うどんより細く、そうめんより太い。乾麺では出せないツルッとした舌触りと、もちもちとした食感に驚く。北見市唯一の製麺会社「ツムラ」の看板商品「生ひやむぎ」(300グラム入り309円)だ。社長の津村健太さん(49)は「冷や麦が『手抜きご飯』から『ごちそう』に変わります」と薦める。
オホーツク産小麦に塩と水を混ぜ合わせ、麺の生地を作る。長年の経験と勘を頼りに、その日の気温や湿度によって水の量を調整する。
1949年、讃岐うどんの本場・香川県から北見市に移住した曽祖父が創業した。津村さんで4代目。ただ、道のりは平たんではなかった。父親が社長だった15年ほど前、売り上げのほとんどを占めていた取引先のスーパーに契約を打ち切られ、経営難に陥った。
会社を救ったのが2009年に売り出した生ひやむぎだ。偶然見た昔の会社の写真に「冷麦製造」の看板文字を見つけた津村さんが、製造をやめていた冷や麦の復活を目指して試作を始めた。
工場に乾麺を作れる設備がなかったため、うどん用の製麺機を使い、麺を細く切って作ってみると、そのおいしさに驚いた。親戚や知人への手売りから始め、徐々に品質の高さが口コミで広がった。その後「生そうめん」や「生パスタ」なども発売した。
工場脇で運営する食堂「TUMUGU Labo(つむぐラボ)」では麺料理が楽しめる。1番人気は、生ひやむぎをぶっかけスタイルで食べる「つむぐセット」(1100円)。とり天(鶏肉の天ぷら)に小鉢、いなりずしも付いてボリューム満点だ。
オホーツク管内なら、どのスーパーにも製品が並ぶ。「全道で手広く商売はしていない。『地元にいつもある』感じがいいんです」と津村さん。取り寄せもできるが、北見で味わいたい逸品だ。(北見報道部 宮脇ふく子)
▼所在地 北見市豊地26の26 |
▼電話 0157・36・3181 |
▼営業時間 「つむぐラボ」の製品販売コーナーは午前10時~午後4時、食事提供は午前11時~午後2時 |
▼取り寄せ 「津村製麺所オンラインショップ」で販売するほか、電話でも受け付ける |
▼定休日 土、日曜日、祝日 |
▼交通 JR北見駅から車で15分 |
(北海道新聞2022年8月26日掲載)
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