

【美幌】町内の食品関連業者が、プロの西洋料理人らでつくる全日本司厨士(しちゅうし)協会北海道地方本部の助言を受け、主に美幌の農産物を使った商品開発を行っている。2023年に町と同本部が締結した食に関する連携協定に基づく事業の第1弾で、現在、3業者が試行錯誤を続けている。
協定締結は、町が21年度、美幌産牛肉を使ったレトルトカレーの開発の際、同本部の協力を仰いだことがきっかけ。町内企業が加工食品を開発する際、「企業側から『その道のプロから助言を受けたい』との声があった」(町政策推進課)。町が本年度、「食品アップリフトアドバイザリー事業」と名付け公募したところ、3業者から申請があった。
マルワ製麺は、学校給食用にピーマン、トマト、トウモロコシ、カボチャ、アスパラガスを使った商品を模索。アドバイスに基づき、野菜をパウダー状にしてパスタに混ぜ込むとともに、ミートソースにも細かくして加えた。同社は「食べる楽しさと健康を両立させたい」と話す。

「まちの洋食屋らぐぅ」を経営するフォンブランは、同社と提携する小清水産の山ワサビを使った新商品を検討。同本部の助言を求め、クリームチーズと山ワサビ、塩こうじを混ぜ合わせたマリネの瓶詰めを考案した。同本部の舟橋裕司幹事長は「パンやクラッカーに載せて食べれば、ワインや日本酒に合う」と狙いを明かす。
美幌峠の道の駅・ぐるっとパノラマ美幌峠の「バルクリエイト」は、名物のあげいもの新メニューを開発中。同本部と相談し、当初目指した生地へのチーズなどの練り込みをやめ、はちみつと粉チーズを振りかける方針に転換した。同社は「簡単に作れそう」と手応えをつかむ。
町は新年度以降も事業を継続する考え。舟橋幹事長は「美幌産の食材はどれも質が高い」と評価した上で「地域の食文化向上に少しでも関われれば」と話している。 (青山秀行)
(北海道新聞2025年2月5日掲載)