【洞爺湖】札幌市から今月上旬に移住した三浦芳裕さん(57)が洞爺湖温泉に醸造所「Lake Toya Beer(レイク・トーヤ・ビア)」を構え、クラフトビール造りに挑んでいる。醸造所に併設する店舗「Tap Room LTB(タップ・ルーム・エルティービー)」で11月中旬からテイクアウトでの販売を目指す。三浦さんは「地元客はもちろん、観光客にも温泉上がりの1杯で飲んでもらいたい」と意気込んでいる。
三浦さんは札幌市南区出身。2010年ごろから後志管内余市町のワイナリーでボランティアとして醸造に携わり、自らも好きなビールで酒造に挑戦したいと思うようになった。20年から札幌の醸造所でビール造りを学び、昨年9月、30年間ほど務めたIT企業を退職した。
旅行やドライブでたびたび訪れていた洞爺湖温泉で醸造所と店舗の用地を選び、今年1月から醸造の準備を本格化。今月19日の仕込みでは、細かく砕いた麦芽と温水を混ぜ合わせて「糖化液」をつくり、ろ過してからホップを加えて煮沸。麦芽とホップの甘くフルーティーな香りが所内にふんわり漂った。このあと1カ月ほどかけて発酵や貯蔵を行い、仕上げる。
販売するのは、ホップの香りと苦みを強調した「インディア・ペールエール(IPA)」、白ビール「バイツェン」など。いずれは地元で採れたリンゴ、サクランボなどの果物を用いたり、野生酵母を使ったりしたビール造りも手掛ける予定。三浦さんは「欧州の醸造所には地元住民のためにビールを造り、消費してもらう文化がある。このスタイルを洞爺湖温泉で実現したい」と話している。(山中悠介)
(北海道新聞2022年10月21日掲載)
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