米どころ、酒どころの北海道・旭川市にある酒蔵会社「男山」。そこに酒造りの今の時期だけに蔵元で販売するお酒があります。
「今朝ノ酒」
その名の通り、その日の朝に搾った出来たての生酒で、旭川市民の〝冬の楽しみ酒〟です。4月で販売終了ですので、ぜひ味わってみてください。
江戸の銘酒、伊丹の「男山」を継承
男山のはじまりは、創業者の初代山崎与吉さんが札幌で造り酒屋を始めた1887年(明治20年)です。1899年(明治32年)、旭川まで鉄道が敷かれたのを機に旭川での酒造りを始めます。当時は旭川の中心部で「山崎酒蔵」の名でやっていましたが、1968年に、江戸時代に銘酒として愛飲され、明治初期に廃業した兵庫県伊丹市の蔵元「男山」のれんを継承。現在地に移転、現社名となりました。
大雪山系の万年雪の伏流水を仕込み水に使って酒造りをしています。
搾りたて生原酒「今朝ノ酒」
今朝ノ酒は、お酒造りの最後の行程「上槽(じょうそう)」を行った直後の清酒を桶から取って、瓶詰めした生原酒、冷蔵商品です。
上槽とは、もろみを搾って、お酒と酒かすに分ける行程のことを言います。
通常は、搾ったお酒をタンクに貯蔵し、ブレンドして商品化、出荷します。
なので、今朝ノ酒は、上槽が行われる日にだけ販売され、その日に搾る銘柄によって味わいも価格も変わります。
同じ銘柄の今朝ノ酒でもアルコール度数や酒の質も日によって変わるそうです。
アルコール度数も日によって変わるので、上槽した後に測定して、1枚ずつラベルに手書きで記入しています。
予定通りに行かない場合は、販売できない日もあり、予定していた銘柄も変わることもあるそです。
コロナ禍前は、時期になると毎日販売していましたが、今年は週2~3日、日にちを限定して売り出しています。
この日の銘柄は、普通酒「男山」の生原酒でした。
アルコール度数は21度。搾りたての荒々しさもあり、フレッシュさもあり、です。
その日搾った生原酒を飲めるのは、蔵元がある地域ならではの特権です。
どこで買えるかと言うと男山の敷地内にある「男山酒造り資料舘」の売店コーナーです。
その日によって発売時間は前後しますが、タイミングが良ければラベル貼りをしている作業風景を見ることができます。
午前10時か11時くらいには購入することが可能ですが、事前予約しておくと安心です。団体さんの予約などもあり、この日は200本以上を用意していました。
今年の「今朝ノ酒」の発売予定日は、3月17日、23日、4月7日、18日の4回です。
男山酒造り資料舘
男山酒造り資料舘には、昔の酒造りの道具や、江戸時代初期の寛文年間(1661~73年)に誕生した伊丹の男山に関する資料、世界的コンクールでの受賞歴などを振り返る資料を展示しています。
この時期は、酒造りをしている様子も見ることができます。
入舘料無料です。
売店コーナーには、季節の限定商品や蔵元でしか買えない商品もたくさん並んでいます。試飲コーナーもありますよ。
イチ押しは、1977年に「モンドセレクション」として知られる世界酒類コンクールで日本酒で初めて最高金賞に選ばれた、男山の看板商品で最上級の日本酒「男山純米大吟醸」です。国内は元より、海外での人気も非常い高い、ロングセラー商品です。
最近のオススメは、すし専用日本酒「特別純米つまみつつ」(720ミリリットル入り、1650円)です。
お寿司によく合うお酒をつくるために、北海道鮨商生活衛生同業組合(札幌)と共同開発したお酒です。
約50人の道内のすし店の職人や女将らが監修し、喉越しがよく、スッキリとした味わいで、食中酒にぴったりの味に仕上がっています。
「つ」の文字が、寿司ネタの形をしています。
男山では、常識にとらわれずチャレンジ精神で商品開発を行うプロジェクト「やってみるべ部」を立ち上げ、ユニークな商品開発に取り組んでいます。「つまみつつ」はプロジェクトの第4弾として昨秋に誕生。「道外でも人気で徐々に広まっていってます」とのことです。
また男山酒造り資料舘では、「延命長寿の水」と呼ばれる仕込み水が無料開放されています。1人18リットルまでくむことができますよ。
男山酒造り資料舘 |
▽住所/旭川市永山2の7(国道39号沿い) |
▽営業時間/9時~17時 |
▽TEL/0166・47・7080 |
▽休舘日/年末年始 |
▽入舘料/無料 |
▽HP/https://www.otokoyama.com/ |
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