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2022.06.30

新たなワイン産地として注目集まる道南エリア ポテンシャルの高さを追い風に挑戦 〈シリーズ企画ワイナリー05/道南エリア〉

Tripeat編集部
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「はこだてわいん」の自社ブドウ
圃場

海外ワイナリーも参入 肥沃な土壌と冷涼な気候

 道南エリアは、海外ワイナリーが初参入するなど新たなワイン産地として注目されている。リンゴなどの果実栽培のノウハウが根付き、観光資源も豊富でワインツーリズムの可能性にも期待が高まる。温暖化の影響で国内外のワイン産地が栽培に苦労する中、冷涼な気候が幸いし、ワイン造りの適地との呼び声も高まっている北海道。肥沃(ひよく)で水はけの良い土壌や風土のある道南を訪ねた。

恵まれた風土のもと 産声を上げた地域創生ワイン/上ノ国ワイナリー

 上ノ国ワイナリー(上ノ国町)は7月、初のワインを売り出す。山梨と上川エリアでの経験がある栽培・醸造担当の東出和喜さんは「風が止むことがない地域なので、春先に大敵の霜が降りることもない。雪が少なく道外と同じ作業量で済む。とても管理しやすい」と栽培地としての優位性を説明する。

上ノ国ワイナリーの外観とワイン樽、ワイナリーの受付カウンター
上ノ国ワイナリー(上ノ国町湯ノ岱243の4)
サテライトオフィスを併設し、ワーキングスペースや宿泊可能な個室、オープンキッチンなどを設置。初ワインの販売開始に合わせてショップも開設する。

 地方創生の一環として雇用創出、定住化対策を目的に、閉校した小学校の校舎をリノベーションしたワイナリーは、サテライトオフィスを併設する。施設を町から受託運営する地域商社「上ノ国開発」の鷲尾善マネジャーは「人が行き来する拠点にすると共に、ワインで上ノ国の知名度を上げていきたい」

 8ヘクタールの畑には、シャルドネやピノ・ノワールを植え、2025年の初収穫を目指す。「飲みやすいワインを造って、ワイン人口を増やしていきたい」と東出さん。若手醸造家の育成もテーマの一つで「ワイナリーをやりたい人が集まって、お互いに学び合える場にできれば」と期待する。

 道南では近年、ワイナリーの新規参入に向け、ワイン用ブドウを栽培する個人や法人が相次ぐ。19年には、フランスで300年続く老舗ワイナリー「ドメーヌ・ド・モンティーユ」が函館進出し、23年に自社ブドウ園でのワイン生産とワイナリー開設を目指す。

新旧多彩なワイナリーがひしめくワイン王国・後志 よりおいしく、魅力的なワインを目指し、心血注ぐ〈シリーズ企画ワイナリー04/後志エリア〉

自社畑ブドウで初ビンテージ 「長年の夢」ついに/はこだてわいん

 道南ワインの先駆けで、1973年創業の「はこだてわいん」(七飯町)は今年、念願の自社畑産のブドウを使った初ビンテージをリリースする。まだ収量が少なく、本格販売は来年以降だが、同社企画室の松田崇さんは「自社畑は長年の夢。手塩にかけたブドウでワインを造っていきたい」と話す。

「はこだてわいん」の施設外観と直売所内部、ワインの製造ライン
はこだてわいん(七飯町上藤城11)
直営店「葡萄館」は、本社工場に隣接する本店と、函館ベイエリアにある西部店があり、無料試飲や限定商品が人気。本店では工場見学(予約制)のほか、名物「ワインソフトクリーム」(300円)が楽しめる。

 七飯町は西洋式農業発祥の地として、明治初期からブドウの試験栽培や果実酒の醸造が行われていた。同社のルーツは、32年に醸造免許を取得し、駒ケ岳近郊で自生するヤマブドウを醸造した小原商店(現・小)。その果実酒類製造部門を独立させる形で、前身の駒ケ岳酒造が設立された。

 当初は近隣でブドウを栽培していたが、収量が増えず、余市の契約農家などからブドウを調達。家庭用から高級ワインまで約80銘柄を揃え、国内のワインコンクールでの受賞歴もある。ただ近年は、国内のワイン需要の高まりで、原料確保に苦労することが増えていた。

 本社からすぐの小高い丘にある1・7ヘクタールの自社畑から、天気が良い日には、新幹線の車両基地や函館山が一望できる。道南のポテンシャルを追い風に、ワインの一大産地を目指して、各ワイナリーが挑戦を始めている。

(TripEat北海道 編集長 山崎真理子)

  • ワイナリー・ヴィンヤードを訪問する際のルール&マナー
    ①無断で農園(ヴィンヤード)に立ち入らないようお願いします
    ②ワイナリー・ヴィンヤードのなかには見学・立ち入りが不可なところや、事前に見学の予約が必要なところもあります。予め電話やホームページで確認ください

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 札幌・大通公園で7月1~3日に開催される「北海道 お酒と食のおいしいマルシェ2022」に出店予定のワイナリーを中心に、道内各地域を計5回にわたって紹介しました。

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