道産のお酒とそれに合う食べ物を楽しめる「北海道お酒と食のおいしいマルシェ」2日目の7月1日は、薄曇りながら前日までの雨があがってさわやかな天候となり、イベント開始の午前11時から、大勢の人が訪れました。午後2時までの札幌の最高気温は21.2度。「外飲み、外食べ」には暑すぎず、寒すぎずの気持ちの良い天気です。
「ワイン&ジン」「日本酒」コーナー、生産者がお出迎え
ワイン・ジンコーナーと日本酒コーナーにはこの日も、生産者が来場者を待っていました。北見のinfeeld wineryは赤の「樽熟成山幸 2020」(1杯120ミリリットル千円)と「ピノ・ノワール 2019」(同1200円)、白の「シャルドネ 2019」(同千円)を出品。山幸はステンレスタンクで醸造した後、樽で1年間熟成させたもので、醸造責任者の森裕子さんは「山幸の酸味や青っぽい感じがまろやかになり、熟成感が強くなりました」と説明します。このワイナリーは2019年から醸造を始めたばかりで、この年のシャルドネは187本、ピノノワールは148本と生産数も少なく、希少なワインです。
森さんは「北見は特に冬は寒く、気候が厳しいけれど、その中で頑張ってブドウを栽培しています。19年はブドウのできも良く、おいしいものができたと思います」とPRします。
めむろワイナリー(芽室町)からは、醸造責任者の尾原基記さんが来場していました。今回出品しているのは、赤の「かなえる KIKUCHI HIDEKI aged one year 2020」(同1100円)とスパークリングの「よろこぶ 山幸ロゼスパークリング」(同1200円)、シードルの「CIDRE 北海道産リンゴ」(同900円)の3銘柄。
このワイナリーのワインは、町内の6軒の農家が生産したブドウを使ってワインをつくっています。みんなもともと、キャベツや小麦など野菜を生産していた農家です。「かなえる」は、そのうち菊地秀樹さんが育てた清舞でつくりました。ハーブのような香りがあり、ラムなどちょっとくせのある肉料理に合うそうです。菊地さんはゴボウも生産していて、尾原さんは「そのせいか、きんぴらゴボウなどしょうゆを使った料理にも合う」といいます。
「よろこぶ」は山幸を使ったロゼですが、山幸独特のハーブのような香りは抑え気味で、甘酸っぱいさわやかな風味。製造量は246本と少なく、7月20日の発売に先立ち、マルシェでの先行販売となりました。シードルは余市など道内産のふじやジョナゴールドなど9種類のリンゴを使用。2021年に町内で唯一、リンゴを育てている農家から仕入れたリンゴで80本を試作し、2022年に道産リンゴで本格的に製造を始めました。複数の種類のリンゴを使ったためか、複雑でしっかりした辛口に仕上がりました。
日本酒コーナーに移ります。金滴酒造(新十津川町)統括部長の岡村一充さんが蔵の名前を入れたはっぴ姿で出迎えます。「金滴 純米吟醸」と「特別純米酒 新十津川」(いずれも120ミリリットル500円)、「金滴 大吟醸33 さだまさしラベル」(同800円)を紹介してくれました。特別純米酒は新十津川産の酒米「吟風」を使い、お米の味を存分に引き出したうまみのある辛口です。純米吟醸は酒米「彗星」を使い、すっきりしていてさわやかなのどごしのやや辛口。岡村さんは「このお酒は、ワインの評価で有名な『パーカーポイント』の日本酒版で、道内唯一、90点以上の高得点を獲得しています」と胸を張ります。
「さだまさしラベルの説明は、少々長くなります」と岡村さんが前置きをして語り始めました。金滴酒造の純米大吟醸は、精米歩合38%で製造していましたが、洞爺湖サミットで提供され、大ブームになった「獺祭」の精米歩合が33%だったことを受け、吟風を33%まで磨き上げ、雑味のない大吟醸をつくりました。その際、ラベルも特別なものに変えようということになったそう。新十津川町はもともと、奈良県の十津川村からの入植者が開いた町で、今でも十津川村を「母村」と呼び、交流が続いています。さだまさしさんは十津川村の観光大使で、その縁で、新十津川町の応援大使も務めています。ラベルの揮毫をお願いしたところ、引き受けてくれたため、商品名にも「33」と「さだまさし」を入れたというわけです。もちろん、味も逸品。青リンゴのようなフルーティーな華やかな味に仕上がりました。
大雪の蔵(旭川市)はワイングラスで飲むことを想定してつくった「Chateau TAISETSUNOKURA(シャトー大雪の蔵)」シリーズの3本を提供しています。「純米大吟醸 吟風50」と「純米大吟醸 きたしずく50」(いずれも120ミリリットル500円)と「大吟醸 彗星40」(同600円)です。それぞれ原料の酒米が違います。
オエノン北海道支社副支社長の土橋昇さんは「ワイングラスで飲むと香りがより立ち、お酒の入ったグラス部分を手で触らないので、温度が下がらない。びんもワインを意識してつくっています」とおしゃれなエチケットを見せてくれました。
吟風はすっきり、淡麗でフルーティーな味わい。彗星は飲み口が良くて後味にこくがあり、日本酒好きな人におすすめな銘柄です。きたしずくはさっぱりした中にこくもあり、焼きいかや焼きつぶなど会場で販売されているフードにも合いそうです。きたしずくは生産量が少なく、通年販売ではないため、昨年は半年ほどで終売になったとか。「この機会にぜひ」と岡村さん。
独立出店のみなさんも自慢の銘柄をPR
独立してテントを出しているエリアにも行ってみます。ウイスキーを製造している堅展実業の厚岸蒸溜所が出店していました。同社のウイスキーは人気が高く、抽選販売で、道内にいてもなかなか入所しにくく、イベント出店も珍しいので、マルシェは飲んでみる貴重な機会です。次々とお客さんが来ていました。
提供しているのは「牡蠣の子守唄」一択で、ストレート、ロック、ハイボールとも1杯千円。このウイスキーはボトルでの一般販売はしておらず、厚岸町内の飲食店でしか出していない希少なもの。副主任の鐘ケ江賢治さんは「製造している地元の人に、また町内の人には厚岸に来て飲んでほしいという思いで、町内限定にしています。イベントに出ることもほとんどありません」といいます。
今回出品しているのは、3年以上熟成させた原酒をブレンドし、2021年にボトリングしたものです。ストレートは香りが直接感じられますが、ハイボールにすると特にスモーキーさが立ち上がってきます。当然ハイボールの方が度数は低いのですが、薄さはまったくなく、しっかりしたピートの香りと後味の甘さで満足感の高い1杯です。
ドメーヌ・レゾン(中富良野町)も独立出店し、ボトル販売もしています。「中富良野オレンジ2022」(ボトルで2420円)はワイン業界で活躍する日本の女性が審査するワインの国際コンペティション「サクラアワード2023」でゴールドを獲得。シャープな酸味とほのかな果実の甘さがさわやかです。果実をつけ込むオレンジワインならではの豊かな味わいと余韻が特徴的です。薫製工房ハントヴェルク(南幌町)の「十勝ホエー豚ボロニアソーセージ&サルシッチャスライス」(40グラムで500円)と合わせてみます。
目の前で調理、多彩なフードにこの日も行列
函館から出店している太田かまぼこのテントでは、代表取締役の太田寛人さんがはちまきをして、かまぼこを次々と揚げています。一番人気という「函館いかメンチ」(1個350円)は、普通の揚げかまぼことはちょっと様子が違います。イカの入ったかまぼこをメンチカツのように衣を付けてフライにしています。太田さんは「ビールにも、シャンパンにも合うよ」と元気に勧めてくれました。ホタテ天やいか天の丸天かまぼこ(1枚300円)も厚さが2センチほどもあり、ボリューム満点。この3品に「揚げシューマイ」(1串3個付き、300円)を盛り合わせた「函館セット」は1080円とお得です。
常に行列が絶えないのが、室蘭のご当地グルメ「室蘭やきとり」の一平です。もくもくと炭火の煙が立ち上り、食欲をそそります。室蘭やきとりといえば、鶏肉ではなく豚肉。長ネギではなくタマネギを使うのが特徴。さらに、塩ではなく、タレ一択です。このタレは大きな寸胴鍋に入れられており、マルシェのために室蘭から運んできたそうです。室蘭やきとりには欠かせないからしも付いて、4本千円。焼くそばから次々と売れていきます。
カットメロンを販売しているまる福ヤマキチ(札幌)でカラフルでおいしそうなドリンクを見つけました。「生メロンポンチ」(800円)です。大きなカップにカットでも販売している富良野市東山地区産のやまとうメロンの果肉をたっぷり入れて、仁木町産のサクランボを2粒。そこに道民おなじみの炭酸飲料リボンナポリン(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)を注いで出来上がり。赤肉の夕張メロンとナポリンの元気の出るオレンジ色がぴったりマッチ。おいしいお酒やワインをちょっと飲み過ぎてしまっても、これでリセットできそうです。
アンケートへの回答で「水1本」プレゼント
西側には、「水1本プレゼント」と書かれた看板が置かれたテントがあります。会場で食べ物やお酒を購入した人には、各店数量限定でカードを配布しており、そこに書かれているQRコードを読み取って、イベントの感想などについてのアンケートに答えると、ペットボトル入りの水と岩塚製菓のスナック「リゾーノ」がもらえます。カードは数量限定での配布ですが、もらえたらぜひアンケートに回答してください。
「北海道お酒と食のおいしいマルシェ」は7月2日が最終日。午前11時から午後6時まで、ビールやワイン、フードをお楽しみください。問い合わせは運営事務局 電話080・6067・2275
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