北海道の豊かな食と、食の魅力を発信する映画をテーマにした祭典「HOKKAIDO FOOD FILM FESTIVAL(HFFF、北海道フードフィルムフェスティバル)」2日目の11月23日(土)は、札幌市内の映画館などで食に関する映画を上映したほか、出演俳優や監督らによるトークショーが繰り広げられ、映画にちなんだお土産が提供されるなどしました。その一部をご紹介します。
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撮影の裏話を軽妙に紹介~「探偵はBARにいる」上映会場
TOHOシネマズすすきのでは、午後4時から俳優の大泉洋さんや小雪さんが出演した札幌・ススキノを舞台にした映画「探偵はBARにいる」を上映。この映画は2011年公開で、大泉さん演じる「探偵」が松田龍平さん演じる「高田」とともに、事件に巻き込まれながら真相を探るハードボイルド。小雪さんはススキノの高級クラブオーナー「沙織」を演じています。
上映後、大泉さんと小雪さん、プロデューサーの須藤泰司さんによるトークショーが開かれました。冒頭、大泉さんは13年前の映画を見て「えらい若い『探偵』がいて、びっくりしました。はずかしいような気もして、劇場でまた見てもらえてうれしい」、小雪さんは「13年たってまたお届けできて、お招きいただいて一緒にこの瞬間をシェアできることがうれしい」と話しました。
映画の配役について、大泉さんは「主演が大泉というよく分からないやつで、キャスティングがなかなか決まらなかった。一番に決めてくれたのが小雪さんでした」と明かすと、小雪さんは「縁を感じたし、テンポ感がよくて、ストーリーにも興味をひかれた。大泉さんとも共演したかった」と役を引き受けた理由を説明しました。
この映画はアクションシーンが多いのも特徴。映画冒頭の雪の中でのアクションシーンについて、大泉さんは「何時間もススキノの路地裏で撮影していた。最初は晴れていて、けんかは一瞬のはずなのに、最後には雪が降っていた」といい、須藤さんは「(あのシーンは)深夜2時半までかかりました」と明かしました。
映画の最終盤で、ウェディングドレス姿でアクションシーンを演じた小雪さんは「(血のりの付いていない衣装が)あと1着しかなく、すごく緊張した。段取りを何回もイメージしたのを覚えています。雪の中での(アクションシーンの撮影という)大泉さんたちの苦労も聞いていたので、この作品はみなさんの集大成、思いのもとに運命に導かれてきたのだと思います」と振り返りました。
映画の中では、「探偵」がススキノの喫茶店でモーニングのナポリタンを食べるシーンが何度か出てきます。「探偵はBARにいる」は3部作ですが、大泉さんは「最初のこの映画では、ナポリタンは美術さんがつくったうどんで、おいしくなかった」と暴露。映画に出てくる喫茶店「モンデ」のモデルとなった喫茶「トップ」のナポリタンは、大泉さんもプライベートでも食べるほど大好きだそうで、「2作目、3作目はトップのナポリタンになったけど、1作目はもちゃもちゃしていて、まずそうだった」と話しました。
撮影中の食べ物の思い出として、小雪さんは「北海道の食材は何でもおいしい。撮影中はスープカレーにはまった」と明かしました。大泉さんは「7日間札幌にいて、スープカレーを8回食べたとか。1日に2回食べた日もあったんでしょ」と驚いてみせました。
そんな小雪さんについて、大泉さんは「昨日も一緒に食事をしたが、最後にデザートで出されたアイスクリームに添えられたスプーンを見て、小雪さんが『このスプーン、手で彫られているんですね。冷たいアイスなのにどこかぬくもりを感じますね』って言っていて、そういうところまで目を向けているんだなあって」と関心したそうです。
「TOHOシネマズすすきの」の入るココノススキノについて、大泉さんは「撮影当時はなかった。ロビンソン?ラフィラ?昔はヨークマツザカヤだったんだよ」と驚きを示し、来年1月17日(金)に全国公開される大泉さん主演、須藤さんが企画・プロデュースの映画「室町無頼」がTOHOシネマズすすきのでも上演されることをPRしました。
最後に、大泉さんは「(「探偵はBARにいる」を)久しぶりに見ていただき、うれしかった。HFFFも長く続けていきたいですね」と話し、小雪さんは「食と映画がセットになる時代がやっと来たと感じています。心も体も栄養をいれて、今日は素敵な日だったなっていう文化が続いてくれたらいいなと思います」と思いを託しました。
映画にちなんだ「ナポリタン」提供~シネマディナー
その後、ココノススキノ内のSAPPORO STREAM HOTEL7階の「BAR&GRILL Splish」でシネマディナーが開催されました。映画の喫茶「モンデ」のモデルとなった喫茶店「TOP」のナポリタンなど、映画にちなんだメニューも提供され、約70人が映画の感想を語り合いながら味わいました。
喫茶モンデのナポリタンは、モデルとなったTOPの経営者の娘で、札幌市中央区の人気イタリア料理店「オステリアクロッキオ」のオーナーシェフ児島加奈子さんが、完全再現。中太のスパゲッティに、ピーマンやハム、マッシュルームが入り、太陽色のトマトソースをまとっています。
テーブルには、映画で「探偵」や「高田」が円山動物園でライオンを見ながら食べていた北菓楼の「北海道開拓おかき」のえりも昆布味がセットされ、参加者はお土産に持ち帰るなどしていました。探偵と高田がバー「ケラーオオハタ」で対戦していたオセロにちなんで、片方が黒、裏が白のオセロを模したチーズマカロンも用意されました。
また、HFFFに協賛している日本ハムが開発した「グラフォア」のソテーもテーブルセッティング。グラフォアは鶏レバーを使ってフォアグラを再現したもので、フォアグラはアヒルやガチョウに無理にえさを食べさせる生産方法を問題視する国が増えている一方、鶏レバーは活用仕切れておらず、グラフォアは全国各地のホテルやレストランでも扱いが増えています。会場では、新しい注目食材として紹介されました。
ブッフェ会場には北海道らしいメニューも
そのほかの食事はブッフェ形式で、参加者が好きなものを取り分けます。「伊達・黄金豚のグリル」や「蝦夷鹿のロースト」「豚丼」など、北海道らしいメニューがそろったほか、明治時代の近代化を支えた北海道の石炭・鉄鋼・港湾にちなんだ「炭鉄港めし」として、「夕張カレー蕎麦」や「揚げチャーメンとガタタン餡かけ」なども提供されました。
肉の加工品のシャルキュトリー盛り合わせ、エビチリ、タイカレー、ラザニア、デザートなど、メニューはバリエーション豊かで、参加者は目移りしながら取り分けていました。
乾杯の際には、サプライズゲストとして大泉洋さんと小雪さんが登場。小雪さんは「映画の地に根付いた食べ物、食と時間のコラボを幸せの瞬間として心に刻まれること、私も一緒にシェアしたいと思います」と話し、大泉さんは「ここからの景色もすばらしい。『探偵はBARにいる』パート1ではなかったノルベサも見えます。TOPの味を再現したナポリタンをぜひ味わってください」と会場を盛り上げました。
親子上映会や体験コーナーも楽しく~「DO BOX EAST」
一方、この日、11月1日に移転、オープンした北海道新聞社(札幌市中央区大通東4丁目)1階「DO BOX EAST」では、午前と午後の2回、函館を舞台とした映画「おいしい給食Road to イカメシ」が上映されました。2回の上映で、親子100組、200人が映画を楽しんだほか、お土産にレトルトパックのいかめしが配布されました。
また、会場ではHFFFに協賛した北海道コカコーラがペットボトルの分別方法を紹介。会場では、7秒でペットボトルをラベルとボトル、キャップに分けて分別し、成功すると同社の「天然水いろはす」がプレゼントされる「7秒チャレンジ」も実施され、親子連れが挑戦していました。半分ほどの時間で成功した子どももいて、盛り上がりながらリサイクルについて学んでいました。