十勝の特産品を原料に使う「十勝地サイダー」シリーズを手がける十勝地サイダー研究会(林秀康代表、帯広)が、発足して今年で10年目を迎えた。これまで12市町村の特産品を使ったサイダー 15種類を商品化。販路拡大にも力を注ぎ、林代表は「観光客が旅行の記念に買う商品になった」と手応えを感じている。
「東京、世界に向けて発信したい」。8月29日に帯広空港で開かれたセレモニーで、林代表は意気込みを語った。セレモニーは十勝地サイダーの専用自販機設置を記念して行われた。自販機はJR帯広駅や道の駅おとふけなどに続いて4台目になる。
同研究会は、前身となる組織が道中小企業家同友会とかち支部内に設立され、2015年4月に現在の研究会が正式発足した。
この間、最初の商品となる「十勝ワイナリーぶどう果汁サイダー」(12年発売、現・池田ぶどうサイダー)を開発した。
原料に地域の特産品を使い、商品名に市町村名を入れるのが特徴。製造は苫小牧の飲料メーカー丸善市町に委託している。
黒豆の風味を生かした「本別黒まめ」(15年発売)、アカエゾマツの葉のフレーバーが香る「足寄オンネトーブルー」(16年発売)、乳酸菌入りの「中札内チーズホエイ」(17年発売)など変わり種の商品も手掛けてきた。22年に十勝サウナ協議会とコラボしたサウナ・ソーダも誕生。特産品PRなどを目的に生産者らから声がかかり、商品化に至るケースが多い。
今年6月発売の新商品「幕別いちご」は、幕別町内でいちご農園を営む北海道ホープランド(幕別)が「イチゴの加工品で土産にできる商品」を目指し、開発がスタート。2年がかりで「いちごジャムのような芳醇(ほうじゅん)な香り」を再現した。発売以来約3800本が売れ、同社の和田えみ専務は「好調です」と喜ぶ。
一方、原料不足などで販売休止や販売終了の商品もあり、全15種類のうち、10種類が購入可能だ。価格は350円か370円。15~23年度の出荷本数は計35万5145本に上る。
林代表は「サイダーは年代に関係なく愛される飲み物。管内全19市町村の地サイダーを開発したい」と話している。 (安達杏奈)
(北海道新聞2024年8月30日掲載)