
四季を通じて札幌市民や観光客に親しまれている円山公園。隣接する北海道神宮や円山動物園、天然記念物に指定されている円山原始林、円山球場などとともに、散策やスポーツ、憩いの場として愛されており、特に春、桜の季節には花見をする人たちでにぎわいます。桜を眺めて春を感じながら、おいしいものを味わえば、お腹も心も大満足。円山公園周辺で入手できるテイクアウトグルメを紹介します。

地下鉄円山公園駅からほど近い、裏参道に面したビル1階に昨年末にオープンした「丸澤商店」は、立ち飲みのお店ですが、お酒にぴったりのおつまみやデリもテイクアウトできます。フレンチやイタリアンの店で腕を振るったシェフがつくる、キッシュや煮込み料理など、家庭料理とはひと味違ったワンランク上のお酒のおともを楽しめます。

店に入るとすぐに、デリが入った冷蔵ケースが出迎えます。看板メニューは「ベーコンとホウレン草の大きなキッシュ」(680円)。「大きな」と銘打つだけあって、どっしりとしていて、何より厚みが7~8センチと一般的なキッシュの倍ほどあり、ショートケーキのような形状です。
キッシュは外側の生地に火をしっかりと入れ、焼き目を付ける必要がありますが、数センチの薄さだと中のアパレイユ(卵液)に火が入りすぎて固くなってしまします。そこで、外側の生地と中の卵の火入れがちょうどよくなるよう、厚めにして、オーブンの温度を変えながら1時間ほどかけてじっくり焼き上げます。
チーズはパルミジャーノレッジャーノをたっぷり使い、カフェのランチなどで出されるキッシュより塩味も強め。お酒のつまみになるよう、しっかりした味付けです。

デリは日替わりで、15種類ほどが並びます。春の食材、タケノコを使った「豚肉とタケノコのビール煮込み」(100グラム680円)は、角煮のような豚のかたまり肉とごろんとしたタケノコをじっくり煮込んだボリューミーな一品。「生ハムとスパイシーなポテトサラダ」(100グラム480円)は、マッシュしたジャガイモにガラムマサラなどのスパイスをきかせた大人の味で、カットした生ハムの塩味がアクセントです。
「鶏せせり肉のアラビアータ」(100グラム580円)や「イイダコと豆の白ワインで炊いたん」(100グラム680円)も、チリパウダーやカイエンペッパーなどのスパイス、ハーブをミックスした「エルブトプロバンス」といったハーブ類を使い、家庭では出せないプロクオリティの味わいです。
単品のテイクアウトもありますが、2日前までに予約をすると、数種類を盛り合わせたオードブルも用意します。デリは、テイクアウトのほか、店の奥のカウンターの立ち飲みスペースでも提供しています。

店主の岡澤秀和さんは旭川市出身で、札幌市内の専門学校を卒業後、同市内のイタリア料理店やフランス料理店に勤務。料理とともに提供するワインに関心を持つようになり、ブドウを仕入れてワインを醸造する都市型ワイナリーが東京で開設される計画を知り、運営会社に転職しました。その後、「深川ワイナリー東京」に併設されたレストランなどで腕を振るい、昨年12月、北海道に戻り丸澤商店をオープンさせました。

ワイナリー勤務経験があるとはいえ、丸澤商店ではワイン以外に、ビールやサワー、日本酒など幅広く提供します。ワインは北海道内の飲食店ではなかなかお目にかかることのできない深川ワイナリー東京のもののほか、その時々で国内、海外の赤、白、オレンジ、泡などを用意しています。
2~3年前から「はまっている」というのが日本酒。岡澤さんは「ワインも食事とマリアージュしますが、合う、合わないの差が大きい一方、日本酒は何とマリアージュしてもおいしい。提供する温度帯も幅広く、おもしろい」と言います。取材の時には、福島県喜多方市の夢心酒造の「奈良萬 中垂れ」や、「甘みがあり、まるでジュースのよう」という富山市の玉旭酒造の「玉旭ECHOES」などがありました。ワイン、日本酒とも、グラスで550円から770円のお手頃価格なのも、うれしいところです。
イタリア・シチリア出身の知人から「おいしい」とすすめられたというポーランドのスピリッツ、ズブロッカを炭酸で割った「シチリアレモンサワー」など、独自のドリンクも提供しています。岡澤さんは「ほかの店がしないことをやります」と笑顔を見せています。
店名/丸澤商店 |
住所/札幌市中央区南2条西25丁目1-1 クラスAビル1階 |
電話番号/011-215-9084 |
営業時間/午後3時~11時(土日、祝日は正午から)。最終入店は午後10時 |
定休日/木曜、不定休あり |
たばこ/禁煙 |