
【今金】町特産のブランドジャガイモ「今金男しゃく」を使ったポテトチップスなどの人気が高まっている。スナック菓子製造・販売の湖池屋(東京)がオンライン販売している高級ポテトチップスを、地元枠として町内のAコープいまかね店やホテル2カ所で昨秋、詰め合わせ販売したところ2カ月ほどで1万箱を完売した。今金町農協は「今金男しゃくの知名度を高めて、新たな加工品開発や海外輸出などで販路を広げたい」と意欲的だ。
■深い味わい衝撃
町内限定販売で大人気だったのは湖池屋の高級ポテトチップス「今金男しゃくポテトチップス」の「うすしお味」と「のり塩」(いずれも1袋250円、詰め合わせ1箱1480円)。2015年に試験販売を始め、16年に正式に製品化。徐々に知名度を上げていった。同農協によると、今金での地元販売では住民が贈答用に購入したり、函館など他地域の人が買い求めたりしていたという。同農協企画審査課の工藤耕治課長は「購入者は『今まで食べたポテトチップスの中でダントツ』『上品で深い味わいに衝撃を受けました』『イモの味がしっかりあり、フライドポテトを食べているよう』などといった声を寄せています」と喜ぶ。
「今金男しゃく」は19年に農水省の「地理的表示(GI)保護制度」に登録された。湖池屋が同農協と取引を始めたのは15年。高級ポテトチップスの材料に耐えうるジャガイモを探していた湖池屋に、東京の市場関係者が「品質がいいイモなら、北海道の今金男しゃくがいい」と助言したという。
湖池屋は、2種類の「今金男しゃくポテトチップス」のほか、「最高級プライドポテト 幻の芋今金男しゃく」(1袋300円前後)もスーパーやコンビニで販売。高級志向のポテトチップスファンを取り込んでいる。
一方、昨年から販売開始されたのが今金男しゃくを使った「男爵じゃがバター」(217円)。食品加工会社の寿フーズ(七飯町)が製造し、七飯町の道の駅「なないろ・ななえ」に隣接する「THE DANSHAKU LOUNGE(ザ・ダンシャク・ラウンジ)」で販売している。同農協の工藤課長は「寿フーズはレトルトカレーなどイモを用いた商品が得意。ポテトチップス以外の商品も売り出したいという農協との思いが一致し、新商品の登場に至った」と説明する。

■AI選別機計画
同農協が昨年取り扱った食用今金男しゃくの数量は8370トン、販売高は約7億650万円。同農協は海外輸出展開を視野に昨年1月に香港、今年2月には台湾へ今金男しゃくを試験的に輸出した。
また、同農協の町内選果場に26年度、人工知能(AI)カメラを用いた新しい選別機を導入し、イモの選別作業を省力化する計画だ。小田島親守組合長は「農家の後継者が安心して今金男しゃくの生産を続ける環境づくりに努めたい」と話している。(大場俊英)
(北海道新聞 2025年3月17日掲載)