「フツーの晩ごはんを食べたいな」。旅先で名物を食べ続けた時や、仕事で疲れた帰り道などにふと、白いごはんにおみそ汁、おかずの3点セットが頭に浮かぶことはありませんか? 札幌市中心部で「夜でも定食を食べられる」店を5店紹介します。
目次
肉や魚のおかず豊富な、まさに「おうちの晩ごはん」
定食屋 ふか河 札幌駅前北口店
JR札幌駅や北大などの近くにある「定食屋 ふか河 札幌駅前北口店」。チキン南蛮や豚しょうが焼きといった肉のおかずだけでなく、サバみそ煮や焼きサンマ、アジフライなど魚介類のおかずもそろい、まさに「おうちの晩ごはん」の安心感があります。
店長の藤原智さん(47)によると、夜は会社帰りに一人で寄る常連客が多いそう。札幌駅北口周辺にホテルが多いためか、素泊まりするインバウンド(訪日客)が家族連れで来るケースも増えています。
約20種類の定食があります。「ほっけ開き定食」(1100円)は、皿からはみ出るほど大きいホッケが目を引きます。「特に観光客やインバウンドの方からの注文が多いです。開きホッケが珍しいからでしょうか」と藤原さん。脂の乗ったホッケを大根おろしと一緒に食べると、はしが止まりません。
ほっけ開き定食には小鉢のおかずが日替わりで2つ付きます。ポテトサラダやきんぴらごぼうなど、ラインアップは多彩。取材した日は、ひじきやゴボウ、ニンジンなどがたっぷりの卯の花と、マカロニサラダでした。
ヘルシーな「玄米御飯の和定食」(950円)の主役は、新鮮なマグロの刺身と、ほっこりと味のしみた肉じゃが。マグロにも玄米にも合うよう、とろろが付くのもうれしいポイントです。すべての定食のごはんを玄米に変更することもできます。
日替わり定食は2種類。「丼ものと定食を選べるよう、メニューを考えています」と藤原さん。毎日来ても飽きない工夫です。
「ごはんの前に、ちょっと一杯飲みたい」という時に便利なサービスも。定食を注文すると、生ビールやレモンサワーが100円引きに。午後5時以降は枝豆やポテトフライなど酒のつまみもあります。
住所…札幌市北区北7条西5丁目8−7 |
電話…011・707・7732 |
営業時間…月~金曜は午前11時~午後9時(L.O.午後8時20分)、土曜・祝日は午前11時ー午後6時(L.O.午後5時20分) |
定休日…日曜 |
ごはんがすすむメニューが揃う、飾らず楽しい町中華
大衆中華と惣菜 一条まるふじ
飾らない町中華の雰囲気が楽しい「大衆中華と惣菜 一条まるふじ」。ワイワイとにぎやかに酒を楽しむ客が多いですが、夜も定食を注文でき、ごはんをしっかりと食べることができます。
すべての中華メニューにプラス300円で、ごはん、スープ、小鉢、漬物を付けられます。
「チンジャオロースー」(800円、ハーフ600円)は、タケノコではなく、ゴボウを使っている珍しい一皿。豚肉から出るうまみもまとったゴボウの滋味や香りが、程よい歯応えとともに広がります。ピーマンのシャキシャキ感もたまりません。店長の経田道昭さん(60)が「しょうゆ味ベースで炒め、きんぴらごぼうのような感じもあります」と話すように、定食にぴったりです。
中国黒酢の豊かな香りが際立つ「黒酢酢豚」(850円、ハーフ650円)は、酸味控えめで甘みのある仕上がり。大きくカットされて食べ応え満点の肉と黒酢のこくが溶け合います。最後に皿に残ったあんも、ごはんに載せて食べたいほどです。
「土鍋四川マーボー豆腐」(750円、ハーフ550円)は、熱々の湯気、グツグツと沸く軽快な音とともに目の前へ運ばれてきます。豆板醤や甜麺醤のほか、山椒も効かせてしびれるような辛味をプラス。仕上げに、一味を載せ、熱した油を回しかけることで、香りと辛味をぐんと引き立たせます。それでいて、辛味だけでなく、後からほんのりと甘みも感じるのが不思議。お酒もごはんも、どちらもお供にしたくなります。
中華だけでなく、刺身やおつまみもあります。「本日の日替わり惣菜」(300円)もおすすめ。取材した日は「とうきびのかき揚げ」や「カレーグラタン」などがありました。定食に追加しても楽しめます。10月下旬にはおでんも登場する予定です。
住所…札幌市中央区南1条西11丁目327-18 |
電話…011・233・2228 |
営業時間…月~木曜は午前11時30分~午後10時(L.O.午後9時。ランチは午後3時までに入店)/金・土曜は午後3時~午後10時(L.O.午後9時)。 |
定休日…日曜、祝日 |
HP… https://katoshoten.jp/maru/ |
「昼夜関係なくお酒が飲めて、最後にごはん」を
ビル食堂 でら
「ビル食堂 でら」は名前の通り、ビルの3階にあります。ビルのイラストが描かれたユニークな看板が目印です。
食堂と聞くと、ごはんだけをパッと食べるところだとイメージしがち。しかし、オーナーの小野寺高志さん(50)が思い描く理想の食堂は「昼も夜も関係なく、いつでもお酒を飲めて、最後にごはんも食べられる」という懐の深さや、使い勝手の良さ。だからこそ、ランチからディナーまで同じメニューで、休憩なく通し営業をしています。
定食はもちろん、こだわりの一品料理やアルコールもずらり。ごはんの前に一杯飲みたくなってきます。小野寺さんのおすすめは「トマトサワー」(550円)。トマトの風味が濃厚ながら、すっきりとした後味です。
40種類近くある一品料理の中で人気があるのは、コリッとした歯触りの「酢ガツ」(630円)と「いぶりがっことクリームチーズのぐるぐる」(690円)。しみじみとした味わいが「食堂飲み」の粋な雰囲気に溶け込みます。
いよいよ定食へ。「2個デミカツ&ハンバーグ定食」(1600円)は、5日間以上かけて仕込んだデミグラスソースの照りが食欲をかき立てます。ルスツもち豚のバラしゃぶしゃぶ用をロール状に巻いたカツは、軽い食感。びらとり和牛のハンバーグは粗びきの肉肉しさがダイレクトに伝わるよう、玉ねぎと小麦粉だけをつなぎにしています。
丼ものも充実。「自家製おろし醤油(しょうゆ)ゆで豚豆腐丼」(1030円)は、自家製しょうゆだれをじんわりと染み込ませた温かな絹ごし豆腐が、白いごはんと不思議なほど合います。
「麻婆豆腐以外で、ごはんと相性のいい豆腐のおかずを考案したかった」と小野寺さん。豚バラ肉も一緒に口へ運び、うまさ倍増です。
住所…札幌市中央区南1条西1丁目2、大沢ビル3階 |
電話…011・252・2502 |
営業時間…午前11時ー午後10時(L.O.食事・午後9時、ドリンク・午後9時30分) |
定休日…無休 |
昭和レトロ感漂う老舗の熟練の技が生む味
定食・おにぎり 蜂屋
ススキノで半世紀以上営業を続けている「定食・おにぎり 蜂屋」は、夜定食のパイオニア。昭和のレトロ感が漂う5坪の店で味わえるのは、老いも若きも納得の老舗の味です。
壁には手書きのメニューがずらり。店主の角富雄さん(76)と妻の千鶴子さん(68)が穏やかな笑顔で迎えてくれます。1968年に千鶴子さんの両親が構えた店を、富雄さんと千鶴子さんが30年ほど前に継ぎました。
営業が始まるのは午後5時。ススキノで働く人の胃袋を支えているのはもちろん、会社帰りの人が定食を食べたり、飲んだ後のしめにお茶漬けを注文したりと、使い方はさまざまです。
「お好み定食」(1100円)は、主菜と副菜を1品ずつ選べて、ごはん、みそ汁、漬物が付きます。主菜のラインアップは、身のふんわり感がたまらない「サバみそ煮」や、創業当時から愛されている「焼き銀ダラ」など。魚のおかずが多い中で、「豚しょうが焼き」も人気です。
副菜は煮しめや卵焼きなど約30種類をそろえます。卵焼きは、大きく薄めに焼いた見た目と裏腹に、驚くほどふっくらとした食感。煮しめは、ダイコンやニンジンに味が優しく染み渡り、程よい歯触りも残っています。真似のできない熟練の技です。
「煮たまごおにぎり」(300円)は、甘辛のたれをほんのりと混ぜ込んだごはんにかぶりつくと、煮卵のとろんとした黄身が顔をのぞかせます。シンプルそうに見えて、実に手の込んだ一品。飲んだ帰りに家族へのおみやげに買う人、ススキノの飲食店への差し入れに持っていく人もいる大人気メニューです。
カレーライス(750円)は、富雄さんが「スパイスを最小限にして、くどくならないように仕上げている」と話す通り、誰もがホッとできる味。最初は甘さを感じ、後からほのかな辛味が広がります。ゴロンと大きなジャガイモにも、ほおが思わずほころびます。
住所…札幌市中央区南4条西3丁目3−1、第1Gビル1階 |
電話…011・518・2074 |
営業時間…午後5時~翌午前3時(金、土曜と祝前日は午前4時まで) |
定休日…日・月曜、祝日 |
主菜1品と副菜3品で自分好みにカスタマイズ定食
大衆食堂Bee
地下鉄東西線西11丁目駅に直結している「大衆食堂Bee」。昼はもちろん、夜も客の8割が定食を注文するといい、酒が苦手な人でもゆったりとくつろげる雰囲気です。
定食の人気の理由は、自分好みの定食を作り上げることができるから。「カスタマイズBee定食」(1290円)で、主菜を6種類からひとつ、副菜小鉢を20種類の中から3つ選べます。ラインアップは和風、洋風、中華とさまざまで、毎日来ても違う組み合わせが可能。ごはん、みそ汁、漬物が付きます。
主菜のひとつ、「サバみそ」は独自の合わせみそで深みを出し、ごはんが進むしっかりとした味付け。「黒酢ザンギ」は、パリッと揚げた鶏もも肉に黒酢だれを絡め、さらにチリパウダーや七味などのスパイスも載せ、こくとパンチが効いています。市内にある姉妹店「大衆酒場 くろべゑ」の名物「もつ煮込み」もあります。
今回の取材で選んだ副菜小鉢は、味が染みて柔らかな「イカと里芋煮」、ジャガイモがホロッと甘い「スペイン風カレーオムレツ」、赤色がきれいなピリ辛の「エビチリ豆腐」。他に「ポテトサラダ」や「蒸し鶏ときゅうりのごま和え」など、野菜もバランスよく取れるおかずがそろい、店長の林雄太さん(35)は「定食を注文するのは女性の方が多いです」と話します。
その人気をさらに高めているのが、「カスタマイズBee定食 選べるデザート付き」(1500円)。杏仁豆腐、きなこプリン、「おかんのプリン」の中からひとつ選べます。「おかんのプリン」は卵の風味が口いっぱいに広がり、弾力もしっかりとして懐かしい食感。甘い物でホッとできる時間もうれしいです。
単品メニューも充実。林さんによると、「きたあかりの肉じゃが」(605円)などを定食に追加する人も多いそう。日本酒や焼酎もさまざまな銘柄をそろえています。
住所…札幌市中央区大通西10丁目4、南大通ビル地下2階 |
電話…011・596・6225 |
営業時間…午前11時30分(土曜は午後3時)~午後11時(L.O.午後10時30分) |
定休日…日曜、祝日 |
HP… https://taisyu-syokudou-bee.owst.jp/ |