北大大学院農学研究院1年の宮地帝輔さんが、クラウドファンディングで資金を集め、クラフトビール「北大未来開拓俱楽部ビール」をつくり、7月31日から、販売を始めます。北大構内や周辺の飲食店やネットショップで取り扱うほか、札幌市内のバーでは週末に宮地さん自身がカウンターに立ち、ビールを提供する予定です。宮地さんは「今後はオリジナルビールをつくりたい人を支援するなど、ビールのプロデュースを手がけたい」と話します。
このビールはベルギー発祥の「ファームハウスエール」(農家エール)というスタイルで、農家が夏の農作業の合間に飲んでいたとされるものです。すっきりとした味わいで、「緑豊かな北海道の夏に、木陰で乾杯したくなるビール」を目指したといいます。
今年6月に株式会社パイオビアをつくり、5~6月にクラウドファンディングを実施。目標の100万円を4日間で達成し、最終的に約200万円を集めました。ドイツ製大麦麦芽とホップ、コリアンダーを使い、札幌のブルワリー「月と太陽BREWING」で600リットル委託醸造しました。
北大構内のカフェや北大周辺の飲食店10店ほどで提供するほか、酒店やパイオビアのホームページで、355ミリリットル缶を980円で販売します。クラウドファンディングで資金を提供した札幌市中央区のバー「MANOMEWO(マノメオ)」(南3条西23丁目2-13 裏参道パールビル1階)では、金土日曜、祝日に不定期で宮地さんがバーカウンターでビールを提供します。宮地さんが登場する日程は、同店のSNSやパイオビアのホームページで告知します。
7月中旬にマノメオで開いたお披露目会では、参加者から「すっきりしていておいしい」「夏らしい味と香り」などと好評でした。
宮地さんがビールに関心を持ったのは、大学2年のころ。お酒の「通」を目指して、日本酒やワインを試してみたものの、種類が多かったり、アルコール度数が高かったりと、なかなかなじめなかったそう。そんな時、一緒に飲みに行った先輩が「とりあえず生!」と言うのを見て、かっこよさを感じたといいます。宮地さんは兵庫県出身ですが、ビールの中でも、「味わい深く、食事のじゃまをしない」と、北海道限定のサッポロクラシックのファンになりました。その後、クラフトビールなどさまざまなビールを買って飲むうち、ビールのおいしさにひきこまれていきました。
宮地さんは大学4年になる時、休学してオランダに渡り、海外農業研修に参加。オランダのスーパーで売られている地元のビールなどを飲んだほか、休暇を使ってイギリスやドイツ、ベルギーに行き、ヨーロッパのビール文化を体感し、一層ビール好きに拍車がかかりました。
帰国後、北大ビールサークル「Be Are kids(ビアキッズ)」を設立。ビアバー巡りや醸造所の見学、ビールの飲み比べ会などを実施したほか、今年3月には、サッポロファクトリーに道内のブルワリー7社を集めたイベント「HOKKAIDO CRAFT BEER FACTRY」を開催しました。
宮地さんは現在はサークルの代表を退いていますが、ビールに関わる活動は継続。2023年9月に出資者を募り、初めてのオリジナルビールづくりに挑戦。澄川ビールに委託し、ホップの香りの高い白ワインを思わせるセッションIPA「緑豊かな涼しい夏にぴったりのビール」を120リットル醸造しました。次いで、「クリスマスのための赤く輝くレッドビール」、今年1月末には「札幌の寒い冬にぴったりのクロビール」と、3種の限定醸造ビールをつくってきました。
大学2年生でビールに目覚め、わずか3年余りで、会社の設立やビールづくりなど、ビールに関わる活動を加速化させてきた宮地さん。それでも、「ビールに関わるのは楽しくて、苦にならない。『こんなビールをつくってみたい』と思う人たちのプロデュースもしてみたい」と話しています。
北大未来開拓俱楽部ビールの購入や提供店などはパイオビアのホームページへ。