檜山管内今金町では特産のジャガイモ「今金男しゃく」が収穫されている。今年は8月の大雨で畑が冠水、収量減が心配されている。それでも国の「地理的表示(GI(ジーアイ))保護制度」に登録されている質の維持に向け、懸命に作業をしている。(編集委員 鈴木雅人)
収穫機でイモが掘り起こされ、コンテナに収納される。8月30日、土橋(つちはし)龍二さん(33)の一家が収穫に汗を流していた。寒暖差が大きく、ほくほくとした食感と甘みが特長。土橋さんは本州の知人に送る際「煮ると崩れやすいので注意してと必ず伝える」ほどだ。
今年は干ばつや雨の影響が多かった。8月16日、大雨で土橋さんの畑も冠水。「呼吸する表面の穴がふさがれ、斑点が出る生理障害が増えた」という。「味は良くても見た目が悪く、約4割がポテトチップなどの加工に回りそう」と話す。
町内でのイモ作りは1891年(明治24年)からで、1953年に男しゃくに一本化。品質管理は厳しく、でんぷん含有率のライマン価が13・5%以上と決められている。GI制度は夕張メロンなどに続き、2019年に登録された。
今金町農協によると、ジャガイモは約100戸で370ヘクタール余り。種イモなども含め今年は約1万1千トン、販売額は約9億円を目指す。「農家は収量減と収入減に見舞われる可能性が高い」(企画審査課)と心配する。
収穫作業は10月初めまで続く。生食用は9割は関東圏へ。残りは道内量販店向けで、札幌市内では東光ストア全店で販売。ホクレン経由でコープさっぽろやイオンのギフトのほか、同農協のネットショップでも10月上旬から販売する。
東京の大手スナック菓子メーカー「湖池屋」は今金産を使い、オンラインショップで限定商品のポテトチップスうす塩・のり塩を9月15日に発売。店頭販売用の「JAPANプライドポテト」は岩塩を使い、10月末の販売を予定する。同社広報部は「照会が増え、私たちも生産者に感謝しながら届けたい」と話す。
同農協は道民サポーターズクラブを昨年始めた。今年は道外にも広げ、800口(道内1口6500円)を9月末まで募り、イモや加工品など詰め合わせを贈る。詳細は専用ホームページや、同クラブの日原さん、電話090・5229・1764へ。
(北海道新聞2022年9月16日掲載)
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