苫小牧の醸造会社「北海道ブルワリー」が市内初のクラフトビール醸造所(錦町2)を稼働させ、27日から併設するパブで商品を販売する。苫小牧で自生するヤチヤナギを使った発泡酒など3種類で、醸造を担う同社の高橋浩一さん(57)は「ようやく提供できる。期待して飲んでほしい」と話している。
醸造所は鉄骨平屋約100平方メートル。昨年9月に着工、11月末に完成し、今年1月の稼働を目指していたが、製造免許の取得に時間がかかり、稼働を延期していた。9月27日に発泡酒製造免許が下りたことから、10月18日に仕込みを開始。6台ある500リットルタンクのうち、3台を稼働している。最大で年間3万6千リットルの醸造が可能だ。
3種類のうち、「カムイゲイルセゾン」はヤチヤナギをホップの代わりに使い、爽やかな香りが特長。ホップの香りが豊かな「IPA」と、小麦を使った苦みの少ない「ヴァイツェン」も提供する。
今後、ハスカップやコンブなど地元の特産品を使った商品も生産し、徐々に種類を増やす予定だ。
醸造所に併設するパブ「北海道ブルワリー&ビアキッチン」で販売。230ミリリットルや400ミリリットルのグラスで提供する。ヴァイツェンは230ミリリットル900円、400ミリリットル1200円。他の2種類の価格は検討中で、350ミリリットル缶での販売や近隣の飲食店に樽を卸すことも考えている。
同社は市内の飲食店経営者らがクラフトビールを通じた地域活性化を目的に2022年に設立した。高橋さんが江別市の醸造会社「SOCブルーイング」で技術を磨き、これまで「カムイゲイルセゾン」など3種類を同社に委託醸造し、パブで販売してきた。
高橋さんは「試行錯誤を繰り返しながら、地元のお酒として知名度を上げていきたい」と意気込んでいる。(小林彩乃)
(北海道新聞2024年11月8日掲載)