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2022.07.23

From北海道新聞

〈マチのこだわり味自慢〉やきとり吉田屋=室蘭市*豚肉と合う秘伝のタレ

北海道新聞記事
北海道新聞記事
甘じょっぱいタレがたっぷりと絡んだ室蘭やきとりの盛り合わせ
甘じょっぱいタレがたっぷりと絡んだ室蘭やきとりの盛り合わせ

 豚肉とタマネギ、洋がらしがセットの室蘭やきとり。76年続く老舗の周りは、夜になるとタレが焦げた香ばしいにおいが漂い、多くのファンが足を運ぶ。

 「昔は豚の精肉とシロ(腸)の2種類しかメニューがなかった。1人で30本を平らげるお客さんがざらにいたね」。店を切り盛りする店主の吉田静枝さん(76)は、往時を思い起こしながら語った。

やきとりの焼き台の前に立つやきとり吉田屋の店主の吉田静枝さん
焼き台の前に立つ吉田静枝さん

 吉田屋は1946年創業。静枝さんは創業者の長男、英男さんとの結婚を機に69年から働く。この年、室蘭の人口は過去最多の18万3125人を数えた。店も繁盛し、鉄鋼業で栄えた鉄のマチの労働者の胃袋を満たした。

 創業当初から継ぎ足して使っている秘伝のタレが、一番の売りだ。うまみとまろやかさが特徴。しょうゆや砂糖と「鶏一羽を丸ごと煮込んで取れるだし」を混ぜて作る。「ぶた精肉」(1本160円)は、甘みと柔らかさのある道産のバラ肉を使う。肉と脂身、タレの甘じょっぱさ、洋がらしが絶妙なバランスで、一番人気だ。

 2006年、静枝さんに転機が訪れる。英男さんが不慮の事故で64歳で亡くなった。それまで焼き場は英男さんが担っていたが「生活のために私がやるしかない」と奮起、静枝さんが店全体を切り盛りするようになった。翌年には吉田屋の味を再現したタレの商品化に協力し、今も市内のスーパーや道の駅に並ぶ定番の土産品になっている。

 ぶた精肉のほか、シロや「カシラ(頰肉)」(いずれも1本160円)も人気。馬刺し(900円)や牛すじ煮込み(650円)など約60種のメニューをそろえる。「年齢は関係ない。体が動く限り店をやりたい」。喜寿が近づいても元気いっぱいで、そうした静枝さんの人柄も客に愛されている。(室蘭報道部 古田裕之)

▼所在地 室蘭市中央町2の3
▼電話 0143・23・2948
▼営業時間 午後5~11時
▼取り寄せ 店に電話で申し込む。このほか郵便局の窓口でふるさと小包として取り扱っている
▼定休日 日曜日
▼交通 JR室蘭駅から徒歩3分

(北海道新聞2022年7月22日掲載)

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