北海道ワイン(小樽市)の醸造する道産ワインが、各種コンクールで相次いで入賞している。特に、冷涼な気候に適したドイツ系の品種「ケルナー種」を使った白ワインの評価が高い。赤ワインは熟成方法などに改善点も多いといい、今後のさらなる味の向上に期待ができるという。
1974年創業の同社。「創業以来、後志管内産のケルナー種と付き合ってきて、個性や特徴を把握できるようになってきた」。ケルナーを使ったワイン造りについて、同社の製造責任者の河西由喜さん(48)は手応えをこう話す。
実際、今年5月に英国の「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション」で最高ランクの金賞を受賞したのは、ケルナーを使った「北島ヴィンヤードNo.7(2019年)」だった。道産ブドウで醸造した道産ワインとして初の栄冠という。7月下旬には国内最大規模のワイン品評会で「余市ハーベスト・ケルナー・スペシャルキュヴェ2019」が道産ワインとして唯一金賞を受賞した。これも、ケルナーを使用した白ワイン。どちらも余市町の契約農家が栽培したブドウだった。
今年開かれた、国内最大規模のワイン品評会「日本ワインコンクール」では、入賞した10点のうち、5種が白、赤ワインが3種、ロゼとスパークリングが各1種ずつ。白ワインは販売量も多く、同社は「安定して高品質の商品を生産できるようになってきた」と手応えを得ている。
一方、赤ワイン用品種「ピノ・ノワール」の栽培も各地で盛んになり、ワイナリーも増えだした。ただ、ピノ・ノワールの毎年の出来が定まらず、醸造の難しさもあるという。河西さんは「赤ワインは樽熟成のための木の選び方や熟成期間など、まだ経験を積む必要がある」という。ただ、「課題がある分だけ、おいしくなる可能性がある」と期待も。また、酸味の強いスパークリングワイン向きのブドウ生産も道内で増えており、同社は力を入れていく考えでいる。(石垣総静)
(北海道新聞2022年8月23日掲載)
〈山﨑編集長のワイナリー巡り〉⑧北海道ワイン(小樽)国産生ブドウを貫く