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2023.06.23

編集長のご褒美女子旅 2023 vol.1 札幌編④バーでしっとりと 多彩な道産ワインを

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

バーではワインをメインに会話やしっとりとした雰囲気も楽しんで=ばんなちゅ

 「頑張った貴女に贈る 編集長のご褒美旅 2023 札幌編」の最後は、バーを訪れます。バー「owl(アウル)」と自然派ワインの「ばんなちゅ」、ワインバー「ルー」で、しっとりとした雰囲気のなか、ワインをメインに会話や雰囲気も楽しみます。

シンプルに、おいしく、楽しく 創作料理とともに~owl(アウル)

駐車場横の小さな階段を3階まで上ると「owl」です

 国産のお酒にこだわる「owl(アウル)」。 ワインセラーには国産のワインがそろい、道産ワインもグラスでオーダーできます。このほかにも、店内の棚には国産ジンのびんがずらりと並び、日本酒や国産のクラフトビールも充実。フードメニューには「この食材の組み合わせはどんな味」と想像をかき立てられるものも多く、お酒にぴったりの創作料理と一緒に、肩の力を抜いて楽しむことができます。

この日グラスで提供していた道産ワイン

 取材に伺った日にグラスで提供していたのは、「KWtNタイヤマン そらち・レッド 2019」「ドメーヌ・イチ vin Jomon縄文 2021」、「ル・レーヴ・ワイナリー Your Story」「モンガク谷 2021貴婦桧」「タプ・コプ ブランZ2020」「ドメーヌ・モン モンペ2019」「10Rwinary 森2018」「森臥 バッカス 2021」の8種類。グラスワインは1000円からです。

「これでもか」とミモレットを削ってかけた「ホーレン草のお浸しとミモレット」

 フードは創作料理が中心で、どんな味か想像がつきにくいユニークな食材の組み合わせのものもあります。1品目は「ホーレン草のお浸しとミモレット」(1500円)。店主の成田拓哉さんが、しょうゆで味付けしたおひたしの上にミモレットを削っていきます。ちょっとした小山のようになっても、成田さんの手が止まりません。「ちょっと待って、かけ過ぎですよ」と言いたくなるころ、ようやくできあがりました。発酵食品のチーズとしょうゆは相性が良く、薄く削ったミモレットは、かつおぶしのようなうまみがあります。

ピーマンのパリッとした食感が楽しい「カキのオイル漬けとピーマン」(右)

 もう1品の「カキのオイル漬けとピーマン」(1800円)は、パリッと素揚げしたピーマンの上に、半生のオイル漬けのカキをのせ、黒こしょうを振っています。カキは絶妙な火入れ具合でとろりとした食感で、少し苦みのあるピーマンのパリッと感がおもしろい一皿です。「そらち・レッド」と「森」をオーダーし、合わせてみました。

ボトル提供の道産ワインもたくさんあります。希少なものも

 道産ワインのボトル提供もしています。「宮本ヴィンヤード ヴィーニュ・シャンタント ヴォロンテ 2021」「ワインばたけ浦本 taiyo2021」「農楽蔵 ノラ ルージュ 2014」「ドメーヌ・タカヒコ ヨイチノボリ 2015」「kondoヴィンヤード コンコン クヴェヴリ 2018」など、希少なワインがずらり。カジュアルなものなら6000円くらいから、希少なものだと2万円くらいまでです。

国産のお酒のびんがずらりと並ぶ店内

 成田さんは「マリアージュとかペアリングとか、難しいことを考えずに、シンプルにおいしく、楽しくお酒を飲んでほしい。うんちくに頼って頭でお酒を飲むのは楽しくないから」と話します。お店では、「日本酒とワインとジンがだいたい同じ割合で出る」といい、フードもいろいろなお酒に合うおいしいものが用意されています。

住所/札幌市中央区南4条西1丁目 パーキングとわ3階
電話/011・839・3392
営業時間/午後5時~午前0時
定休日/日曜

ナチュラルワインにこだわり 「飲まさる」パンと~ばんなちゅ

「ばんなちゅ」の看板。小さな入り口入ってすぐの階段を上ります

 「ワインしかありません」。ドアにそんな看板が掲げられているのは、「ナチュラルワインバーばんなちゅ」。環境や自然を尊重し、添加物や化学物質を極力減らしたナチュラルワインにこだわっています。国内外のナチュラルワインを15種類ほどそろえ、そのうち4~5種類は道産です。

この日の道産のナチュラルワインのラインナップ

 この日の道産ワインは、「ドメーヌモン ピノノワールAK」や「ドメーヌ・タカヒコ ナナツモリ ピノノワール」「ドメーヌ・アツシ・スズキ パストゥーグラン」「ラン・セッカ 蛙鳴千草(あめいせんそう)」「ル・レーヴ・ワイナリー Your Story」の5種類。仕入れによって、銘柄は変わります。グラスで1000~1500円程度です。

お通しのパン3種と生ハム、ピクルスの盛り合わせ。ボリュームもたっぷり

 お通しは、道産小麦を使う余市町のパン店「ぱん処」のパン3種盛り合わせ(1000円)。かみしめるほどに小麦の味がしっかり感じられる「ワインが飲まさる」パンです。フードはほかに、余市町のシャルキュトリーアカイシの生ハム(1500円)や道産野菜のピクルス(1000円)など。柔らかな塩味の生ハムや、とがった酸味のない、丸みのある味のピクルスは、道産ワインの優しい味にぴったりです。

元雑貨店に居抜きで開店し、1年。おしゃれで落ち着く店内です

 店主の水島誠さんは10年ほど前、フランスの白のナチュラルワイン「レ・ヴァン・コンテ」に出会い、衝撃を受けました。にごりがあり、第一印象は「おいしくない」。硫黄のような還元臭があり、「くさい」とすら思ったと言います。ところが、数日たつと妙にそのワインが気になり、なぜか「また飲みたい」と、ナチュラルワインの魅力にはまっていったそう。

 それでも「ワインはやっぱりフランスでしょ」と思っていた水島さん。道産には目もくれなかったのですが、5~6年前にワインイベントで余市町の「ドメーヌ・タカヒコ」のワインを飲み、2度目の開眼をさせられました。「めちゃくちゃおいしい」。「ブラインドでも100%当たる」というほど、道産ナチュラルワインを飲んだといいます。

「ドメーヌ・モン ピノノワールAK 2020」と「ドメーヌ・タカヒコ ナナツモリ ピノノワール 2019」

 水島さんは「ナチュラルワインは自然の味わいや未完成さがおもしろい。大手醸造メーカーのワインと違って、不安定だが作り込まれていない自然さが魅力」と説明。さらに、土の菌を大切にし、肥料や農薬の使用を低減させるナチュラルワインには、生産者の思いも込められていると言います。道産ナチュラルワインの作り手が増えている今、「グラス1杯から気軽に飲んでほしい」。

住所/札幌市中央区南4条西5丁目5-1 南4西5第2ビル2階
営業時間/午後6時半~(夏は午後6時~)
定休日/日曜・祝日

圧巻の品揃え 100種類のうち道産が50種~ワインバー ルー

グラスで提供するワインは100種類以上と圧巻の品ぞろえ。うち半分が道産ワイン

 バーの壁一面には、幅2・8メートルの冷蔵庫が備えられ、100本以上のワインがずらりと並んでいます。道内には現在、50を超えるワイナリーがあり、ル-では数百に及ぶ銘柄の中から、厳選した50種類をそろえ、グラスで提供しています。

道産ワインの中からおすすめをずらり

 ブドウの品種や産地から選んでもよし、「エチケットが好み」と見た目と直感で選んでもよし。ただ、50種類を超える中から何を選んでいいか迷う人には、店主の池田卓矢さんが相談に乗ってくれます。

「鶴沼ピノ・ブラン」と「ワイナリー夢の森」

 この日は、赤と白の2種類を提案してくれました。「ワイナリー夢の森 2021」は、ピノノワールを使った軽やかで飲みやすい赤ワイン。北海道ワインの「鶴沼ピノ・ブラン 2013」は白の辛口で、日高管内新冠町の新冠ダムの発電所のトンネルで9年間、熟成させたもの。もともとは透明でさっぱりしたワインだったそうですが、湿度や温度などワイン熟成に最適の環境で寝かせたことで、薄く黄色みがかり、味も深みが出ています。ワインは1杯1000~1600円程度。

チャージは道産チーズやパテなど日替わりで

 十勝ワインやふらのワイン、北海道ワインなど半世紀を超えるワイナリーが道産ワインの歴史を牽引し、2000年の規制緩和以降、小規模の生産者が少しずつ増え、道内のあちこちで多種多様なワインが造られるようになりました。日本ワインブームの追い風を受けて、注目されている道産ワイン。ワイナリーが増え、道産ワインに合う道産食材のメニューが提供されるようになり、レストランやオーベルジュができ、観光客が増えてインフラ整備も進む-。池田さんは「ワインは未来の北海道にとって、大切なツール。北海道が世界に名だたる産地になる」と確信しています。

 このほか、池田さんが選んだ10種類のワインを各35グラムずつ楽しめるコース(6500円)もあります。産地やブドウの品種などワインの特徴や違いが分かりやすいものを選定してくれます。

カウンターの奥にはテーブル席もあります

 カバーチャージ(1000円)として、道産チーズ数種類やナッツなどが付きます。この日は、十勝管内大樹町の半田ファームと同管内芽室町のチーズ工房ageのチーズ、札幌市の北一ミートのパテ、アーモンドでした。このほか、パスタやピザなどの軽食メニューもあります。

住所/札幌市中央区南3条西5丁目 三条美松ビル地下1階
電話/011・219・8801
営業時間/ホームページで確認を
定休日/不定休
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小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

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