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2024.07.20

温泉を楽しみ、「看板猫」とも会えたらうれしい! 北海道の〝癒される〟温泉宿5選

Tripeat編集部
Tripeat編集部

 北海道は長年「温泉地数」で都道府県別1位を維持している一大温泉郷です。バラエティに富んだ温泉は食や自然環境と並んで北海道の大きな魅力のひとつで、旅行の目的に温泉を挙げる人も多いはず。そんな温泉や個性的な温泉宿の中から、宿を営むみなさんの家族として生活している愛らしい猫がいる施設を5軒紹介します。

「天然オイルバス」を堪能 「れんげ」にも会える? 
豊富温泉「川島旅館」(豊富町)

川島旅館の露天風呂
川島旅館の露天風呂
川島旅館の看板猫の「れんげ」
看板猫の「れんげ」

 豊富温泉は1926年(大正15年)、石油掘削の際に天然ガスとともに温泉が噴出したことから始まった、100年の歴史がある温泉地です。かつては漁閑期に周辺の漁師さんなどが訪れる湯治場でしたが、近年はアトピー性皮膚炎等の皮膚疾患の症状改善に有効な温泉として全国的に知られるようになりました。

入り口に紺色ののれんがかかる川島旅館の外観
入り口に紺色ののれんがかかる川島旅館
明るい雰囲気の川島旅館の館内ロビー
明るい雰囲気の館内ロビー

 川島旅館では、道内の温泉の中でも際立った特徴がある「天然オイルバス」を宿泊でも日帰りでも楽しむことができます。男女別の大浴場は約34度の源泉そのままの湯船と、適温に加温した湯船、露天風呂の構成。源泉浴槽にはたっぷりと茶色い石油系の湯花が舞い、その油分が肌をやさしく包みます。入浴に使用したタオルや入浴前後に着ていた衣類、肌にも石油の香りが長く残り、豊富温泉から帰った後もその名残を感じることができるほどです。

川島旅館の浴室。左側が源泉浴槽
川島旅館の浴室。左側が源泉浴槽
豊富牛乳の生クリームを使った「温泉スコーン」
豊富牛乳の生クリームを使った「温泉スコーン」

 川島旅館は温泉旅館でありながら、豊富町の特産物である生乳を使った商品も製造しています。「湯あがり温泉プリン」を皮切りに、「とよとみフレーバーバター」、そして2023年からは豊富牛乳の生クリームを使った「温泉スコーン」を開発。

 ご飯にもパンにも合わせることができる各種フレーバーバターは宿泊時の食事で楽しむことができますし、各製品はお土産として購入可能です。全国の催事でも人気の商品となっています。

川島旅館宿泊時の朝食。中央のおかずが並ぶお皿の上、バターナイフが添えられているのが、各種の「フレーバーバター」
宿泊時の朝食。中央のおかずが並ぶお皿の上、バターナイフが添えられているのが、各種の「フレーバーバター」
ランチ営業で提供しているバターチキンカレーと添えられた「フレーバーバター」(右下)
ランチ営業で提供しているバターチキンカレーにも「フレーバーバター」(右下)が添えられます

 温泉や豊富ならではの食材など人気の要素がいくつもある中で、川島旅館の看板猫「れんげ」を目当てに訪れる常連客も増えているそうです。近くの酪農家さんの納屋で生まれ、川島旅館に引き取られて生活するれんげは今年6歳。

今年6歳になるという看板猫の「れんげ」
今年6歳になるという「れんげ」
床に座り込んでじっと正面を見ている「れんげ」
旅館内で会えたらラッキーかも

 お客さんから見えないところで寝ていたり、お客さんの出入りのタイミングを狙って外へ散歩に出ることも多く、なかなか帰ってこなかったこともあります。旅館内でれんげに会えたらラッキーかもしれませんね。

住所/豊富町温泉
電話/0162・73・5000
客室数/全15室
ホームページ/https://kawashimaryokan.co.jp
日帰り入浴/午後1時〜8時、入浴料1000円
※情報は取材当時のものです

炭酸泉の気泡に包まれ入浴 5匹とのふれあいも 
「ニャー助のホテルん」(積丹町)

入浴時にはたくさんの炭酸の泡が楽しめる「ニャー助のホテルん」の男湯
入浴時にはたくさんの炭酸の泡が楽しめる「ニャー助のホテルん」の男湯
「ニャー助のホテルん」の看板猫の1匹「ココ」
看板猫の1匹「ココ」

 別の名前で営業していた温泉宿を今のオーナーが引き継ぎ、営業を始めたのは2021年8月。「シララ姫の湯」という別名で呼ばれる温泉は通好みの特徴あるお湯で、日帰り入浴も可能です。温泉の特徴はなんといっても肌にまとわりつく、たくさんの炭酸の気泡。炭酸は温度が高くなるほど抜けていくため、温度が低く冷たい炭酸泉(正式名称「二酸化炭素泉」)が多いなか、入浴に最適な40度ほどの温度でもじゅうぶんに炭酸が感じられるという貴重な温泉です。

「シララ姫の湯」という別名も看板として掲げられている「ニャー助のホテルん」外観
「シララ姫の湯」という別名も
入浴後のひとときを過ごせる「ニャー助のホテルん」館内の休憩所
入浴後のひとときを過ごせる館内の休憩所

 宿泊・日帰り入浴ともに営業期間は4月末から11月初めまでと通年営業ではありませんが、それでも年々営業を重ねていくにつれて地元住民との交流が深まり、その恩恵を宿泊客も受けています。町内から来る日帰り入浴客が増え、漁師のお客さんから差し入れられる魚介類は宿泊客のための料理として振る舞われます。それを知っていると、宿泊時の楽しみがひとつ増えますね。

売店もある「ニャー助のホテルん」館内
売店もある館内。奥が食堂になっています
「ニャー助のホテルん」玄関右側のキャットルーム
玄関右側のキャットルーム。反対側にもあるルームとキャットウォークでつながっています

 看板猫たちは2歳から5歳までの5匹。玄関の両側2カ所がガラス張りのキャットルームになっており、玄関の上部にあるキャットウォークで繋がっています。猫たちはルーム同士を行き来したり、母屋に戻ったりして自由に過ごしています。

「ニャー助のホテルん」に5匹いる看板猫の2匹、「サクラ」(左)と「トラ」(右)
5匹いる看板猫の2匹、「サクラ」(左)と「トラ」(右)
「ニャー助のホテルん」の看板猫の中の1匹「レオン」
こちらも看板猫の中の1匹「レオン」。眠そうです

 スタッフに声をかければ宿泊客も日帰り入浴客もキャットルームに入ることができますが、猫たちと遊びたくて訪れる人はお客さん全体の3分の1にも及び、週末はキャットルームに順番待ちの列ができることもあるそうです。猫たちが疲れすぎないように気をつけつつ、〝ふれあいタイム〟を楽しみたいものです。

住所/積丹郡積丹町大字西河町14-2
電話/0135・48・5550
客室数/全10室
ホームページ/https://sirarahime.com
日帰り入浴/金・土・日曜の午後3時〜8時 (最終受付午後7時30分) 入浴料700円
※情報は取材当時のものです

「熱の湯」で温まり 手作りオーディオと猫に癒され 
長万部温泉「大成館」(長万部町)

あっという間に身体が温まり、「熱の湯」と呼ばれている「大成館」の男湯
「大成館」の男湯。あっという間に身体が温まり、「熱の湯」と呼ばれています
「大成館」
「チョロ」(左)と「小雪」(右)のきょうだい猫

 長万部温泉の歴史は1954年(昭和29年)にガス資源開発の目的で掘削していたところ、ガスとともに温泉が噴き出したことで始まりました。

1960年創業の「大成館」の外観
1960年創業の「大成館」
床や階段の赤が印象的な「大成館」館内

 温泉湧出を受けて町外から事業者が集まり、数年で温泉街が形成されます。現在は7軒の温泉宿が営業していますが、全ての施設が湯量豊富な同じ温泉源からの配湯を受けており、どの宿でも鮮度の高いかけ流しのお湯を楽しむことができます。泉質はすっきり熱めの塩化物温泉。成分量が多く、「熱の湯」と呼ばれる泉質の通り、あっという間に身体が温まります。

「大成館」の女湯
女湯ももちろん「熱湯」です
「大成館」館主の高井さん手作り、こだわりのオーディオルーム
館主の高井さん手作り、こだわりのオーディオルーム

 大成館の創業は1960年(昭和35年)。温泉街形成時からの移り変わりを見つめてきた一軒です。その大成館の館内で目を引くのは館主の高井優一さん手作りのオーディオたち。もともとは宿の近くで営んでいたジャズバーのために製作され、のちに旅館に移設されたメインのシステムは3台の真空管アンプで左右4つずつのスピーカーを鳴らします。

 スピーカーの位置やビスの打ち方が少し変わるだけで音のバランスが狂うため、20年ほどかけて最適な音の鳴り方を追求したそうで、そのこだわりはまさに職人技。希望者には高井さんおすすめの音源で音を聴かせてもらえますし、スマートフォンを繋いでお客さんが普段聴いている音楽をこのシステムで鳴らすこともできます。オーディオが趣味の人にはぜひ足を運んでいただきたい場所です。

 高井さんは20年ほど前から、自宅を使って温泉街に住む野良猫の保護や手術、生まれた子猫の里親探しなどを行ってきました。旅館を継いだ後は旅館内に猫たちを移して育てており、旅館・自宅・物置などにいる猫たちを全部含めると30匹ほど。里親が見つかって送り出した猫は100匹以上になるそうです。

「大成館」で世話をしているという館外などに暮らす猫たち
館外などに暮らす猫の世話もしているそうです

 特定の猫にリクエストがあれば連れてきてもらえますが、お客さんと触れ合えるタイプの猫は限られていて、現在館内で姿を見られるのは、少し人見知りの小雪ちゃんと落ち着いたチョロくんの、ともにまだ1歳にならないきょうだいの2匹です。

落ち着いた表情の「大成館」の看板猫「チョロ」
落ち着いた表情の「チョロ」
活発に遊ぶ「大成館」の看板猫「小雪」
活発に遊ぶ「小雪」

 まだ小さい猫たちだけに、取材当時、小雪ちゃんはおもちゃで活発に遊んでいました。来館時に見かけたときには、一緒に遊んであげてくださいね。

住所/山越郡長万部町字長万部400
電話/01377・2・2225
客室数/全16室
ホームページ/https://www.osyamanbe-kankou.jp/syousai/taiseikan.html (長万部観光協会サイト)
日帰り入浴/要連絡
※情報は取材当時のものです

ゆったり味わう宿坊の湯 撫でてみたい看板猫 
登別温泉「宿坊登別温泉観音寺」(登別市)

乳白色の硫黄泉が特徴の「観音寺」の浴室
「観音寺」の浴室。登別温泉といえば乳白色の硫黄泉。片隅には観音様のレリーフがあります
「観音寺」
看板猫の「隆子さん」

 説明の必要がないほど全国的に高い知名度と人気を誇る登別温泉ですが、そこに北海道で唯一の温泉付き宿坊があることはあまり知られていないかもしれません。「観音寺」と略して呼ばれることが多いですが、正式には「浄土宗観音山聖光院」というお寺です。
 お寺としての歴史は1895年(明治28年)に温泉街の中に建てられた説教所と寺子屋から始まり、焼失・無人となった期間を経て1952年(昭和27年)に今の場所に再建されました。その10年後にユースホステルとして宿泊業を開始し、宿坊としての歩みを始めます。

「観音寺」
一度は休業しながらも、要望に応えて宿泊を再開した「観音寺」
シンプルに、静かに過ごせる「観音寺」の客室
シンプルに、静かに過ごせる客室

 先代住職が他界されたため、いったん宿泊施設としての営業は終了しましたが、安価な宿泊料で一人でも泊まれる宿の需要は常にあり、休業中も宿泊したいという問い合わせは少なくなかったそうです。そうした事情もあり、このお寺で生まれ育った渋谷隆芳住職が宿泊業を再開、現在に至ります。シンプルで静かに過ごせる客室、こだわりの寝具、女性でも安心して宿泊できる暖かな雰囲気は日本人だけでなく海外の旅行客からも支持されています。

 観音寺の温泉は、登別と聞いて多くの人が想像する乳白色の硫黄泉。観音寺だけで使われている貴重な独自源泉で浴室が1カ所のため、宿泊者は交代での貸切利用となります。こぢんまりとした浴室には観音様のレリーフがあり、ここがお寺であることを感じさせてくれます。

 また、宿坊ならではの体験として、希望者は毎日朝晩2回行われる本堂でのおつとめに参加することができます。宿泊して朝のおつとめに参加すれば、引き締まった気持ちで穏やかな朝を迎えられることでしょう。

観音寺の本堂
観音寺の本堂。希望すれば朝晩のおつとめに参加できます

 観音寺の看板猫は住職の名前から1文字を取って名付けられた「隆子さん」。近郊のスキー場で住職のお子さんが見つけ、ここで家族として生活することになりました。

おとなしそうな表情で廊下にたたずむ「観音寺」の看板猫「隆子さん」
おとなしそうな表情で廊下にたたずむ「隆子さん」

 推定12歳で、たくさん撫でてもあまり嫌がらない、おとなしい猫です。アレルギーのお客さんにも配慮して、基本的にお客さんの前に出ることはありませんが、リクエストがあった場合には〝癒し担当スタッフ〟として対応してくれるそうです。

住所/登別市登別温泉町119-1
電話/0143・84・2359
客室数/全6室
ホームページ/https://syoukouin.wixsite.com/syukubokannonji
日帰り入浴/なし(宿泊者のみ)
※情報は取材当時のものです

「美肌の湯」を味わい 気軽に気楽にペットと宿泊 
虎杖浜温泉「たらこ湯」(白老町)

泉質はいわゆる「美肌の湯」という「たらこ湯」の女湯
「たらこ湯」の女湯。泉質はいわゆる「美肌の湯」です
「たらこ湯」の看板猫の「こた」
看板猫の「こた」

 「たらこ湯」はタラコで有名な虎杖浜で2024年5月にオープンした温泉ゲストハウスです。大学の同期だった吉原和香奈さんと山下順奈さんが温泉宿を運営する夢を叶えたいと全道各地を回り、見つけたのがこの虎杖浜温泉の元民宿でした。

「たらこ湯」の男湯
「たらこ湯」の男湯
「全室ペット可」という「たらこ湯」の客室
「全室ペット可」という客室

 動物好きでもある2人はペットと一緒に旅行したくても宿泊施設の選択肢が少なく、宿泊できても制約が多い現状に悩んでいました。そこで自身が運営する宿は宿泊料を抑え全室ペット可とし、気軽に気楽に宿泊者が客室で一緒に過ごせるようにしています(大型犬も、犬猫以外でも宿泊可能)。宿泊者が無料で使用できるドッグランを備えるほか、ドッグマッサージの施術も受けることができます。なお、宿泊は金・土・日曜と祝日のみの営業になります。

赤い暖簾が目印の「たらこ湯」
赤い暖簾が目印の「たらこ湯」
宿泊者が無料で利用できる「たらこ湯」のドッグラン
宿泊者が無料で利用できるドッグラン

 虎杖浜温泉は一般営業している温泉施設が多いだけでなく、町内会単位で管理運営し各家庭に配湯している温泉付分譲地も多数あり、以前から温泉好きに注目されてきた温泉地です。エリアによって少しずつ温泉の特徴が変わりますが、町内のどの温泉もいわゆる「美肌の湯」。たらこ湯の温泉も例外ではなく、pH8.8のアルカリ性で石鹸のような働きをするお湯をかけ流しで使用しています。毎週木曜日は貸切利用のスタイルで日帰り入浴が可能となっています。

 たらこ湯には、こたくん・なみちゃんの2匹の看板猫と看板犬のももちゃんがいます。この3匹は館内で見かけることがありますが、ほかに稀にしかお目にかかれない3匹の保護猫もいます。

床でひと休みする「たらこ湯」の看板猫「なみ」
床でひと休みする看板猫の「なみ」
保護猫の「しろ」(左)と「とら」(右)
なかなかお目にかかれないという保護猫の「しろ」(左)と「とら」(右)

 混雑時やペット連れの宿泊客がいる時などは館内に猫たちが出ないように配慮されますが、そうでない時間はどの猫たちものんびりと暮らしていて、リクエストがあれば触れ合うことが可能です。気がつけば猫たちに囲まれることもあるかもしれません。猫好きな人はもちろん、自宅がペット不可で飼うことができないという人も、たらこ湯ではじゅうぶん猫たちを愛でることができるでしょう。

住所/白老郡白老町虎杖浜48-1
電話/080・3930・9880
客室数/全6室
ホームページ/https://tarako-yu.sakura.ne.jp/kojohama/
日帰り入浴/木曜のみ、完全予約制。入浴料…大人1名1050円/大人2名1440円(貸切利用)
※情報は取材当時のものです
Tripeat編集部
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