道内で近年、急増しているワイナリー。道産ワインの種類も増え、レストランやワイン関係者からの評価も高まっています。それとともに、道産ワインを気軽にグラスで注文できるバーやレストランも増えてきています。各店は道産ワインにぴったりなチーズや海産物を使った料理を用意して、道産品同士のマリアージュも提案しています。「頑張った貴女に贈る 編集長のご褒美女子旅 2023」の札幌編として、ラウンジやレストランで道産ワインを提供している「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」に泊まり、道産ワインを気軽に味わえる飲食店を巡ります。
「アペロ」でお出迎え~ザ ロイヤルパークキャンバス
札幌で道産ワインを楽しむ今回の旅の拠点は、大通公園に面し、2021年10月にオープンした「ザ ロイヤルパークキャンバス札幌大通公園」。11階建ての上層3階が木造で、全国で初めての木材を使った高層ホテルとして話題を集めましたが、実は道産ワインの提供にも力を入れています。1階のレストラン「北海道キュイジーヌ カムイ」では6月から、夕食前に軽くワインや軽食を楽しむ「アペロ」を始めました。最初の1杯はここからです。
アペロは食前酒を意味するフランス語の「アペリティフ」に由来し、夕食前に軽くワインやシャンパンを飲み、語らうフランスの習慣です。日本でいえば、「夕食前に、ちょい飲みする」という感じでしょうか。特にヨーロッパと同じく緯度の高い札幌の夏は、アペロにぴったり。日が長いため、本格的な夜になる前のひとときをアペロで楽しみます。
カムイでは6月から、アペロ専用のメニューを用意(午後3時~5時半)。道産ワインもグラスで楽しめます。取材に伺った日は、「くまコーラ2021 山田堂 ナイアガラ」(1000円)と「ドメーヌ・タカヒコ ヨイチノボリ 2020」(1500円)がグラスで提供されていました。
これに合うフードをみつくろってもらいます。この日は、魚の仕入れが良かったそうで、おまかせ前菜プレート3品(1600円)を「くまコーラ」に合わせます。イカスミのタルト生地を砕いたものの上にのせたさまざまな豆とイカの和え物、ニシンのマリネ、泡状にしたオランデーズソースを添えた函館のアスパラ専門農家ジェットファームのアスパラの3品です。
もう1品はシュークルート(2000円)。日高・アポイ岳のふもとで育ったブランド豚「アポイ豚」を1頭買いし、手作りしたソーセージのグリルと、塩漬けにした豚肉「プティサレ」の煮込みにザワークラウトが添えられています。ボリュームある一皿ですが、これは「ヨイチノボリ」にぴったりです。
カムイの窓からは、街路樹と大通公園の緑が見え、太陽がまだ輝いています。明るいうちからアルコールを口にする背徳感とともに、夏の長い夕刻を存分に楽しみます。
1杯いただいた後は、2階フロントに上がってチェックイン。ラウンジは木の質感が心地よい家具と観葉植物が配置され、落ち着く空間です。日が暮れるとセンターテーブルの上には、バイオエタノールの火がたかれ、炎を見ながらのんびりすることもできます。このテーブル上の暖炉は、アイヌ民族のチセをイメージしているそうです。フロント横のキャンバスラウンジ「コカゲ」でも、「山田堂 ナイアガラスパークリング 2022」などの道産ワインを日替わりでグラス提供(1000円~)しています。
道産材の質感と香りあふれる客室にレコードの音色
部屋は木造建築部分「キャビンフロア」の10階。フロアに到着すると、エレベーターホールで木彫のフクロウが出迎えてくれました。各階ごとに、違った動物の木彫りが置かれているそうです。1003号はツイン。ベッド周りの壁は道産のタモが張られており、ベンチには建築で使われた集成材の端材を使いました。ベッドの上のクッションには、アイヌ文様デザイナーToyToy(トイトイ)さんが監修した刺しゅうが施されています。23平方メートルですが、広々とした印象です。
あら?テレビがありません。その代わりに、木製の四角い箱のようなものと、レコードプレーヤーがあります。木製の四角い箱のようなものは、建築の際に使った道産トドマツの端材の集成材を使ったスピーカー。総支配人の塩川典子さんは「いつでも見られるテレビよりも、ラウンジでのんびりしたり、お部屋でレコードを聴いたりして、非日常を味わっていただきたいとの思いからです」と説明してくれました。レコードは2階フロントの棚にあるものを選んで部屋に持って行けます。
この部屋はバスタブ付きの独立バスルーム。シャワーブースだけの部屋もあります。歯ブラシやシャワータオル、ヘアバンドなどのアメニティーは、環境に配慮してフロント横から必要なもものを自分で持って行くスタイルです。
4階の「レンタルアイテムルーム」には、まくらやアイロン、加除湿器などが備えられ、好みのものを部屋に持ち込めます。ヨガマットもありました。壁に映像を映し出すプロジェクターはフロントで貸し出しています。
焚き火と夜景 アウトドア気分も ルーフトップ
日が暮れかけたころ、ホテル屋上のルーフトップに出てみました。目の前には、ライトアップされたテレビ塔。札幌市民でも、こんなに近くで眺める機会は少ないのではないでしょうか。ルーフトップでは午後3時から午後11時まで、設置された炉でたき火をおこして「焚き火バー」がオープンします。テレビ塔に見下ろされ、火を眺めながら、風に吹かれてビールやワインを楽しむことができます。
フランクフルトやベーコンチーズ串、つくね串(いずれも500円)を自分でたき火であぶって食べることもでき、キャンプの定番、焼きマシュマロ(300円)もあります。予約すれば、ジンギスカン(飲み放題付き5800円から、午後5時~8時)も楽しむことができます。
片隅にはテントも張られ、ランタンの明かりが灯されキャンプ気分も味わえます。たき火を囲んでわいわいと楽しんだり、火を見ながら静かに語らったり。いろいろな楽しみ方ができそうです。
ホテル内には、道内のアーティストの作品を展示しているギャラリーコーナーや、北海道の食やアートをテーマにした本、絵本などを集めたライブラリもあり、飽きずに過ごせそうです。でも、今回の旅は道産ワインを楽しむのが目的。ここから札幌のまちに繰り出します。
住所/札幌市中央区大通西1-12 |
電話/011・208・1555 |
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