【ニセコ、俱知安】糖尿病などの生活習慣病予防に効果があるとされる「キクイモ」を使ったマカロンを、ニセコ町の生産農家と俱知安町の菓子工房が連携して開発した。羊蹄山麓地域でキクイモを本格生産する農家はまだ少ないが、お土産にもなる、地元の食材を生かした新たな商品として注目を集めている。
キクイモは北米原産のキク科の作物。血糖値上昇を抑える効果が期待される食物繊維のイヌリンを豊富に含み、生のままサラダとして食べるほか、お茶やサプリメントなどの原料としても使われている。
材料のキクイモを生産するのは、ニセコ町元町の山内農園3代目、山内洸太さん(28)。健康野菜として注目が高まる中、約4年前に育て始めた。年々収量が増え、昨年は春と秋に計6トンを収穫した。
キクイモはまだ知名度が低いことから、地場産の消費拡大と高付加価値化を図ろうと、同町で地元の特産品を全国に宣伝・販売する「イデアニセコ」の榊原龍弥代表(56)が、加工してお菓子にすることを提案。今年1月から本格的に準備を始め、俱知安町で菓子製造を手がける「ナオバンズ」の本郷奈緒さん(37)にレシピ作りを頼んだ。
本郷さんは試作を繰り返した上で、キクイモとホワイトチョコレートなどを混ぜたクリームを挟んだマカロンを考案した。キクイモは蒸して甘みや風味が引き立つように粗くすりつぶし、「独特のシャリッとした食感も楽しめる」(本郷さん)という。
4月上旬に道の駅ニセコビュープラザで販売を始め、珍しさや見た目のかわらしさでさっそく人気を集めている。山内さんは「農家だけでは加工や普及に限界がある。若い人にも食べてもらえる形になった」と喜ぶ。
本郷さんは「地元の珍しい野菜や果物を使ったお菓子を、これからも生み出していきたい」と、キクイモに続く新たな食材での商品開発も構想している。
マカロンは直径5センチ、高さ2センチほどの大きさで、3個入り1箱880円。道の駅のほか、俱知安町のマルシェゆきだるまなどでも販売する。問い合わせはメールでイデアニセコ(info@idea-niseko.net)へ。(加藤遥花)
(北海道新聞2022年6月15日掲載)
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