
四季を通じて札幌市民や観光客に親しまれている円山公園。隣接する北海道神宮や円山動物園、天然記念物に指定されている円山原始林、円山球場などとともに、散策やスポーツ、憩いの場として愛されており、特に春、桜の季節には花見をする人たちでにぎわいます。桜を眺めて春を感じながら、おいしいものを味わえば、心も体も大満足。円山公園周辺で入手できるテイクアウトグルメを紹介します。

体に良くて、見て楽しくて、食べておいしい-。それが豆料理専門店「Mame Kitchen Maruyama」のメニューです。豆料理と聞いても、枝豆や煮豆くらいしか思い浮かばず、手間や時間がかかるイメージを持つ人も多いでしょうが、ここではおにぎりやスムージー、ピザ、スイーツなど、豆を使った料理を手軽に楽しめます。イートインコーナーもありますが、テイクアウトが主体です。

看板メニューは豆を使ったおにぎり(330円から)。くり豆を使った「しお豆」、くらかけ豆の「みそ炙り豆」、5種類の豆を入れた「スモーク豆&チーズ」、小豆とミョウガを混ぜ込んだ「ベジ豆」は定番。日替わりとして「たまご豆」「にく豆」「さかな豆」があり、取材の日は、だし巻き玉子とくらかけ豆、くり豆と鶏そぼろ、小豆とサケのおにぎりが並んでいました。どれも豆がたっぷり入り、豆の食感や味わいを楽しめます。

お花見には、おにぎりとおかずを詰め合わせた「ワクワク!豆ランチボックス」(1300円)がおすすめ。ピンクや紫、黄色、緑と、まず見た目が華やかです。おにぎり2個と小豆を衣に使ったザンギ、3種類の豆を使ったビーンズピクルスサラダ、紫色のジャガイモ「ノーザンルビー」と「シャドークイーン」を使い、スモーク豆を入れたポテトサラダを詰め合わせています。
取材に伺った日のおにぎりは、「スモーク豆&チーズ」と「だし巻き玉子とくらかけ豆」。スモーク豆&チーズには、同店並びのすぐ近くにあるハムやソーセージの店「サルーミハヤシ」に頼んでスモークしてもらった蒸し豆を使っており、くん製の香りがふわっと漂います。だし巻き玉子は関西風のしっとりとしたもので、優しい味わいに加え、彩りのアクセントにもなっています。「ワクワク!豆ランチボックス」は要予約です。
ほかに、ランチボックスとして、大豆がごろごろ入った「黄大豆と道産豚肉のハンバーグBOX」(1100円)と小豆を衣に使った「ザクザク小豆衣のザンギBOX」(1050円)もあります。

蒸した豆を使ったスムージー(Mサイズ630円から)も人気です。一番人気の「手亡豆」には本別町産のハスカップを、「服白金時豆」には足寄産のイチゴ「天使のいちご」を、「大正金時豆」には長沼町産ルバーブとオレンジを加え、それぞれ牛乳とヨーグルトか、豆乳とヨーグルトを選ぶことができます。蒸した豆はミキサーですりつぶされ、なめらかな舌触り。一口飲んでも豆だとはなかなか気づけないのですが、よく味わってみると、豆の甘みや香りを感じます。
5種類の豆を使ったチリビーンズは、鶏ひき肉か大豆ミートを選び、さらに辛さも甘口、中辛、辛口とチョイスできます。豆のほか、タマネギとニンジン、ゴボウも入り、うまみと食感が楽しめます。同店近くの「マルヤマベーカリーShian」のパンにはさむか、富良野産の「ななつぼし」のターメリックライスと一緒に提供します。パンはMサイズ530円、ライスは同650円。豆カレー(Mサイズ750円)や豆オムライス(850円)も、ヘルシーなのにボリューム満点です。
具に豆を使ったピザは「チリビーンズピザ」や「ベジ豆ジェノベーゼピザ」など7種類。ワンハンドで手軽に食べられる「豆ピザコッペ」もあり、お花見にもぴったりです。

代表の谷口まどかさんは札幌出身で、息子を小規模校で学ばせたいと、知人の紹介で15年に本別町に移住。実は谷口さんは、甘い煮豆は好きではなく、豆乳や納豆も自ら手を伸ばすことはあまりなかったそうです。移住後、本別が「豆のまち」と名乗っていることを知り、豆に関心を持ち始めましたが、町内で豆料理を出す店はなく、一般家庭でもさほど豆を消費している様子はありません。管理栄養士の資格を持つ谷口さんは、栄養価が高い豆を産地でおいしく食べられたら-と、豆料理の研究を始めました。
考案した豆料理を勤務先の飲食店で提供したり、子どもたちに試食してもらったりして、次々とレシピを開発。イベントへの出店や豆の生産者との交流も通して、谷口さんの「豆活動」は地域に根付いていきます。料理だけではなく、「地域おこしの材料に」と、豆をPRするためのミュージックビデオを自ら制作するなど、豆をテーマにさまざまな分野で活動しました。息子の高校進学を機に札幌にUターンした谷口さんは21年8月、この店を開きました。

豆が体にいいのは広く知られていますが、前日から水に浸したり長時間煮たりと手間や時間がかかることや、豆料理のバリエーションが少ないことなどから、敬遠されがち。野菜類などは収穫してそのままや、さっと火を通して食べることができ、消費者にもおいしさを実感してもらいやすいのに対し、「豆はおいしさを体感しずらい」(谷口さん)といいます。谷口さんは「いろいろな豆料理に接する機会をつくることで、豆を身近に感じてほしい。栄養があるだけでは続かない。食べておいしいと実感してもらえば、豆を好きになってもらえる」と話します。
店頭での提供だけでなく、冷凍豆ご飯の通信販売もスタートさせた谷口さん。カレーやチリビーンズなどほかの料理も通信販売のメニューに加えたいと意気込みます。豆の料理教室の定期開催も決まっており、店を飛び出し、広く豆の普及活動に取り組んでいます。
店名/Mame Kitchen Maruyama |
住所/札幌市中央区北2条西25丁目1-1 |
電話番号/011-838-8640 |
営業時間/平日午前8時半~午後3時、土日祝日午前8時半~午後6時 |
定休日/月曜、火曜 |
たばこ/禁煙 |