくられ、利便性も向上しています。大河に身を委ね歴史に思いをはせる旅も良いのではないでしょうか?
<その②>交易の要衝として栄えた歴史
天塩川を利用した交易で栄えた天塩は、明治期に一時代を築きます。開拓により産出される質の良い木材は本州だけでなく、欧州や中国へも輸出され、後に「日本のバイオリン王」と呼ばれた鈴木政吉は、天塩産のアカエゾマツを使ってバイオリンを製作。「幻の名器」と呼ばれたそのバイオリンは、現天皇陛下が所有されています。
天塩川は貨客を乗せた「長門船」が頻繁に往来し、天塩港は木材集積船をはじめとした商船が集い、港の明かりが消えることはなかったほど。天塩川を中心として栄えた天塩の歴史を「天塩川歴史資料館」では詳しく知ることができます。
天塩川歴史資料館は赤レンガ造りで、以前は天塩町役場庁舎だった建物です。館内には1/2のサイズで復元された「長門船」も展示されていて、大変貴重な資料となっています。
<その③>渡り鳥の休憩地
サハリンや本州方面へ渡るための休憩地として天塩川下流域周辺には、季節ごとに様々な渡り鳥が飛来します。天塩川河口や振老旧川(ふらおいきゅうせん)は、渡り鳥にやさしい環境の回復と保全に取り組んでいます。冬は天然記念物に指定されているオジロワシやオオワシ、春や秋にはオオヒシクイが群れで飛行する姿を町内で見ることができます。
夕方歩いて自宅へ帰る途中でも、鳥の鳴き声が聞こえ、空を見上げると、V字を描いて飛んでいく野鳥を頻繁に見かけます。牧草地やデントコーンを刈った後の畑では、集団で採餌するオオヒシクイなどの姿を見ることができます。都会ではなかなかお目にかかれない非日常の風景がそこに広がっています。
<その④>唯一無二 てしお温泉
天塩町には天塩川と日本海、そこに浮かぶ利尻富士を望むことができる場所に「てしお温泉夕映」が建っています。
てしお温泉から望むことができる絶景もさることながら、温泉のインパクトが唯一無二!
茶褐色のお湯で温泉成分自体はナトリウム・塩化物強塩泉とポピュラーですが、成分表にはアンモニウムイオンが248.7㎎とあります。
この成分によりツーンと来る独特の香りを持つインパクト抜群のお湯となっています。保湿保温効果にも優れています。湯上がりに匂いがつくことはないので安心して入ってください。
▽てしお温泉夕映HP(https://teshiospayubae.com/)
〈山﨑編集長☆発〉150年前からあった北海道三大グルメ③<シジミ編>半端ない大きさ&濃厚だし
<その⑤>天塩川の恵みにもたらされる海の幸
最北の大河・天塩川の恵みにより、天塩町は海の幸が豊富です。
春から初夏にかけては、サクラマスやカレイ、夏には粒の大きい天然しじみの漁が始まり、秋には「天塩鮭」としても有名なアキアジの定置網漁、その他にもホッケやカスべ、ミズダコやホッキ貝など四季を通じて様々な海の幸が水揚げされ、町内の飲食店で舌鼓を打つことができます。
町内の居酒屋「はまなす」では、天塩で水揚げされる意外な魚「アンコウ」を使ったアンコウザンギ(唐揚げ)や、高校生の「ハンバーガー店のある町になってほしい」という声に応えて、ホッケやタラを使ったハンバーガーを提供する飲食店など、新たなグルメも登場しています。
▽居酒屋はまなす(インスタグラム)https://www.instagram.com/n_613_h/?hl=ja
▽天塩町HP(http://www.teshiotown.hokkaido.jp/)
▽天塩町観光協会HP(https://www.teshio-tourism.com/)
▽天塩町観光協会インスタグラム(https://www.instagram.com/teshio_tourism/)
◇天塩町観光を楽しむ!㊦に続く―。
※情報は記事公開当時のものです。
天塩町観光を楽しむ!おすすめポイント10㊦酪農王国自慢の味や絵になる美しい夕日<北海道まち巡り>
〈山﨑編集長☆発〉150年前からあった北海道三大グルメ①〈絶品「蝦夷の三絶」とは?編〉
余市町観光を楽しむ!おすすめポイント10㊤ワイン&多彩な食、自然が生む絶景<北海道まち巡り>