
【剣淵】町内の早乙女養蜂場の蜂蜜を使った蜂蜜酒「黎(あかつき)」と「農(みのり)」が、道の駅「絵本の里 けんぶち」などで販売されている。Uターンした古屋秀樹さん(65)が昨年設立した新会社「エンジョイ道北」の商品で、剣淵産蜂蜜の個性が表れる酒でまちをPRしようと意気込む。
町出身で、東京の外資系不動産コンサルティング会社で働いていた古屋さんは「生まれた町で生きていきたい」と2022年に帰郷。少子高齢化が進んで活気が少なくなった地元の姿に「まちおこしに貢献したい」という思いが高まったという。
町内には2軒の養蜂場があるのに加え、春から秋にかけて本州の養蜂家が蜜の採取に町を訪れる。古屋さんは24年2月、新聞で蜂蜜酒の特集記事を読み、「地元の原料を生かせるのでは」と蜂蜜酒の商品化を思いついた。
町の会合などで知り合いだった地元養蜂家の早乙女晃隆さん(53)に声をかけ、同年7月には蜂蜜酒の醸造に定評のある埼玉県のディアレットフィールド醸造所に製造を依頼した。
2種類以上の花から蜜を集めた「百花蜜」200キロを使い、25年1月に「黎」と「農」の2種類計1300本が完成。「黎」は雑味が少なく、甘みがありながらもすっきりとした味わい。一方、「農」は酵母をろ過せず、複雑な味わいに仕上げた。早乙女さんは「透明でクセのない蜂蜜の個性がそのまま酒に表れている」と話す。
2人は完成に先立ち、9月に新会社を立ち上げ、酒販免許を取得。商品販売のほか、特産品や生活情報を発信するウェブメディア「エンジョイ道北」を運営する。「まず1市3町(士別市、剣淵町、和寒町、幌加内町)から始め、いずれ旭川以北のマチの魅力を発信していきたい」と力を込める。
「黎」「農」ともにアルコール度数は10%。375ミリリットル入り3300円。同社のHPのほか、西條士別店などで購入できる。問い合わせは古屋さん、電話070・5014・4426へ。 (東桜子)
(北海道新聞2025年3月13日掲載)