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2024.03.26

「シネマディナー」で映画「そらのレストラン」をイメージした料理を楽しむ~フードフィルムフェスプレイベント

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

シネマディナーで提供された料理
シネマディナーで提供された料理

 北海道の豊かな食と、食の魅力を発信する映像をテーマにした映画祭「北海道フードフィルムフェスティバル」のプレイベントで上映された、せたな町を舞台にした映画「そらのレストラン」(2019年公開、深川栄洋監督)をイメージした料理を味わう「シネマディナー」が3月21日(木)、札幌市中央区のヌーベルプース大倉山で開かれました。主演の俳優大泉洋さんと本上まなみさんもサプライズで登場し、参加者は道産食材を使った料理を味わいながら映画に思いを馳せました。

「北海道の映画祭を世界に発信」 伊藤実行委員長の発声で乾杯

映画「そらのレストラン」をイメージしたメニューが登場しました
映画「そらのレストラン」をイメージしたメニューが登場しました

 ディナー会は、TOHOシネマズすすきので「そらのレストラン」を上演後、場所を移して開催され、約60人が参加しました。「そらのレストラン」は大泉さんが所属する芸能事務所クリエイティブオフィスキューが企画した、食にまつわる映画の〝北海道三部作〟の一つ(ほかの2作は「しあわせのパン」と「ぶどうのなみだ」)。せたな町を舞台に、チーズ作りに挑戦する酪農家と農業を営む仲間たちを描いた作品で、スペイン北部のバスク地方で開かれた第67回サンセバスチャン国際映画祭キュリナリー・シネマ部門で上演され、高い評価を受けました。

ウェルカムドリンクの春色ジントニック
ウェルカムドリンクの春色ジントニック
ノンアルコールの大倉山ブルートニック
ノンアルコールの大倉山ブルートニック

 入り口では、ウェルカムドリンクが配布されました。サントリーのジン「翠(すい)」を使った「春色ジントニック」は、暖かい春の日差しを思わせるサーモンピンク。ノンアルコールは鮮やかな青色の「大倉山ブルートニック」です。

アミューズの牛肉のカルパッチョ(左)とメルバトースト
アミューズの牛肉のカルパッチョ(左)とメルバトースト

 ウェルカムドリンクと一緒に、アミューズも用意されており、到着順にロビーで立食で楽しむことができます。アミューズは、「希少部位牛トンビのカルパッチョ アルパージュ36カ月」と「スカモルツァ メルバトースト」の2品です。牛トンビは肩甲骨に近いミスジの横の赤身肉で、片腕から数キロしかとれない希少部位です。アルパージュは、「そらのレストラン」主演の大泉洋さんにチーズ製造の技術指導をしたチーズ職人の山本博樹さんが作ったもので、36カ月(3年間)熟成させています。

 スカモルツァは、大泉さんが演じた映画の主人公、設楽亘理のモデルとなったせたな町の村上健吾さんが製造。札幌の人気パン店「ブーランジェリーコロン」のパンにチーズをのせ、カリカリに焼き上げてあります。

グラスを掲げ、乾杯の音頭を取るクリエイティブオフィスキューの伊藤社長
グラスを掲げ、乾杯の音頭を取る伊藤社長
0各テーブルでもグラスを掲げて乾杯となった書くテーブル
各テーブルでも乾杯

 北海道フードフィルムフェスティバル実行委員長で、クリエイティブオフィスキューの伊藤亜由美社長の音頭で乾杯です。伊藤社長は、オフィスキュー企画の〝北海道三部作〟1作目の「しあわせのパン」の公開時に、近くのパン店のパンが売り切れたエピソードを披露。「映画を見て食べたくなる衝動、これが大事。だれとどこで、何を食べるかも大事で、それを北海道で実現できるんじゃないかと思いました。映画を見て、土地のものを食べて、おいしいねという感覚をシェアしたい。北海道じゃなきゃできない映画祭を、世界に発信することを目標にスタートしたい」と話し、グラスを掲げました。

 乾杯のアペリティフは、北海道ワインの「トラディショナルメソッド北海道タイプMロゼ」。道産のブドウを使い、伝統的な瓶内二次発酵(トラディショナルメソッド)で醸造したロゼで、軽快な飲み口です。

シネマディナーのテーブルセッティング
シネマディナーのテーブルセッティング
映画にも出てきた大豆のスープ
映画にも出てきた大豆のスープ

 コースのスタートは、大豆のスープです。映画でも、開店したレストランで1品目に大豆のスープがサーブされていました。大泉さん演じる主人公亘理の友人で、自然農法でコメや大豆を作る石村のモデルになったせたな町の富樫一仁さんが生産した大豆を使っています。なめらかで優しい味わいの大豆のスープの中には、丸のままの大豆のフリットが入っており、いいアクセントになっています。上にのったスプーマは、フキノトウの泡で、ほのかな苦みと春の香りがスープにぴったりです。

「風土、自然に手を添えるだけ」 食材の生産者が思い語る

メニューについて説明する荒木シェフ
メニューについて説明する荒木シェフ
映画のモデルになった村上さん(左)と富樫さん
映画のモデルになった村上さん(左)と富樫さん

 会場では、ヌーベルプース大倉山の荒木隆宏シェフが「映画を見て、何ができるか考えてイメージしました。映画では、料理が印象的で、美しかった」と話しました。映画のモデルになったせたな町の生産者の食材を使い、「大豆が本当においしくて、今後も使っていきたい。チーズもすばらしい。こだわりと熱意を感じました」と素材の良さを実感したようです。

 村上さんと富樫さんも登壇。村上さんは「せたな町、北海道の風土、自然そのものに手を添えるだけ。無駄な、余計な力を加えず、特別なことをせずに、そのものを届けたい」と思いを語りました、

 富樫さんは「映画の中で、(亘理一家が食事の前に)『いただきます』というシーン、(亡くなった師匠の作ったチーズを口にした亘理役の)洋さんが『ごちそうさま』というシーンが印象的だった。自然の恵みに感謝して、作っている人に感謝して、その循環が広がっていく。食卓から世界が広がっていくという感じがしました」と映画の感想を述べました。

大泉さんらが考案、荒木シェフがアレンジしたサラダ
大泉さんらが考案、荒木シェフがアレンジしたサラダ

 サラダが運ばれてきました。名付けて「若気の至り~FLOWER GARDEN~」。このサラダは、テレビ局STVの番組「1×8いこうよ!」で大泉さんと同局のアナウンサー木村洋二さんが作ったサラダを、荒木シェフがアレンジ。富樫さんの大豆からつくった竹炭おからを土に見立て、カリフラワーのムースやアスパラ、ラディッシュ、スナップエンドウ、うるい、半熟卵などが彩りよく盛られています。ソースはレモンやスパイスのがほんのり香り、上品な味わいです。

大泉洋さん、本上まなみさんのサプライズ登場に大歓声

サプライズゲストとして、大泉さん(左から2人目)と本上さん(左)が登場し、会場は大盛り上がり
サプライズゲストとして、大泉さん(左から2人目)と本上さん(左)が登場し、会場は大盛り上がり

 サラダがサーブされたところで、サプライズゲストの登場です。大泉さんと本上まなみさんです。会場からは、「キャー」「わー」と大歓声がわき起こりました。登場すると第一声、大泉さんが「いやー、結構前からあそこでスタンバっていたんですよ。サラダ、どうですか。私も食べた。めちゃくちゃおいしい。ただね、私の盛り付けに比べたらパンチはないよね。これは、荒木シェフの課題だよ」と混ぜ返します。大泉さんはさらに、参加者に「食べながらでいいですよ。あ、でも気になりますよね。そうだよね。実際目の前でばくばく食われたら腹立つもんね。私も聞けよ、とか言いそうだからね」ととぼけてみせます。

 映画の公開後に家族でせたな町を訪れた時のことを振り返り、本上さんは「すごく優しく温かく迎えてくれて、帰って来たなと思いました。縁が続いている。仲間っていいなあって思います」と話しました。本上さんがせたな町を訪れた時に、偶然大泉さんも家族を連れてせたな入りしており、村上さんや富樫さんたちも家族ぐるみで楽しんだそうです。大泉さんは「乳しぼり体験もしましたね。娘は子牛に哺乳びんで(ミルクを)あげて、びびってました。かわいい子牛が哺乳びん出したとたんに、人が変わりますからね。いや、牛が変わる」と会場をわかせました。

サクラマスのポワレ
サクラマスのポワレ
魚料理に合わせた山崎ワイナリーのワイン
魚料理に合わせた山崎ワイナリーのワイン

 大泉さんたちが退場した後、魚料理が運ばれます。「〝マーレ旭丸〟せたな沖サクラマスのポワレ 菜の花のリゾット」です。旭丸は、映画にも出てくる亘理の友人の漁師隆史のモデルになった西田たかおさんの船の名前。皮はパリッと、身はふっくらと柔らかいサクラマスの下には、富樫さんのコメとアルパージュ36カ月で作った菜の花のリゾットが敷かれています。リゾットはチーズの香りが濃厚ですが、優しい味わい。上には、ハーブがこんもり盛られ、サクラマスのうまみを引き立てます。

 せっかくなので、ワインを合わせます。ペアリングセットとして、山崎ワイナリーのシャルドネ2022が用意されていました。柑橘系のさわやかな香りがあって、ミネラルが感じられ、サクラマスやハーブ、香りの強いリゾットにもよく合います。山崎ワイナリーは、オフィスキュー企画の〝北海道三部作〟の映画のひとつ「ぶどうのなみだ」のモデルになったワイナリーで、ここのワインがセレクトされていることにも、何か縁を感じます。

メーンの肉料理はマトン 映画に出てくるラムチョップをアレンジ

マトンの炭火焼き。映画ではラムチョップでしたが、荒木シェフがアレンジ
マトンの炭火焼き。映画ではラムチョップでしたが、荒木シェフがアレンジ

 肉料理は「北海道大学よりマトンの炭火焼き せたな産さやあかね」。映画では、ラムチョップのローストが登場しますが、ここではマトン。厚めのカットですが、柔らかい赤身です。一口目で、炭火のいい香りが広がります。下に敷いてあるソースもおいしいのですが、緑色のマスタードのソースが少し酸味があって、マトンに合います。ジャガイモ「さやあかね」のピューレも優しい味わいです。

肉料理に合わせた多田農園のワインと注がれたグラス
肉料理に合わせた多田農園のワイン
ドメーヌ・ブレスの縁と注がれたグラス(中央)と多田農園のメルロが注がれたグラス(右)
ドメーヌ・ブレスの縁。右のグラスは多田農園のメルロ

 ペアリングセットのワインは多田農園のメルロ2021。メルローにしてはやや淡い色合いですが、グラスを顔に近づけなくても、ふわっと香りが立ち上ります。タンニンはそれほど強くはありませんが、メルローらしい、しっかりした味わいと複雑さがあり、マトンを引き立てます。

 ヌーベルプース大倉山を運営する札幌振興公社のレストラン統括支配人で、ソムリエの伊賀智史さんが「グラスワインとして用意している別の赤ワインも試してみませんか」と声をかけてくれたので、お願いしました。ドメーヌ・ブレスの「縁2022」です。先日の仁木町で開かれたワイン会「冬のワインパーティー in NIKI 仮面葡萄会」でもいただき、そのおいしさは経験済みです。まず、そのままで一口。上品なうまみがあり、すうっと体にしみこむうまさ。ところが、マトンと合わせると、マトンの「ヒツジくささ」がぐっと出てしまい、せっかくの縁のうまみが消えてしまいます。単体で飲むとおいしいのに、やはり料理とワインのペアリングは難しくもおもしろいと再認識しました。

デザートは「〝自家製〟函館ミルクのアイスと苺のヴェリーヌ」
デザートの「〝自家製〟函館ミルクのアイスと苺のヴェリーヌ」
コーヒーとラッピングされた小菓子
コーヒーとラッピングされた小菓子

 デザートは「〝自家製〟函館ミルクのアイスと苺のヴェリーヌ」。ヴェリーヌはガラスの器のことで、器の上には飴でふたがされており、ふたをスプーンで崩しながらいただきます。さっぱりとした味わいのミルクアイスの下には、シナモンの香りのマスカルポーネのムース。苺の甘酸っぱさとミントで、あっさりと食べ進みます。

 コーヒーと一緒に、持ち帰り用に小さなカヌレやセサミクッキーなど5つを詰め合わせた小菓子も添えられていました。

映画「そらのレストラン」上映&トーク 大泉洋さん、本上まなみさんが撮影の思い出語る フードフィルムフェスプレイベント
小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

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