旭川市江丹別町の「ブルーチーズドリーマー」(伊勢昇平代表)が製造したブルーチーズ「旭川」が、厳しい国際基準で審査する日本初の鑑評会「アルティザンチーズアワード」で最高金賞「スーパーゴールド」を受賞した。江丹別の牛乳でつくるチーズを高砂酒造(旭川)の酒かすで覆って熟成した逸品で、伊勢さんは「旭川を世界に発信したい」と意気込んでいる。
コンクールは、フランス語でチーズの専門家を意味する「フロマジェ」の育成に取り組む日本チーズアートフロマジェ協会の主催。他の国内鑑評会とは異なり、国際基準に沿って評価の配点を部門共通とし、審査員16人に事前情報を与えないなど審査の厳格化を図った日本初のコンクールとして6月2日に開かれた。
18部門に国内59工房が166点を出品。11点が部門別最高賞のスーパーゴールドに選ばれ、「旭川」は「風味付けソフト/青カビ部門」を制した。同協会によると、「旭川」はチーズの口溶けや、酒かすで風味付けをしたことによる甘みなどの一体感が評価されたという。
チーズ職人の伊勢さんは2011年から家族が営む牧場「伊勢ファーム」の牛乳でブルーチーズづくりを開始。21年に会社「ブルーチーズドリーマー」を設立した。
さまざまな食材で風味付けをしたチーズとフランスで出合い、地域の産品を発信できると考えて高砂酒造の酒かすで1カ月熟成した「旭川」を17年に発売。牛乳の華やかな香りや、青カビの刺激、そして酒かすのフルーティーな甘みの全てをバランス良く引き出すことに日々腐心する
国際基準に沿った鑑評会で最高金賞を受賞したことに対し、伊勢さんは「世界一のチーズをつくりたいという目標に一歩近づけた」と笑顔。今後は11月にポルトガルで開催される国際的な品評会「ワールドチーズアワード」に出品予定で、「世界でもこのチーズが評価されて、『旭川に行ってみたい』と思ってもらえるように頑張りたい」と話す。 (鈴木誠)
(北海道新聞2024年6月21日掲載)
長万部ラクレット 世界トップ20入り*川瀬チーズ工房のセミハードタイプ*次は「長期熟成挑戦」