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2023.01.17

〈山﨑編集長のワイナリー巡り〉⑮ボス.アグリ.ワイナリー(北見市)探求心豊かな元酪農家が生み出す多彩なワイン

山﨑真理子
山﨑真理子

 北大水産学部時代に1年間、練習船に乗って遠洋航海に出ていた船乗り。北海道新聞社に入社後は、社会部の警察担当を振り出しに、網走、帯広、釧路など道内各地で勤務。東京勤務時代は政権交代時の民主党の番記者として、鳩山政権誕生を取材した。2022年4月にTripEat北海道を立ち上げ、初代編集長に就任、23年5月から千歳支局長。

ボス.アグリ.ワイナリーの外観

元酪農家の挑戦

 北見市端野町のボス.アグリ.ワイナリー(BOSS.AGRI.WINERY)は、隣接するインフィールドワイナリーに次ぎ、オホーツク管内2番目のワイナリーとして2020年に醸造免許を取得した。ただ、ワイン造りに関してはこちらが先輩だ。

笑顔を見せるボス.アグリ.ワイナリーの深田英明さん
深田英明さん

 酪農家だった深田英明さん(70)が60歳で牧場をたたみ、ブドウ栽培を始めたのは2013年。孫に食べさせたくて生食用ブドウ品種の「キャンベルアーリー」や「ナイアガラ」を植えると、とれ過ぎた。「せっかくだからワインでも造ってみよう」と考えたのがきっかけだ。

収穫が終わった、ボス.アグリ.ワイナリーのブドウ畑
収穫が終わったブドウ畑

「山幸」のポテンシャル

 最初は生食用ブドウが中心だったが、勉強のために訪れた池田町で見た美しいブドウ畑の景観に一目ぼれした。「こんな畑をつくってみたい」と池田町が独自開発した赤ワイン用の「山幸」と「清舞」の栽培も開始。16年に収穫したブドウから委託醸造を始め、ワインを販売している。

ボス.アグリ.ワイナリーの醸造所の建物外観
醸造所

 1・8ヘクタールの畑には、他にも「ピノ・ノワール」や「シャルドネ」などヨーロッパ品種も栽培するが、冬の冷え込みが厳しい北見市端野町の気候では育ちは良くはなく、寒冷地に強い山幸と清舞が主力になっている。

 中でも山幸は「造り方によって味が変わる。ポテンシャルが非常に高い」と話す。

ボス.アグリ.ワイナリーの醸造所内に並ぶ醸造用タンク
醸造所内に並ぶ醸造用タンク

探求心が生み出す多彩なワイン

 雑味を出さないよう、房から茎を取り除く手作業での「除梗(じょこう)」にこだわる。実を陰干ししてから仕込むため、通常の3倍の原料が必要な濃厚な味わいの甘口ワイン「ラストハーベスト」や、収穫を遅らせたブドウで造るアイスワイン「しばれわいん」にも取り組む。

12月に入っても未収穫のまま畑に残るアイスワイン用のブドウ
12月に入っても未収穫のまま畑に残るアイスワイン用のブドウ。実は凍結と乾燥の繰り返しで糖度が増していくという

 並行して、ブドウの房を破砕や除梗せずに丸ごとプレスする全房圧搾を取り入れたり、「香りをできるだけ残したい」とノンフィルターワインにも挑戦している。
 こうした深田さんの飽くなき探求心が生み出したワインの種類は、既に15種類以上に及ぶ。

多くの人に飲んでもらうために

サクラの花が目印になっているボス.アグリ.ワイナリーのワインボトル

 「俺は最低限生活できればいい。それよりなるべく多くの人に飲んでもらいたい」と、ワイン(フルボトル)の価格は2500~3200円と「自分で買える値段」に設定する。ボトルの目印の桜の花は、「ワイナリーをやりたいと思った時が桜の季節だったから」と描いた。「売る努力はあまりしていない」と言うが、有名スーパーからの引き合いも多く、発売すればすぐに完売する人気ぶりだ。

ボス.アグリ.ワイナリーにあるワインショップ外観
ワイナリーにあるワインショップ
ボス.アグリ.ワイナリーのワインショップの店内
ワインショップの店内

 限定商品も販売するワイナリーのワインショップには、景観を楽しみにして訪れる人も多い。深田さんは「まだまだ若葉マークを背負っている身なので、大それた事は言えないけれど、いろいろ教えてもらいながらワインを造って、地元に少しでもワイン文化を広められればいいね」と話す。

たわわにブドウが実る、ボス.アグリ.ワイナリーのブドウ畑
たわわに実るブドウ

◇    ◇    ◇

 北海道にあるワイナリーは50を超え、今やワインの一大産地となっています。地形や気候、積雪量の違いなど、生産者たちは地域ごとのテロワール(風土)を生かし、時には自然と戦いながらブドウの樹を育て、ワイン造りをしています。

 人とブドウの生命力が勝ち取った「命の恵み」でもあるワイン-。

 そんなワインを生み出す北海道のワイナリーを編集長の山﨑が巡ります。

ボス.アグリ.ワイナリー敷地内にある建物

<ボス.アグリ.ワイナリー>
北見市端野町緋牛内793の3
ワインショップを併設する。営業時間は午前8時から午後6時(年中無休)。

〈山﨑編集長のワイナリー巡り〉⑭Infeeld winery(北見市)和牛農家が営むオホーツク初のワイナリー
山﨑真理子
山﨑真理子

 北大水産学部時代に1年間、練習船に乗って遠洋航海に出ていた船乗り。北海道新聞社に入社後は、社会部の警察担当を振り出しに、網走、帯広、釧路など道内各地で勤務。東京勤務時代は政権交代時の民主党の番記者として、鳩山政権誕生を取材した。2022年4月にTripEat北海道を立ち上げ、初代編集長に就任、23年5月から千歳支局長。

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