「小樽で何食べる?」となった時、すっかり定番になっているのが「あんかけ焼きそば」。アツアツのあんがたっぷりのあんかけ焼きそばは、かつて小樽運河の界隈で働いていた港湾労働者の体を温め、おなかを満たした栄養満点のメニューとして人気となり、今も変わらず小樽市民に愛され続けているソウルフード。
2022年3月には、文化庁が、地域で受け継がれ愛されている食文化を掘り起こし、100年続く食文化として継承することを目指す「100年フード」として、「小樽あんかけ焼きそば」を認定しました。その小樽あんかけ焼きそば、オススメ6選をご紹介します。
小樽あんかけ焼きそばとは?…比較的、あんは固めで量が多く、麺に焼き色がついているのが特徴ですが、明確な定義はありません。小樽市内では、常設メニューにない店も含め100店ほどで提供されています。
目次
蒸し麺に豊富な具材で「がっつり」と
中華料理 天蓮華
2015年にオープンした「中華料理 天蓮華(てんれんげ)」。小樽商科大学へと続く「地獄坂」の途中にあるお店で、「がっつり食べたい」男性客を中心ににぎわっています。
チャーハンや定食など様々なメニューが並ぶなか、やっぱり一番人気というのが3種類のあんかけ焼きそば。麺は「皆と同じでは面白くないから」と焼いた蒸し麺のうえに、店主の津崎さんが、高校卒業後に勤めた札幌の店の味をベースにした餡がかけられています。ちなみに蒸し麺は、ただゆでるよりも手間がかかるのですが、食感がしっかりとなり、餡がからんで時間がたつと、モチっとした食感に変わるのが特徴で、「この麺を食べたくて来ました」というお客さんがいるほどなんです。
「エビ入りあんかけ焼きそば」「五目あんかけ焼きそば」「豚肉細切りあんかけ焼きそば」の3種類はどれも人気で甲乙つけがたいそうですが、特にオススメなのは塩味の「エビ入りあんかけ焼きそば」。エビ入りとはいえ、豚肉やイカ、うずらにたけのこ、人参にきくらげ、ヤングコーン、季節の青菜や珍しいフクロダケまで入り本当に具材豊富! 一見するとそれほど多く見えないのですが、麺の食感や種類豊富な具材のおかげか、非常に満腹になる一品です。
あんかけ焼きそばだけでなく、1つ1つがげんこつのように大きい唐揚げも天蓮華の代名詞。定食メニューのなかでも、ボリューム感のある「から揚げ定食」も人気です。
場所柄、地元の方が多いお店なので観光客はまだ少ないそう。ぜひ、小樽らしい坂の途中にある「天蓮華」で、具沢山なあんかけ焼きそばをご賞味ください。
住所/小樽市富岡1丁目20-4 |
電話/0134・55・0449 |
営業時間/午前11時30分~午後2時(L.O.午後1時45分)、午後5時~7時(L.O.午後6時45分) ※スープ等がなくなり次第終了する場合あり |
定休日/毎週月曜。月1回だけ火曜休みあり(月1回 月・火曜の連休となります) |
駐車場/あり。店の並びにあるカトリック教会 富岡聖堂の駐車場敷地内2台分 |
焼いた陶板のお皿で熱々!を提供
小樽ら~めん 一期一会
2007年11月にオープンした「小樽ら~めん 一期一会」。店主の木越さんは、高校卒業後、一度は別の仕事に就きましたが、「大衆食堂をやりたい」と調理の道へ進みます。じつは、木越さんのお母さんはラーメン店を営んでいたこともあり、小さいころからラーメンや食堂が身近な存在だったのです。
そんな「一期一会」で一番人気なのは、やっぱり「あんかけ焼きそば」。「ラーメン屋なのに、あんかけが人気なのか…」と最初こそ思っていたそうですが、小樽市民にとっては昔からどこでも食べられるソウルフードであり、お母さんの食堂でもあんかけ焼きそばがあったそう。
そこで、木越さんは「熱いものはできる限り熱々で出したい」という思いから、直火で焼いた陶板であんかけ焼きそばを提供することに。実際、熱々の皿に盛られた、熱々のあんかけ焼きそばは、食べ終わるまで冷めません。猫舌の方にはオススメできませんが、そんな方のために普通の皿バージョンもありますのでご安心くださいね。
しっかり焼かれた麺に白菜やもやし、玉ねぎ、人参、きくらげ、豚肉と、イカやエビ、ホタテも入った具沢山な「あんかけ焼きそば(醤油味)」は、あっさりとして最後まで食べ飽きしない美味しさです。
もちろんあんかけ焼きそばだけではなく、ラーメンにご飯もの、一品料理までいろいろなメニューがあり、ボリュームのある「らーめん+どんぶりセット」など、近隣の会社や工場に勤める方たちにも大人気。「8~9割は常連さん」というほど、地元や小樽近郊の方に愛されているお店です。
住所/小樽市新光4丁目3-24 |
電話/0134・51・5135 |
営業時間/午前11時~午後3時(L.O.午後2時45分)、午後5時~9時(L.O.午後8時30分) |
定休日/水曜 |
駐車場/20台 |
老若男女だれもが好きなしょうゆ餡
ニュー三幸 小樽本店
1954年に創業した「ニュー三幸 小樽本店」は、2024年6月29日で70周年を迎える老舗ビヤホール。現在は、株式会社北海道サッポロライオンのグループ店となっています。
ビヤホールですから、昼から美味しい生ビールやジンギスカンも最高ですし、ビーフシチューやオムライス、クリームコロッケなどの洋食メニューのファンも多いんです。ただ、そんなニュー三幸 小樽本店でも、一番人気のメニューは「小樽あんかけ焼きそば」なんですよ!
軽く焼かれたやわらかめの麺に、ほどよいかたさの餡が絡み、老若男女が好むしょうゆ餡。具材は、エビ、豚肉、白菜、人参、チンゲン菜、タケノコ、きくらげで、港町小樽らしく、最初に口に運んだ時にはやや濃いめに感じられるものの、シャキシャキの野菜がたくさん入っているので後味はあっさりと感じられるから不思議です。美味しい生ビールとおつまみメニューを楽しんで、最後の締めに「小樽あんかけ焼きそば」というのも楽しそう。
お店は、サンモール一番街というアーケードの中にあり、お昼時はもちろん、家族やお友達同士の飲み会や会社の宴会など、多くの市民が一度は足を運んだことのあるお店と言えるでしょう。レンガがあしらわれた店内は、広々した解放感ある空間。レトロなランプやステンドグラスの窓など、老舗ならではのくつろげる雰囲気です。
ちなみに、祝津にある「おたる水族餡」内のレストランも「ニュー三幸」です。もちろん、水族館のレストランでも同じ「小樽あんかけ焼きそば」が食べられます! 小さなお子さんがいるなら水族館で、大人の皆さんであればぜひ本店で、ビールとあんかけ焼きそばをお楽しみください。
住所/小樽市稲穂1丁目3-6 サンモール一番街 |
電話/0134・33・3500 |
営業時間/午前11時30分~午後9時(L.O.午後8時30分) |
定休日/元日 |
駐車場/専用駐車場8台。近隣に提携駐車場もあり |
ちょっとリッチな「蟹あんかけ」
小樽中国料理 好
小樽運河・浅草橋街園の目の前にあり、小樽市指定歴史的建造物を活用した中華レストラン「好(ハオ)」は1988年にオープン。歴史的建造物の「協和浜ビル」は、海運関係の会社が多数入居していた小樽のテナントビルの草分けであり、俳優・石原裕次郎の父が支店長を務めていた山下汽船が入居していたことでも知られています。
こちらの人気メニューは、「五目あんかけ焼そば」と「海老あんかけ焼そば」。そして、定番の2品より「ちょっとリッチなあんかけ焼きそばを食べたいな…」という方にオススメなのが「蟹あんかけ焼そば」です。
焼いた麺の上には白菜、ニンジン、小松菜、キクラゲ、玉ねぎが入ったあんがかけられ、さらにその上には蟹のむき身がたっぷり。どなたにも好まれる醤油ベースの味に蟹の風味が加わることでさらに味わい深く、食べ応え満点のメニューです。
運河の目の前という立地にありながら、市民の常連客も多い「好」。シックな雰囲気なので、女性同士やご夫婦の利用が多いそうです。他のお店では、直接、皿に付けて出されることの多い紅しょうがやカラシが別の小皿で出されたり、食後にはホットのジャスミンティーのサービスがあったりと、ちょっとした心遣いもうれしいお店です。
住所/小樽市色内1丁目2-18 協和浜ビル |
電話/0134・32・0680 |
営業時間/午前11時~午後2時、午後5時~8時30分(L.O.午後8時) |
定休日/年末年始(12月31日~1月2日) |
駐車場/店舗裏に6台 |
食感パリパリッの「揚げ麺」タイプも
五十番菜館
JR小樽駅から、徒歩3分ほどの場所にある「五十番菜館」。
長い間、市民に愛され続けているこちらのお店は、1959年にJR小樽駅からすぐ近くの梁川通りにて開店。そこで10年ほど営業した後、現在の小樽都通り商店街のアーケード内に移転し、営業を続けている中華食堂です。店主の澤田寛さんいわく、店の一番人気は「五目ヤキソバ(あんかけ)」だそうですが、こちらには「五目アゲソバ(あんかけ)」というメニューもあり、麺のタイプが選べるのがポイントです。
小樽市内には、喫茶店や居酒屋などあんかけ焼きそばを食べられる店はたくさんありますが、あんかけの揚げそばを食べられるところはあまりありません。パリパリッとした揚げ麺は、あんがかかっているところ、かかっていないところで食感の変化を楽しめますし、後半に「味変」のためお酢をかけると、味に加え麺の食感も変わります。たまには気分を変えて、揚げ麺タイプが食べたいという方にはオススメですよ。
ちなみに、「『五目ヤキソバ』と『五目アゲソバ』のあんの味は同じなんですか?」と店主に尋ねたところ、味は微妙に変えているんだとか。そう聞くと、「ヤキソバ」と「アゲソバ」の食べ比べをしてみるのも楽しそうですね。
住所/小樽市稲穂2-10-1(小樽都通り商店街アーケード内) |
電話/0134・32・4793 |
営業時間/午前11時~午後2時 |
定休日/火・金曜 |
駐車場/なし |
オリジナリティとボリューム十分の一皿
中華食堂 龍鳳
「ブラックサバス」に「G.B.H.」、「足りない二人」、「腹黒」などなど…、なんとこれらは全て「龍鳳」のあんかけ焼きそばのメニューです!
店主の太田友樹さんは、札幌のホテルニューオータニで修業後、父・洲雄さんが始めた店を継ぐことに。お父さんの味をそのまま出すのではなく、あんかけ焼きそばでさまざまな表現をしたいと考えた友樹さんは、中華の枠にとどまらないメニューを生み出し、現在は23種類ものあんかけ焼きそばを提供しています。
一番人気は、やはり定番の「五目あんかけ焼きそば」と「エビ塩あんかけ焼きそば」。大盛りの店としても有名で、1人前は麺2玉、ハーフサイズで麺1玉とボリュームもたっぷりです(小食の方のために、0.5玉もあります)。
とはいえ、やはり食べてもらいたいのは、店主オリジナルのあんかけ焼きそばの数々。最新メニューの「ニャンかけ焼きそば」は、猫好きの店主が、保護猫活動のために何かできないかと考えてできたメニューで、猫が好きなかつお節とそれに合うような和風の味付けになっています。猫好きな方は、ぜひ一度お試し下さいね。
住所/小樽市稲穂4丁目4-9 |
電話/0134・23・9918 |
営業時間/午前11時~午後3時 |
定休日/水・木曜 |
駐車場/店舗前に8台 |
フェイスブック/https://www.facebook.com/otaru.ryuuhou |