ヤギが象徴する人間と自然の共存
山梨、長野、山形、北海道―。「ドメーヌレゾン」は、宿泊施設やワイナリーなどを全国で展開するレゾンディレクションがワインの四大生産地の最後の進出地として2019年、中富良野町にオープンした。
ワインボトルに描かれたヤギは、ドメーヌレゾンが目指す人間と自然が共存できる環境でのワイン造り、つまり持続可能な環境循環を意味する「サスティナブル」を象徴している。
ドメーヌレゾンでは、ヤギを飼育し、その排泄物を堆肥にして土に戻した畑でブドウを栽培し、ワイン造りで出たブドウの搾りかすは、乾燥させてヤギの餌にしている。
家族連れが楽しめる直売所とカフェ&レストラン
「突っつきにくいというワインのイメージのハードルを下げたい。ワインが好きになる入り口になれればうれしいし、ドメーヌレゾンのワインがみんなに愛されたらいいなと思います」
松村俊美事業本部長の言葉を体現するような直売店と、カフェ&レストランを併設する。十勝岳連峰を望む美しい環境の中、美味しい食事やスイーツが楽しめるほか、子ヤギへの餌やり体験、試飲付きのワイナリーツアーなど、家族連れで楽しめる施設になっている。
多彩なラインナップ
中富良野町と富良野市に約40ヘクタールの自社畑を持ち、シャルドネやケルナー、ピノ・ブランなどを栽培する。赤、白のほか、スパークリングワイン、オレンジワイン、デザートワインなどワインの種類の多さも魅力の一つになっている。
開設後すぐにコロナ禍となり、観光需要が激減する波乱含みのスタートとなったが、少しずつファンを増やしている。
〈編集長の北海道ワイナリー巡り〉⑥めむろワイナリー(芽室町) 農業人の夢が生んだ「畑ごとのワイン造り」
富良野地方ならではの「爽やか&華やか」を
ドメーヌレゾンのワインについて、山梨の醸造も管理している取締役部長の塩島匠さんは「爽やか&華やか」と表現する。冷涼な富良野エリアで栽培したブドウは、ワインにすると、酸がしっかり効いて、爽やかな味になるという。山梨とは勝手が違う気候に、苦労も多いが「ケルナーや、ソーヴィニヨン・ブランなど北海道ならではの品種を栽培できるのは非常に楽しみです」と新天地でのワイン造りに挑戦する。
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<ドメーヌレゾン>中富良野町東1線北4号。カフェ&レストランを併設する直売所で試飲可能。試飲付きのワイナリーツアー(無料)もあり、HPから申し込むことができる。HPは、ドメーヌレゾン ― やぎとつくるワイナリー (domaine-raison.com)。
北海道にあるワイナリーは53を数え、今やワインの一大産地となっています。地形や気候、積雪量の違いなど、生産者たちは地域ごとのテロワール(風土)を生かし、時には自然と戦いながらブドウの樹を育て、ワイン造りをしています。
人とブドウの生命力が勝ち取った「命の恵み」でもあるワイン-。そんなワインを生み出す北海道のワイナリーを編集長の山﨑が巡ります。
(※記事中の情報は記事公開当時のものです)
〈編集長の北海道ワイナリー巡り〉①最北のワイナリー森臥(名寄市)かがり火を焚きながらブドウを守る
〈編集長の北海道ワイナリー巡り〉④多田農園(上富良野) 今年も芽吹く復活のメルロー