1922(大正11)年に札幌や小樽とともに北海道で初めて市政が施行され、今夏で100周年を迎えた函館市。中でも西部地区と呼ばれる函館山麓の地区や、JR函館駅周辺には、国内初の国際貿易港として栄えた歴史を感じることができる観光名所が点在します。西部地区を中心に、函館市民に長年愛されてきたローカルフードが楽しめるオススメ店5軒をご紹介します。
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どこかで食べた、あの懐かしい味わい @冨士冷菓
市電・松風町電停から徒歩3分というアクセスの良い立地にあるアイスクリーム・シャーベット専門店です。冷菓を販売していた映画館「冨二館」の売店が前身で、今年で創業76年を迎えます。
季節限定のフレーバーも含めて常時40種類もの商品が並び、訪れるお客さんの目と舌を楽しませます。
道産牛乳と、卵ではなく練乳を使うことで、コクのある昔懐かしい味わいに仕上がるそうです。「できたてを届けたい」との思いから、少量生産のスタイルを守る一方、新商品の開発や改良にも力を入れています。
アイスクリームの中でもオススメのフレーバーは「みたらしミルク」(340円)です。こだわりのお醬油は地元の道南食糧工業のものを使用。なめらかで甘じょっぱいみたらし餡がミルクアイスクリームが絡み合って、やみつきになる味です。
今時期は、青森県産のりんご「紅玉」を使ったアイスクリーム「アップルシナモン」(360円)や、アルコールの効いた大人のシャーベット「ボージョレ・ヌーヴォー」(360円)が登場し、季節の味覚が楽しめます。
▽住所/函館市大森町18-15 |
▽TEL/0138・22・3819 |
▽営業時間/10時~17時(5月~10月)、10時~16時(11月~4月) |
▽定休日/木曜、第4月曜 |
▽駐車場/無 |
▽HP/https://www.fujireika.com/ |
創業139年、食卓に寄り添う親しみやすいお豆腐屋さん @佐々木豆腐店
市電・宝来町電停から徒歩2分。あさり坂を上っていくとのぼりが見えてきます。明治16年(1883年)に創業し、139年を迎えます。
5代目店主の佐々木孝さんは、函館を離れていましたが、同業者の廃業が相次ぐ中、「豆腐屋がなくなってしまったら悲しい」と家業を継ぐことを決意。20年ほど前に反対する家族を説得して函館に戻ってきたそうです。孝さんは「本当に繊細なんですよ」と、日々一心に豆腐に向き合います。
看板商品の豆腐は木綿(220円)のみ。木綿のうまみと、絹ごしのような滑らかな舌触りが特徴で、どんな料理にも対応できる万能豆腐として、函館市民に愛されています。これからの季節、鍋にも最適です。
このほか、油揚げやがんもどき、おからなど自慢の大豆製品が並んでいて、それぞれの手作りレシピも置いてあります。中でも孝さんの代から販売を始めた「生揚げ」(230円)は、中に豆腐がぎっしり詰まっていて食べ応え十分です。
豆腐がなくなり次第閉店するので、ぜひ早めの来店を。おうちごはんの心強いお供にきっと出会えるはずです。
▽住所/函館市宝来町4-10 |
▽TEL/0138・22・6732 |
▽営業時間/7時30分~18時 ※豆腐が無くなり次第閉店 |
▽定休日/日曜 |
▽駐車場/無 |
▽インスタ/https://www.instagram.com/sasakitoufuten1883/ ▽ツイッター/https://bit.ly/3g99haj |
創業104年の熟練の技光る、奥深い蕎麦の味わいを気軽に @そば処満る大(まるだい)
市電・谷地頭町電停から函館山に向かってすぐ左手にあります。1918年(大正7年)創業の函館市民が足繫く通う老舗です。
人気メニューは、「なかよしセット」(1430円)と「手打ち挽きぐるみ 天ざるそば」(1590円)。
なかよしセットは、ざるそばと天丼がセットになったボリューム満点なメニュー。そばは、こだわりの摩周産そば粉などと道産小麦粉を使い、モチモチとした食感と、すっきりとした後味が特徴で、そばが苦手な人も楽しめます。
「挽きぐるみ」は、そばの実を殻と一緒に挽いた黒っぽい田舎風そばで、コシと強い香りが後を引く美味しさ。天ぷらとの相性もばっちりです。
初冬までは新そばのそば粉だけで打った生粉打ち(十割)が登場。そば粉本来の豊かな香りが堪能できます。
また、5月末から9月末くらいには、つなぎを入れず、更科粉のみで打った細麺「更科生一本」(要予約)も提供されます。他店でもほとんど見かけない珍しいメニューですので、ぜひ1度、代々受け継がれた技術の結晶である繊細な味を試してみてください。
店主の鹿内義之さんは「少しずつ時代に合わせながらも変わらぬうまさを守ってきた。一生懸命、毎日喜んでもらえるように頑張っている」と話していました。
▽住所/函館市谷地頭町34-5 |
0138・22・5953・22・5953 |
▽営業時間/昼:11時30分~14時30分(ラストオーダー)/夜:金、土、日曜のみ。17時~19時20分(ラストオーダー) |
▽定休日/月曜、第3火曜 |
▽駐車場/9台分 ※店舗前は駐車禁止 |
♢訂正とおわび 「そば処満る大」さまの記事中に「そばは、こだわりの摩周産そば粉と道産小麦粉を5対5の割合で混ぜ」とありましたのは、「そばは、こだわりの摩周産そば粉などと道産小麦粉を使い」の誤りでした。訂正しておわびいたします。
甘味をいただきながら感じる大正ロマンの息吹 @茶房ひし伊
函館護国神社に向かう坂の麓。黒漆喰の外壁が印象的な土蔵は、1905年(明治38年)に建てられ、82年(昭和57年)から茶房として活用されています。
もともとは質店で、1907年に132日間だけ函館に滞在し、後に函館に関するいくつもの作品を残した歌人石川啄木の妻節子が利用したというエピソードが有名です。
店内には、質蔵そのままの剛健な梁がむき出しになっていて、洋風アンティークなカウンター席とボックス席があります。訪れるお客さんは10代からご高齢の方と幅広く、クラシックが流れる店内で思い思いの時間を過ごすことができます。
コーヒーは函館市宝来町にも店舗を構える高島屋珈琲(北斗市)の豆を使っていて、芯のある苦みが特徴です。甘味にはもちろん、トーストなどにもぴったりです。
また、夏から秋にかけては、季節限定メニュー「自家製珈琲ゼリー バニラアイスをトッピング」も登場します。バニラアイスと、ふるふるとした食感の珈琲ゼリーは相性抜群。レトロな雰囲気の中で味わう甘味に癒されますよ。
▽住所/函館市宝来町9-4 |
▽TEL/0138・27・3300 |
▽営業時間/11時~17時 |
▽定休日/水曜 |
▽駐車場/8台分 |
味噌・醤油をつくり続け80年、函館の味わいを未来の食卓へ @道南食糧工業・直売所
栄町にある函館唯一の味噌と醤油の製造元です。海岸沿いの店舗の近くに来ると、醤油の香りが漂ってきます。屋号の「キッコーカワイチ」を示す「河一」の看板が目を引きます。
1942年(昭和17年)、大縄町で創業。海岸町への移転を経て、64年(昭和39年)に現在地へ移りました。創業当時、函館には10社ほど醸造所があったそうですが、大手の進出により、現在では唯一となっています。味噌は麹から手作りし、醤油は最終工程を手がけているそうです。
入り口には直売所があって、商品を買うことができます。売れ筋2品はこちらです。
1つは、本醸造の濃口醬油がベースの「さしみしょうゆ」。かつおだしがきいた甘口で、サーモンやブリなど、脂ののった魚によくなじみます。360ミリリットル入り(270円)と、使い切りやすい量なのもうれしいです。
もう1つは、「お味噌汁一膳」(400グラム入り、500円)です。カツオと道南産の真昆布のだしをブレンドしてあるので、これだけで味噌汁の味が完成するという優れものです。チューブ状になっていて、使いやすく、保存も便利。親しみやすい甘口です。函館のお土産にいかがでしょうか。
▽住所/函館市栄町2番7号 |
▽TEL/0138・22・2721 |
▽営業時間/8時30分~17時(土曜は15時) |
▽定休日/日曜、第2・4土曜、祝日 |
▽駐車場/2台分 |
▽HP/http://kikkokawa1.com/ |
山﨑編集長のご褒美女子旅 vol.1 美食&街歩き 道南・函館編㊤