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2023.03.01

From北海道新聞

コーヒーと味わう「古き良き時代」*津別珈琲*元農機店の看板残し1年半*移住の樋田さん夫妻*「一瞬一瞬が幸せ」

北海道新聞記事
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喫茶店「cafe 津別珈琲」の前で笑顔で話す樋田繁文さん(左)と妻早苗さん
「ベースはできた。さあこれから何しよう」。店の前で笑顔で話す樋田繁文さん(左)と妻早苗さん

 【津別】町内の空き店舗を改装した喫茶店「cafe 津別珈琲」を切り盛りする樋田繁文さん(60)、早苗さん(59)夫妻は、茨城県から移住して3年、店を始めて1年半がたった。元は農業機械の販売・修理をしていた店舗で、店頭に「新山機械店」の文字をあえて残す。「古き良き時代の雰囲気でおいしいコーヒーが飲める」と来店客に好評だ。

 夫妻は2020年2月に茨城県つくば市から移住した。繁文さんは北見出身で、北見工大卒業後に茨城県内で就職。早苗さんと出会い結婚し、つくば市に住んだ。夫妻そろってコーヒー好きで、カフェを巡ったり、コーヒー好きの人脈をつくったりするうち、自分たちもカフェを開きたいと思うようになった。その頃、繁文さんは親の面倒をみるため道内移住を考えるようになり、北見や周辺で物件を探した。

 津別に決めたのは19年暮れ。町の空き家バンクを通し、店と土地を150万円で購入した。こつこつ改装を続け、総額約1千万円以上かけて21年7月に「津別珈琲」を開店した。

 改装はほとんど夫妻の独力。繁文さんと茨城に住む長男(27)が力仕事で壁をはがし、断熱材を入れた。早苗さんは、こてを手に、壁のしっくいを1人で塗り上げた。コンクリート敷きの床に断熱材を敷いた方が良いとアドバイスされたが「それでは昔の雰囲気が失われる」(繁文さん)と、あえて何もしなかった。

 店の出入り口の雰囲気は昔のまま。外から見ると「ヤンマーディーゼル」「新山機械店」としか書いておらず、一見喫茶店かどうか分からない。「それでいい。いじりたくない」と繁文さん。ただ「何の店か分からない」との客の声もあり、開店1年後「津別珈琲」と手書きした看板を出すようになった。

 移住と同時に新型コロナウイルス禍となったが、経済的な逆風を必死に乗り越え、夫婦共通の趣味としてきたおいしいコーヒーをできるだけ多くの人に味わってほしいとの思いを貫く。早苗さんは「どこまでやれるか不安は常にあるが、今この一瞬一瞬が幸せ」。繁文さんは「やっとカフェというベースができ、さあこれから何をしようかという気分」と話す。  営業時間は午前10時~午後5時。月、火、水曜定休。問い合わせは樋田さん、電話080・6083・7233へ。(青山秀行)

(北海道新聞2023年2月18日掲載)

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