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2023.05.31

「自分の店」夢見て「間借り営業」 パン、タルト、コーヒー…札幌市内の3店

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

「Petit kuta」のタルトレット

 お店の営業時間外や休日に、経営者と別の人が場所を借りて営業する「間借り店」。将来、自分の店を出したいと夢を膨らませながら試行錯誤を続ける、札幌市内の女性3人のお店を紹介します。

食感、味わい多彩なパン 早朝から提供
 「朝だけぱんや りすと蜂」

お総菜系も甘いものもそろう「りすと蜂」のパン
「りすと蜂」のパン。お総菜系も甘いものもそろい、ランチにも、おやつにもぴったり

 札幌市内の木村ひとみさんが、お兄さんが経営するラーメン店の開店前の店舗を利用して、朝6時から営業する「朝だけぱんや りすと蜂」は、昨年5月にオープン。早朝営業にもかかわらず、近所の人が「朝ごはん用に角食を」と、通勤前の人が「今日のランチはコッペパンのサンド」と、ひっきりなしに立ち寄ります。営業時間は午前9時半ごろまでですが、その前に売り切れることもあるという人気店です。

「りすと蜂」の季節限定の「桜あんぱん」
季節限定の「桜あんぱん」。夏にはレモンを使ったものなど、種類は時々で変わります

 パンは日替わりで、20種類ほど。「角食」(530円)は道産小麦のはるゆたかとミルクをたっぷり使っており、トーストするとサクサクです。道産牛乳と十勝産小豆を使った「バタートップあずき」(190円)はもっちり、しっとりとした食感。チョコクリーム入りで、上にカカオ味のクッキー生地をメロンパンのようにのせた「ザクザクカカオチョコレートクリーム」(250円)はおやつにぴったりです。「クリームブレッド」(250円)はカスタードクリームをロール状に巻き込み、ふんわりと仕上がっています。カスタードクリームや煮出した紅茶と茶葉を練り込んだ人気のアールグレークリームは手作りです。

ラーメン店経営のお兄さん特製のやきそばをはさんだ「りすと蜂」の「やきそばドッグ」
ラーメン店経営のお兄さん特製のやきそばをはさんだ「やきそばドッグ」
「りすと蜂」の
20種類ほどのパンが並ぶ店内

 やきそばドッグ(210円)は、長さ15センチほどのコッペパンに特製やきそばをあふれるほどはさんでいます。やきそばは、ラーメン店を経営するお兄さんに頼んで、もちもちのめんとチャーシューでドッグ用に特別に作ってもらっているそうです。ドッグはほかに、ハムとポテト(330円)やジャーマンフランク(250円)、タマゴ(210円)などもあり、いずれもボリュームたっぷり。ポテトサラダとベーコンを入れ、チーズとパセリのかかった「ベーコンポテト」(220円)など、お総菜系のパンも充実しています。

「いつか自分の店を」と笑顔で語る「りすと蜂」の木村さん
「いつか自分の店を」と笑顔で語る木村さん

 木村さんは20年ほど前にパン教室に1年ほど通ったのをきっかけに、趣味でパンをつくり続け、子ども3人の成長を機に、開店を決めました。パンは前日夜10時ごろから作り始めます。具だけでなく、パンによって生地が違うので、パターンを変えて10種類以上の生地をこね、発酵させてオーブンで焼いていきます。木村さんは「作っている間は、発酵や焼成の時間を常にカチカチ計算していて、忙しい」そうです。夜中にパンを作り続け、早朝から販売、眠るのは昼という生活。パン店で働いた経験もあり、1人でこれだけの種類を製造するのが厳しいことは想定済みとは言いますが、「思った以上に大変。でも、とっても楽しいんです」と笑顔を見せます。

 ほかのパン店に行って商品を見たり、ウェブで素材を探したりして、週にひとつは新しいパンを作るそうです。春はサクラあんのあんパン、夏になるとレモンを使ったパンなど、季節に合わせたパンも登場します。

お兄さんのお店「かすらーめん百々吉」を借りての営業で、朝だけ出されている「りすと蜂」ののれん
お兄さんのお店「かすらーめん百々吉」を借り、朝だけ「りすと蜂」ののれんを出しています

 店名は、「親しみやすくかわいらしい動物の名前を入れたい」とりすを思い浮かべ、店の住所の「南8条西8丁目」の「8」から連想して蜂を組み合わせたと言います。木村さんは「将来的には間借りではなく、独立して店を出したい。小さくてもいいので、コーヒーを提供してその場で食べてもらい、お客さんが喜ぶ顔を見たい」と語ります。

▽住所/札幌市中央区南8条西8丁目515アーバンライフ1階「かすらーめん百々吉」内
▽営業時間/午前6時~9時半ごろ(売り切れ次第終了)
▽定休日/日曜、月曜
※情報は取材当時のものです。ご利用の際はお店にご確認ください

季節のフルーツ輝くタルトレット
 「Petit kuta」

季節のフルーツを使い、宝石のように輝く「Petit kuta」のタルトレット
季節のフルーツを使い、宝石のようにキラキラ輝くタルトレット

 日曜に札幌市西区のイタリアンで、水曜に同市中央区のカフェで間借り営業してきた「タルトレットのお店 Petit kuta(プティ クタ)」が、中央区の間借りスペースに移転、営業を開始します。小さなタルトと季節のフルーツ、それを引き立てるクリームやソース、ハーブが盛り付けられたお皿は、1枚の絵画のよう。川上寧々さんが1人で切り盛りしています。

「Petit kuta」店内で提供している、ソースやフルーツで飾り付けられたタルトのプレート
店内で提供しているタルトのプレート。ソースやフルーツで飾り付けられています

 「まあるいタルト」と銘打つ通り、タルトの専門店。タルトは「キャラメルとバナナ」や「いちごのモンブラン」「ゆずとムラング(メレンゲ)」など季節によって変わります。新商品の「いちじくとクリームチーズ」は軽い酸味のまろやかなクリームと、とろりとしたイチジクを合わせ、「メロンとブルーベリー」は完熟メロンの甘みとブルーベリーの甘酸っぱさの相性がいいそうです。タルト1つとドリンクで千円、タルト2つとドリンクで1600円。テイクアウトは500円から。

日向夏と煎茶のタルト
日向夏と煎茶のタルト
メロンとブルーベリーのタルト

 薄切りにしたキウイをバラの花のように巻いてタルトの上にのせ、キウイの間にハーブのディルを散らした「キウイとディル」やハーブシロップ漬けにしたミカンをのせた「みかんとスパイス」など、意外な組み合わせも。川上さんは「甘いだけでなく、ちょっと塩味を付けたり、ナッツの食感やハーブの香りを加えることでアクセントにしています」と一工夫しています。「日向夏と煎茶」は、日向夏の白いわたの部分をあえて外側に向けて飾り付け、見た目の美しさだけでなく、わたの苦みやさわやかさという日向夏の特徴を視覚に訴えるようにしています。

甘くない食事用タルトを盛り合わせた「Petit kuta」のプレート
甘くない食事用タルトを盛り合わせたプレート

 数量限定で予約が必要ですが、ランチプレートもあります。甘くない食事用の「セイボリータルト」2つとスープ、サラダ、ドリンク付きで1600円。セイボリータルトはブロッコリーとアンチョビのタルトやかんきつと生ハムのタルトなどです。「小さい頃からケーキ屋さんになるのが夢だった」という川上さんですが、実は「それほど甘い物は好きではなく、ついついお酒のおつまみのようなものにひかれる」そうです。

 間借り営業は、川上さんが働いていた飲食店の店主が挑戦する場所を提供してくれたことをきっかっけに、今年1月からスタート。店名は、フランス語で「小さくてかわいらしい」「愛するもの」という意味の「プティ」と愛犬の名前を組み合わせました。宣伝はなく、インスタグラムでの発信のみですが、SNSや口コミで広まり、数時間で売り切れになることも多いとか。5月下旬から、これまで営業していたレストランやカフェから場所を間貸しスペースに移し、営業を始めます。1~2年以内に自分の店を出すのが目標だそうです。

▽住所/札幌市中央区北1条西27丁目2-15「magaacy sapporo」内
▽営業時間/午前10時~午後3時 
▽営業日/インスタグラム(https://www.instagram.com/petit_kuta/)で確認を
※情報は取材当時のものです。ご利用の際はお店にご確認ください

コーヒー愛あふれる気まぐれカフェ
 「コーヒーヤ タイム」

日替わりで種類の変わる「コーヒーヤ タイム」のコーヒー
日替わりで種類の変わるコーヒー。齊藤さんのおすすめが楽しめます

 札幌の中心部のバーで不定期に開店するのが、「コーヒーヤ タイム」。その日によって違うコーヒー2種類とパウンドケーキなどオリジナルの「おやつ」2~3種類を提供しています。いすのない立ち飲みで、5人ほどでいっぱいになってしまいますが、インスタグラムで知って来店する人が後を絶ちません。

「コーヒーヤ タイム」が提供しているアイスコーヒー
アイスコーヒーもあります
丁寧に1杯ずついらられている「コーヒーヤ タイム」のコーヒー
丁寧に1杯ずつコーヒーをいれる齊藤さん

 店は、コーヒーが大好きで、いつか自分の店を持ちたいと思っていたという齊藤さんが1人で運営。行きつけのバーの店主が昼間の空いている時間を貸してくれることになり、2018年6月から始めました。齊藤さんは「コーヒーは生活の必需品ではないけれど、口にするとほっとして、生活に潤いが出る」と魅力を語ります。

 エチオピアのハルやケニアのキマンディ、バリ島のカラナ、インドネシアのアチェなど、豆の種類は変わりますが、飲み物メニューはコーヒーだけ。「カフェ」の看板にひかれて入ってきたものの、コーヒーになじみがなく「ブラックは飲めない」と言っていた若い人が、「コーヒーを初めておいしいと思った」と言ってくれたことがあったそう。齊藤さんは「うれしかったです。コーヒーは知れば知るほどおもしろい」と話します。

「コーヒーヤ タイム」のこの日のおやつ「金柑と白あんのケーキ」
この日のおやつの「金柑と白あんのケーキ」
手作りの「チャイティーケーキ」
手作りの「チャイティーケーキ」

 コーヒーだけではさみしいからと、手作りの「おやつ」も出します。桜のパウンドケーキやよもぎと3色豆のケーキ、金柑と白あんのケーキ、バナナとクリームチーズのケーキなど、季節やその時々でメニューは変わります。

 実は、齊藤さんは普段、コーヒー店で働いており、休みの日に間借り営業でコーヒー店を出しています。「毎日仕事でコーヒーをいれているけれど、間借りでも自分の店でコーヒーをいれるのが楽しくて仕方がない。自分が出したいものを選んで、自由にできるのがいい」と自分の店への夢を膨らませています。

▽住所/札幌市中央区南3条西1丁目2-1
▽営業時間/午前10時~午後3時
▽営業日/不定
※情報は取材当時のものです。ご利用の際はお店にご確認ください
「発酵食品」でおいしく、健康に スープやドリンク、カレーなど提供 札幌市内のダイニングやキッチンカー3選
小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

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