【赤井川、小樽】キロロリゾートが小樽市築港で北後志エリアの魅力を発信する取り組みに力を入れる。同リゾートも加盟する「赤井川村国際リゾート推進協会」が15日、大型商業施設「ウイングベイ小樽」内に観光拠点を開設。施設内に3年ぶりに開設したグランピングや小樽港マリーナにあるカフェでは北後志産食材を活用した食事を提供する。北後志の周遊観光を定着させて、冬季のスキー客の誘致につなげる狙いだ。
15日にウイングベイ2階にできた拠点は「小樽・きたしりべし スキー&アドベンチャーセンター」。約200平方メートルのセンター内はスキー、スノーボードのレンタル用具が計450セット、マウンテンバイクや釣り竿などもずらり。受け付けの大型テレビからカヌーやトレッキングなどの映像が流れ、看板は仁木町産のサクランボが描かれていた。
同センターは用具貸し出しに加えキロロ、スノークルーズオーンズなどのリフト券販売窓口も担う予定。スキー場内に設けられたレンタル店で用具を借りるのが一般的だが、同協会は「ここで借りて小樽を拠点に複数のスキー場をはしごしてもらいたい」という。
同協会が小樽市内に観光拠点を作った理由は、冬場のスキー客のさらなる誘致だ。村内の大型宿泊施設はキロロリゾート内のホテルとコンドミニアムのみ。新型コロナウイルス禍前の2019年度冬(12、1月)の客室稼働率は90%を超え、一部予約を断らざるを得ない日もあるなど「頭打ち」になっている。
そこで、ホテルが集まる小樽市中心部に狙いを定めた。市中心部からキロロは車で約40分。「はしご」が普及すれば、「地域全体の魅力向上につながり、キロロのスキー客も増やせる」(同協会)と見込む。
さらに、この日から3年ぶりの営業が始まったのが、ウイングベイ内の屋外テラスにあるグランピング施設「海と空」。施設自体は2018年に始まったが、キロロリゾートが今季から運営することになり、夕食に北後志産をはじめとした道内産野菜や魚介類のバーベキューを取りそろえた。
最大6人、計5グループが宿泊でき、1人1泊9800円から。小樽港を一望できる景色の良さなども受け、8月までのお盆期間と週末の大半は既に予約で埋まっているという。
加えてキロロは、小樽港マリーナ(築港)で夏季限定の「マリーナカフェ」を昨年に続きオープンした。余市町内のレストラン「余市バル ループ」と初めて連携し、同町産の豚肉を使ったサンドイッチや同レストラン監修のチーズケーキを提供する。北後志産食材の料理やスイーツで日帰りの多い札幌などからのドライブ客も取り込む考えだ。
後志の広域観光は長年の課題の一つとされる。同協会の代表理事を務めるキロロリゾートの渡辺裕文総支配人は「まずは小樽に来てもらい、余市や仁木、積丹といった北後志の魅力を面として発信し、最終的に長期滞在につなげたい」と話す。(鈴木孝典)
(北海道新聞2022年7月16日掲載)