札幌市とアメリカ・ポートランド市が1959年に姉妹都市提携を結んで今年で65周年を迎えるのを機に、札幌市内の2つのクラフトビールのブルワリーが27日(金)、記念ビールの販売をさっぽろテレビ塔の下で始めました。29日(日)まで限定で、3種類のビールを生と缶で販売しています。
65周年ビールを製造したのは、ストリートライト・ブルーイング(中央区)とえぞ麦酒(同)。人口65万人ほどのポートランド市には70ものクラフトビールのブルワリーがあり、「ビールのまち」として知られています。夕方や休日には、ブルワリーに併設されているタップルームに友人同士や家族連れが訪れ、地域の社交場になっています。
ストリートライト・ブルーイングの醸造責任者の川村洋平さんが今年4月下旬、ポートランド市のLEVEL BEERを訪れてビールを仕込み、できあがったビールを輸入しました。アルコール4.5%のセゾン「ROKUJU FIVE」。小麦によるパンの香りとライ麦によるスパイス感、スパイスのパラダイスシードのコショウのような香りが、セゾン酵母独特のフレーバーでまとめられています。
ストリートライトは、ビールを軸にまちづくりを進めるポートランドに刺激を受けた大阪匡史さんら3人が創設したブルワリーです。大阪さんらはストリートライトができる前にも、札幌とポートランドの姉妹提携60周年の記念ビールをクラウドファンディングでつくる事業を実施しており、今回も「つくるしかないでしょ!」と立ち上がりました。
大阪さんは「セゾン特有のスパイシーなフレーバーのように、札幌とポートランドのスパイシーで刺激的な関係が末永く続くようにとの願いを込めました」と話します。輸入量は355ミリリットル缶12本入り70ケースと、生ビール用のタップが数樽とわずかなので、この3日間にぜひ、テレビ塔下へ。
えぞ麦酒のビールは2種類。ポートランドの「CULMINATION BREWING」が醸造し、355ミリリットル缶を各50ケース、タップを各10樽輸入しました。青色の缶はIPA。ホップの香りが立っており、さわやかな苦みと爽快感があります。赤色の缶はラガー。こくのある王道の味わいです。青色の缶にはジンギスカンやススキノ交差点の「ひげのおじさん」で知られる「キング・オブ・ブレンダーズ」、ラーメン横丁など札幌のシンボルをあしらい、赤色の缶には札幌市の花スズランとポートランド市の花バラを持った姉妹が描かれています。
えぞ麦酒は姉妹提携60周年の際にも記念ビールを製造。それ以前の節目にも、ノンアルコールの記念ビールをつくるなど、札幌とポートランドとのきずなに関わってきました。
社長のフレッド・カフマンさんは1992年から、ススキノでビールバー「麦酒亭」を経営し、アメリカのみならず、世界各国のクラフトビールを輸入、提供しています。カフマンさんは「出身はロサンゼルスだけど、商売はビールのまちポートランドが多い」と言います。
このイベント終了後は、麦酒亭などで記念ビールを販売します。
一画では、オレゴンヘーゼルナッツファーム合同会社も出店。オレゴン州はアメリカのヘーゼルナッツ出荷量の99%を占める「ヘーゼルナッツ大国」で、今回はオレゴン州のヘーゼルナッツの小袋を販売しています。日本で焙煎した「ロースト」と甘塩っぱい味を付けたものの2種類で、1袋(約70グラム)通常499円が400円。
代表社員の神保正樹さんは「大粒で、食品添加物も一切使っていない自然の味です。ぜひ食べてみて」とPRします。
会場にはポートランド市やオレゴン州の観光や文化などを紹介するPRブースも出展。ポートランドのステッカーを無料で配布しているほか、アンケートやクイズに答えると、キーホルダーなどのプレゼントがもらえます。
ビールは1缶800円、生はS(200ミリリットル)600円、M(355ミリリットル)800円。29日までの午前11時~午後5時。