
アジア各国の競馬関係者約500人が参加する「第40回アジア競馬会議」が8月27日から9月1日、札幌市内で開かれるのに伴い、同伴する家族や会議の空き時間を活用したい人のために、札幌発着の日帰りツアー「パートナープログラム」が催行されます。札幌からの日帰りツアーの参考に、3つのパートナープログラムと、併せて立ち寄りたいスポットを紹介します。
世界に誇れるワイナリー「NIKI Hills Winery」探訪

1つ目のプログラムは「北海道のワイナリーを巡る 北の大地を巡る旅」。近年、北海道ではワイナリーが増えており、全道で65に達しました。札幌から車で1時間余りの仁木町には14社のワイナリーがあり、うち4社が旭台地区です。このプログラムでは、同地区の「NIKI Hills Winery(ニキヒルズワイナリー)」と「Domaine Bless(ドメーヌブレス)」を訪れます。

仁木町内で2番目、2014年に創業した「NIKI Hills Winery」。世界最大規模の国際ワインコンクール「Decater World Wine Award2020」で日本の赤ワインとして初めて金賞を受賞した経験もあり、世界に通用するワイナリーです。

ニキヒルズワイナリーは、仁木町では「ドメーヌ・イチ」に次ぎ、2番目に開設されたワイナリーです。2015年に余市町の契約農家から仕入れたブドウで醸造を始め、耕作放棄地だった土地を改良して16年にブドウの苗を植栽。19年から自社ブドウでワインをつくっています。ワイナリーにショップとホテル、レストラン「Aperçu(アペルシュ)」が併設された複合施設になっています。

予約をすると、ワイナリーツアーに参加できます。選果室に案内してくれました。1階にレストランとショップがあり、ワイナリーは地下に当たりますが、傾斜を利用しているため、シャッターを開けるとすぐに屋外につながっています。自社ヴィンヤードで収穫したブドウはその日のうちに、ここに運ばれ、ベルトコンベヤー上で選果後、搾汁機に入れられます。
搾汁機の中には風船のようなものがあり、それを膨らませてブドウをつぶし、下のトレイにしぼられた果汁が出てきます。一般的にはブドウに含まれる果汁の8割ほどをしぼり取りますが、ニキヒルズでは6割程度にとどめます。皮の渋みを果汁に出さず、フレッシュないい部分だけをワインにするためだそうです。

醸造室には、大小のタンクが並んでいます。タンクごとに温度管理を徹底し、各ワインのイメージやその年のブドウの状態に合わせて、各過程でそれぞれのワインに適切な方法をとっています。


樽庫では、樽詰めされたワインがずらりと並びます。湿度や温度が一定に保たれており、かすかにブドウとワインの香りがします。
ちょうど、びん詰め作業が行われていました。その横では、スパークリングワインがびん内2次発酵のため、保管されていました。よく見ると、びんの口が下向きになっています。びんの口の部分におりを集め、おりの部分だけを特殊な液体で凍らせて、王冠を抜くとワインのガスに押されて、凍ったおりを抜く「デゴルジュマン」のために、下向きにしています。

1階に戻る途中には、併設したホテルの宿泊客が食事する特別な個室も見ることができます。大きなセラーもあり、ガラス越しにバッグビンテージや非販売品など、ワインファン垂ぜんのボトルを眺めることができます。1階に上がる階段の途中には、耕作放棄地の整備やブドウの苗木の植栽、ガーデンの造成などの写真パネルが展示されており、創業時の苦労がしのばれます。

ショップでは、ニキヒルズのワインを購入できます。時期によって販売アイテムが変わる可能性がありますが、フラッグシップワインの白「HATSUYUKI」や華やかな香りの白「NEIRO」、国際コンクール金賞受賞の赤「YUHZOME」などが並びます。グラスワインのほか、テイスティングセットも複数、用意。ホテルも併設されています。

レストラン「Aperçu(アペルシュ)」では、ランチは5~7品、ディナーは8~10品のコースを提供。シェフの永井尚樹さんは季節や自然から受けたインスピレーションをもとに詩を書き、詩の世界観を料理で表現します。


アスパラガスやカブ、ズッキーニ、ハーブなど野菜のみ40~50種を使った一皿は、グリエやソテーなどそれぞれの素材を生かす調理法で火入れし、アレンジメントフラワーのように芸術的に盛り込みます。甘いタマネギソースと辛いトマトソース、酸味のあるレモンソース、ゴーヤの苦みを効かせたソースで喜怒哀楽を表現した4種のソースで味わいます。
仁木町の花でもあるラベンダーのソースをかけた子羊のグリエには、ヒツジの骨からとったソースや、雪室で540日間、寝かせて糖度を上げた俱知安町産のジャガイモ「五四〇」のピューレなどが添えられます。


ワイナリーからは、整然とした自社ヴィンヤードとナチュラルガーデンを望むことができます。ガーデンは上段、中段、下段と3段階に段差が付けられており、見る角度や場所によって違った表情が見られます。
ワイナリー後背の森を散策するネイチャートレッキングやサイクリングツアー、冬のスノーシューツアーなどのアクティビティも充実しています。
住所/仁木町旭台148-1 |
電話番号/0135・32・3801 |
人と人を結ぶワインを醸す「Domaine Bless」

人と人とを結ぶ意味を込めた日本の伝統の飾りひも「水引」。「Domaine Bless」のフラッグシップワイン「MUSUBI」のエチケットには、水引の梅結びがあしらわれています。複数の品種のブドウの混醸で、オーナーの本間裕康さんは「ブドウとブドウが結ばれたワイン。お祝いの場面で一緒に飲んだ人と人が結ばれるようにという願いも込めました」と話します。


臨床検査技師だった本間さんは、ワイン好きが高じ、妻真紀さんとともにこの世界に飛び込みました。耕作放棄地を南向きのなだらかな丘陵に造成し、2015年からブドウの栽培を始めました。

ワインを飲む側からスタートしたので、「ヴィンヤードを見ながらワインが飲めたら」「おいしいおつまみもあれば」「ワインを飲んでも運転を気にせず、仲間と泊まれたら」と、自分たちが「あったらいいな」と思ったカフェや宿泊施設の運営を構想。それをかなえるために、フランス語で「夢」の意の「ル・レーヴ・ワイナリー」と名付けました。

18、19の両年の「10Rワイナリー」(岩見沢市)への委託醸造を経て、20年から自社醸造を開始。その間、夢を夢で終わらせず、カフェをオープンさせ、今年からコンドミニアムも稼働させました。夢を実現させたことから23年、社名を「祝福」の意の「ブレス」に変えました。


カフェでは、グラスワインやテイスティングセットのほか、ケーク・サレやキッシュ、余市町の「ぱん処」のタルティーヌやサンドなどを提供します。


予約制ですが、ワイナリーツアーも実施しており、醸造室や貯蔵庫、ヴィンヤードを見学した後は、ワイン4種類の飲み比べが付いています。


貯蔵庫に併設されたコンドミニアムは定員4人の「雅」と6人の「結」の2室で、「結」の窓からは、ライトアップされた熟成中の樽が見えます。余市町などの飲食店から料理のケータリングができるほか、テラスでBBQを楽しむこともできます。

ブドウはピノ・ノワールやムニエ、シャルドネなど13種類を栽培。アルザスの混醸を中心に、自然酵母にこだわって、すっきりした酸があるエレガントなワインをつくっています。今後はスパークリングにも力を入れたい考えで、本間さんは「乾杯からデザートまで、フルコースに対応できる多様なワインをつくりたい」と話します。
住所/仁木町旭台303 |
電話番号/0135・31・3311 |
立ち寄り先におすすめ 「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」

せっかく仁木に足を伸ばしたら、お酒好きなら隣接する余市町のニッカウヰスキー余市蒸溜所にも立ち寄ってみては。日本人で初めて、スコットランドでウイスキーの製造技術を身につけた竹鶴政孝氏が1934年に創業したのが、この蒸溜所です。
発酵棟や蒸溜棟、旧竹鶴邸など施設内の10棟は2022年2月、国の重要文化財に指定されました。今年は創立90年で、今も伝統的な石炭直火蒸溜によって、重厚で力強いモルトウイスキーを製造しています。

これらの施設を巡るガイドツアーを実施しているほか、ニッカミュージアムでは竹鶴とイギリス人の妻リタ、蒸溜所の歩みについて紹介。テイスティングバーも併設され、ここでしか飲むことのできないシングルカスクを味わうことができます。レストランではリタのレシピを再現した料理も提供しています。
住所/余市町黒川町7丁目6 |
電話番号/0135・23・3131 |