【奥尻】奥尻ワイナリーは今秋、音響機器メーカーのオンキヨー(大阪)が開発した振動装置を備えたタンクを1基増設し、音楽などを聞かせながら醸造する「振動醸造」を2基体制で行っている。新たに設置したタンクでは奥尻の冬の荒波の音を流しながら人気の白ワインを仕込む。すでに設置されていた1基では昨年同様、モーツァルトの交響曲を聞かせながらメルロー種の赤ワインを醸造する。白ワインの振動醸造は初めてで、愛好家の注目を集めそうだ。
2基目は1基目と同様の4千リットルのステンレスタンクで、オンキヨーの特殊装置12個を装着。今月3日から本年度産の白ワイン用「ピノ・グリ」を仕込み、発酵させながら、今年2月に近くの海岸で録音した波の音を流し続けている。
奥尻ワイナリーは昨秋、オンキヨーと日本旅行北海道(札幌)との共同企画で振動醸造を始めた。1基目のタンクでモーツァルトと波の音を聞かせながら2週間発酵させた赤ワイン「風揺(ふうゆ)139.4,42.1」と、発酵後のワインを1週間熟成させた赤ワイン「メルロー2021 音楽振動熟成」を製造し、いずれも好評だったため、増設を決めた。
2基目のタンクで醸した白ワインは14日ごろにも発酵を終え、熟成などを経て完成する見通し。来年3月以降に催事などで販売する。奥尻ワイナリーの菅川仁常務は「まだまだ未知数の部分があるが、今回は白ワインで挑戦することにした。新たな付加価値を生みたい」と話している。
昨年製造した2本はワイナリーの直売所で販売しているほか、各地のイベントなどでも販売中。問い合わせは日本旅行北海道商事事業部、電話011・208・0153へ。(米林千晴)
(北海道新聞2023年10月14日掲載)
奥尻ワインアイス復活*せたなの生乳使用