サッポロファクトリー内に5月9日(木)、札幌開拓使麦酒醸造所でつくった生ビールを提供するブルワリーパブ「BREWERY1876」がグランドオープンします。同醸造所は、サッポロビールの前身の開拓使麦酒醸造所が1876年(明治9年)にドイツでビール醸造を学んだ日本人によって初めてビールがつくられた歴史を継承し、当時の製法をもとにビールを醸造しており、その生ビールを飲むことのできる希少な場です。
ビールの出荷作業をしていた「札幌開拓使麦酒醸造所賣捌所」だった場所で、グランドオープンは「ゴクゴク(5959)」にちなんで、5月9日。店内の壁際にはカウンター、中央にはテーブルがあり、「ちょっと1杯」を楽しむことができます。スタンディングで10人ほど入ることができるスペースです。以前はこの場所が開拓使ビールの試飲スペースになっていましたが、コロナ禍で2021年に休止。今回、改修してパブとしてオープンします。
メニューは開拓使麦酒の3種。ピルスナーはサッポロビール創業当初のフラッグシップで、当時の味わいを目指して作った象徴的なビール。富良野産の麦芽やホップを一部に使っており、きれのあるのどごしとホップのさわやかな香りが特徴です。アルトはレンガを思わせる赤褐色で、まろやかですっきりした味わい。ヴァイツェンは小麦麦芽を使用し、フルーティーな香りの繊細な飲み口です。
開拓使麦酒は1998年、創業当初の製法をもとに、復刻しました。札幌開拓使麦酒醸造所製造部長の森田進さんは「創業当初の製法が基本ですが、少し苦みを和らげるなど、多少飲みやすくしています」と説明します。
開拓使麦酒の生ビールは、サッポロガーデンパーク(札幌市東区北7条東9丁目)内のサッポロビール博物館スターホールやレストラン「ガーデングリル」など限られた場所でしか提供されていません。びんビールも、同パーク内のミュージアムショップや同パークに隣接する商業施設「アリオ札幌」など、販売しているところは多くはありません。
約500ミリリットルのアルミカップ付き(900円)で、カップは飲み終わると持ち帰ることができます。お店の人にお願いすると、ちゃんと洗って袋に入れてくれます。同じカップでのおかわりは800円。
おつまみとして、柿の種(200円)とジンギスカンジャーキー(400円)、ホタテとイカを使った「ホッティーとチーズイカティー」(300円)も販売しています。
5月下旬には酒類の販売免許を取得して、びん入りの開拓使麦酒(330ミリリットル、620円)の販売も始めるそうです。
煙突広場に面しており、入り口には「札幌開拓使麦酒醸造所賣捌所」の看板が。取材をした日は、隣接する札幌開拓使麦酒醸造所で仕込みをしており、周囲には麦芽とホップの香りが漂っていました。醸造所からは、麦芽とホップを加熱する湯気が盛んに上がっています。仕込みは週2回ほどで、その日に来店すれば、ビール製造の香りや湯気を体感できるかもしれません。
せっかくサッポロビール創業の地に来たからには、札幌のビールの歴史も学びたいところ。実際に開拓使麦酒を醸造している建物は、「見学館」として、歴史やビールについて紹介する展示物が並んでいます。1階には「仕込槽/煮沸釜」「仕込釜」「濾過槽」と、銅色のスチルポットが3つ並び、その奥に、沈殿槽の設備が置かれています。2階の展示スペースから、ポットを眺めることができます。仕込み中なので、湿度と温度が高く、麦芽とホップの香りでむせそうです。
室内には、北海道の開拓の歴史とビール醸造を始めたきっかけ、サッポロビールの歴史などがパネルと映像で紹介されています。北海道の開拓に当たり、農業と新たな産業の勧業の柱になったのがビール造りで、原料の大麦やホップを調達できることや、低温で発酵、熟成させるビール造りに欠かせない氷が豊富に手に入ることが、北海道での創業の決め手になったそうです。
見学館で開拓とビールの歴史を学んだ後に、ブルワリーパブでビールを飲むと、また違った味わいを感じるかもしれません。
住所 | 札幌市中央区北2条東4丁目サッポロファクトリー煙突広場 |
営業時間 | 正午~午後8時(10月~翌3月は午後6時まで) |
定休日 | サッポロファクトリーの営業スケジュールに準ずる |