【歌志内】市内でキッチンカー「りんどう」を経営し、ハンターでもある田中一紀さん(51)が市内の山林で自ら狩猟したシカ肉の販売を、自身の加工場(歌神36)で始めた。田中さんは「シカ肉は牛肉に似た味で、カロリーは低いが鉄分やミネラルが豊富。ハンター直売の新鮮でおいしい肉を多くの人に食べてもらいたい」と話す。
田中さんは千葉県出身で、2020年9月に自然が気に入った歌志内に移住。猟銃の狩猟免許を取得し、市内でシカ駆除に参加してきた。廃棄されていたシカを食用に活用したいと加工場を整備。23年3月に歌神地区に空き店舗を借りて、1年掛けて冷凍冷蔵庫を設置するなど改修した。食肉処理、販売業の許可も取り、今年6月から加工場でシカ肉販売を始めた。
シカ肉は狩猟後に血抜きし、30分以内に加工場で処理し冷蔵・冷凍するため、田中さんは「新鮮で肉質には自信がある」とPRする。システムエンジニアの経験を生かし、トレーサビリティー(生産流通履歴)のシステムを自分で開発し、商品に明記している。
シカ肉販売は卸売が主力だが、一般販売も行う。肉は部位ごとに塊で提供し、ロースが100グラム300~320円、モモが同180~250円、ミンチが同100円など。手に入りやすいように価格を抑えた。
シカ肉を使ったメンチカツ(1個400円)とキーマカレー(700円)も開発。道の駅うたしないチロルの湯の敷地内で、毎週土日(午前11時~午後2時)にキッチンカーで販売する。さらに、市と協力し、シカ肉を使ったご当地グルメ開発も進める。シカ肉一般販売は不定休。問い合わせは田中さん、電話090・7639・1925へ。 (宍戸透)
(北海道新聞2024年7月2日掲載)