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2022.06.03

道産ワインの歴史を刻む大地に吹き込む新たな風 ワインで地域興しを 農業王国の挑戦〈シリーズ企画ワイナリー03/十勝エリア〉

Tripeat編集部
Tripeat編集部
相澤ワイナリーでブドウを点検する関係者と醸造されたワイン3種、相澤ワイナリーの

先進エリア十勝の志を未来へ継ぐ

 池田町で、現存する道内最古のワイナリー「十勝ワイン」が1963年に誕生してから60年近く。道産ワインの歴史を刻む十勝エリアで今、新しい風が吹き始めている。ワイン先進エリアでありながら、果樹栽培が盛んな道央圏などと比べて後続者が現れていなかったが、ワイナリーを核とした観光振興や地域おこしを目指す動きが芽吹いている。

山林を切り開いた畑で育まれる華やかな香り/相澤ワイナリー

 帯広市の相澤ワイナリーは、十勝エリアで56年ぶりの新ワイナリーとして2019年に開設した。「開発で失われる山林と、山ブドウを残したい」。そんな思いから、相澤一郎、理奈夫妻が、不動産業の傍らヤマブドウを栽培していた父から畑を引き継ぎ、始めた。

相澤ワイナリーでのブドウ畑でブドウを点検する関係者と、醸造しているワイン3種類、相澤ワイナリーの外観
相澤ワイナリー(あいざわ農園、帯広市以平町西9線21の1)
オンラインショップで販売。リリースの際は、「エンドユーザーに直接売りたい」と販売会を開催している。

 帯広市、幕別町、大樹町にある計5・5ヘクタールの自社畑は、いずれも山林を切り開いたものだ。圃場の周辺には木を残し、できる限り自然に近い状態の中、農薬も化学肥料も使わず、ブドウを育てる。野生酵母で造るワインには酸化防止剤も必要最低限しか入れないため、「香りがものすごく華やか」(相澤さん)なのが特長だ。

 相澤さんは「自分が成功してモデルケースになれば、他にもワイナリーを始める人が出てくるかもしれない」と期待する。山林はまだまだある。何より、日本中がうらやむ「食」が十勝にはある。「ワインの街になれるポテンシャルはある。そのためにできることは、良いブドウ、良いワインを造ることしかない」

「畑ごと」に醸造される個性豊かな味わい/めむろワイナリー

 雪が少なくブドウの樹の越冬が難しいとされてきた十勝。池田町ブドウ・ブドウ酒研究所(十勝ワイン)は、寒さに強い品種を作るため、寒冷地に自生するヤマブドウとワイン用ブドウの交配を重ねてきた。実に2万種類以上に及ぶ試験で、「山幸」「清舞」など耐寒性品種を開発。道東などに栽培エリア拡大の道を開き、道内各地でのワイナリー誕生を後押しした。

めむろワイナリーの売店でポーズをとる関係者の男女と保管されているワイン樽、めむろワイナリーの外観
めむろワイナリー(芽室町中美生2線44の3、新嵐山スカイパーク運動広場内)
直売店があるほか、醸造所内をガラス越しに見ることができる見学コースもある。オンラインショップでも販売中。

 そんな研究所で約30年醸造に携わり、フランスで学んだ経験もある広瀬秀司さんが相談役を務めるのが芽室町のめむろワイナリーだ。町内の畑作農家らが2020年に町の公民連携事業としてスタートさせた。

 醸造所には生産者ごとに仕込まれた小型のタンクが並ぶ。「畑ごと」に造られる個性豊かなワイン。醸造担当の尾原基記さんは、この小規模ワイナリーだからこそ可能な取り組みを「挑戦」と捉えて昨秋、同研究所から転職した。「ブドウが届いた時点で100%。後はいかにマイナスを減らしていくか、醸造は減点法だと思っている」と、農家ごとの個性を大事にする。

ワイナリー 美しい農村の四季をワインボトルに詰める〈シリーズ企画ワイナリー編02/空知・札幌エリア〉

 豊かな大地が広がる十勝でのブドウ栽培は「反収(10㌃当たりの収量)は低く、農家としては大赤字」という。それでもワイン造りに懸けるのは、芽室の地域振興を目的にしているからだ。

 地元の食卓には、いつもワインが並んでいる―。そんな未来を夢見て。農業王国・十勝の新たな挑戦が始まっている。

(TripEat北海道編集長 山崎真理子)

  • ワイナリー・ヴィンヤードを訪問する際のルール&マナー
    ①無断で農園(ヴィンヤード)に立ち入らないようお願いします
    ②ワイナリー・ヴィンヤードのなかには見学・立ち入りが不可なところや、事前に見学の予約が必要なところもあります。予め電話やホームページで確認ください

 札幌・大通公園で7月1~3日に開催される「北海道 お酒と食のおいしいマルシェ2022」に出店予定のワイナリーを中心に、道内各地域を計5回にわたって紹介します。

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Tripeat編集部
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