日本のてっぺん稚内市から車で60分。7つの市町村をまたがって流れる日本最北の大河・天塩川の河口に位置するのが天塩町です。小さな町でありながら古くから天塩川を利用した交易拠点として栄えた歴史を持ち、四季折々に豊かな自然と動植物が賑わいを見せます。北海道の歴史と共に歩んできた天塩の変遷をたどりながら、天塩川によってもたらされたダイナミックな自然と豊富な食資源に舌鼓を打つ…。天塩町役場さんに教えてもらった旅のヒント「天塩を楽しむ!」の後編です。
目次
<理由その⑥>道北の酪農王国・天塩の乳製品
天塩町は人口よりも約3倍の乳用牛がいる酪農王国です。天塩の酪農家さんたちは長年、土づくり、草づくり、牛づくりの循環型の酪農を実施しています。そんな良い環境で育った牛から搾った生乳を加工した乳製品も豊富です。
天塩町雄信内の「べこちちファクトリー」では、添加物を使用しない店主がこだわって熟成させたナチュラルチーズや、子供でも食べやすいフレーバー豊富なさけるチーズ、変わり種のチーズとうふ、町内特産品とコラボしたチーズキムチなども大人気です。
添加物を入れないソフトクリームは絶品で、ミルクの濃厚さもありながらすっきりしていて、食べた後も喉が渇くことはありません。季節ごとのフレーバーも登場するため飽きることもありませんよ。
また天塩町サラキシの「宇野牧場」では、放牧酪農にこだわり、ストレスフリーな環境で牛を育てています。有機飼料、有機畜産物、有機加工食品の3つの有機JAS認証を取得するなど、とことんオーガニックにこだわっています。
そんな生乳を加工した、とろっとした食感の飲むミルク「トロケッテ・ウーノ」や、「パンナコッタ・ウーノ」、その他オーガニックヨーグルトは物産展でも大人気。
中でも「土・草・牛」づくりを追求したグラスフェッド(牧草)ミルク「最高峰の牛乳」は、爽やかな香りとすっきりとした口当たりでごくごく飲める一品。放牧で育てられているため、四季によって草花や牧草など食べる餌が異なります。そのため季節毎に変化する牛乳の味や香りを楽しむことができるんです。宇野牧場もソフトクリームがあり、口当たり濃厚で、もこもこな可愛いフォルムをしています。
べこちちファクトリーと宇野牧場、ソフトクリームの食べ比べも楽しいです。
▽宇野牧場HP(https://www.unomilk.jp/)
<理由その⑦>蝦夷の三絶「しじみ」
「蝦夷の三絶」という言葉をご存じでしょうか? 江戸時代の書物で北海道の3大味覚として紹介されたもので、「厚岸の牡蠣」「十勝川の鮒」と併せて、「天塩川のしじみ」が紹介されているのです。
かつては山ほど取れた天塩のしじみも、近年資源量が減少してきており、漁獲制限や砂を撒いてしじみが生育しやすい環境を作る覆砂事業などで貴重な資源を循環的に利用できるよう努めています。
天塩の天然しじみは味は濃厚で大粒、あさりと見間違うくらいのサイズです。
その秘密は、寒冷地で貝の成長が遅く、8年から9年の時間をかけてじっくりと育つから。6月から8月にしじみ漁が行われ、冷凍していない生のしじみが町内に出回ると、町外から買い求める人も多く訪れます。
味噌汁が一般的ですが、天塩町では潮汁や炊き込みご飯として食べることも多く、町内の飲食店では大粒で濃厚な出汁を活かしたしじみラーメンやしじみパスタを食べることができます。
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<理由その⑧>大自然を満喫するアウトドアとアクティビティ
天塩町の鏡沼海浜公園にはキャンプ場があり、バンガローやオートバンガロー、電源付きのオートサイトを完備しています。
鏡沼周辺には遊歩道も整備され、エゾカンゾウやハマナス、スズランなどの植物も咲き誇ります。近くには「天塩町を訪れる10の理由」(上)の<理由その④ 唯一無二 てしお温泉>でもご紹介した「てしお温泉夕映」もあり、鏡沼と天塩川、利尻富士を望みながら、温泉につかって旅の疲れを癒すこともできます。
また、てしお温泉夕映では、有名メーカーのロードバイクやクロスバイク、スポーツEバイクをレンタサイクルとして貸し出していて、日本ではないかのような酪農地帯を自転車で走ることができます。初めて乗る方は、車で走行するのとは全く違う体感に驚くはずです。エコでクリーン、体力を気にする必要のないEバイクで、風や音、自然の香りを肌で感じる体験は、まさに非日常の最高の経験といえるでしょう。
▽鏡沼海浜公園キャンプ場管理棟(天塩町サラキシ7476番地、TEL:01632・2・1729)
▽てしお温泉夕映HP(https://teshiospayubae.com/)
<理由その⑨>絵になる風景、知られざるフォトスポット
天塩川河口の河川敷につくられた天塩川河川公園は、青々とした芝生から雄大な天塩川と対岸の砂州の向こうに広がる日本海、その水平線からそびえる利尻富士を望むことができる絶景フォトスポットです。夕暮れから日没までの風景は、ドラマチックなパノラマが広がります。
しかし、この河川公園は町でも推している比較的有名なフォトスポットです。実はこの河川公園から北側に続く管理用通路を通り、天塩川のほとりの砂地を歩くと、擦文時代の竪穴式住居を復元した川口遺跡風景林へ抜けることができます。
少し高くなった川口遺跡から望む天塩川、日本海、利尻富士は、河川公園から見る姿とは異なった景色として楽しめます。川口遺跡は過去の調査で、230基もの竪穴式住居跡が確認されています。町民の手によって復元された竪穴式住居では、天塩川の恵みとともに生活していた当時の生活を垣間見ることができます。森の中にたたずむ竪穴式住居。川口遺跡は知られざるフォトスポットというにふさわしい場所です。
<理由その⑩>論文で証明された!? 北海道No.1の夕日
天塩高校と筑波大学は高大連携事業としての活動を続けています。交流事業の中で、初めて天塩を訪れた1人の筑波大の大学院生が、天塩の夕日の美しさに感動し、地域による夕日景観の違いについて研究しました。
トワイライト時間の長さや夕日の見える角度の広さ、市街地の道路の形状、気象特性などを科学的に分析。今年3月卒業時の学術論文(修士論文)として発表し、学会や大学において各種の賞を受賞しました。
この論文により、天塩町の夕日は、高緯度で長時間見ることができ、かつ街の形状から夕日を遮る建物がないため、日本で最も長く夕日を楽しめる地域ということが証明されました。
夕日を自慢する場所は数あれど、科学的根拠に基づいて、その優位性が立証されたのは天塩町くらいではないでしょうか?
世界三大夕日として名高いインドネシア・バリ島よりも、夏至の日で約60分広角で長く夕日景観を楽しむことができるそうです。論文で証明された「日本一の夕日」を観に、ぜひ一度天塩町へお越しください。
▽天塩町HP(http://www.teshiotown.hokkaido.jp/)
▽天塩町観光協会HP(https://www.teshio-tourism.com/)
▽天塩町観光協会インスタグラム(https://www.instagram.com/teshio_tourism/)
(おわり)
※情報は記事公開当時のものです。
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