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2022.08.19

〈山﨑編集長のワイナリー巡り〉⑨NIKI Hills Winery(仁木町)2人の女性醸造家が生み出すエレガントで香り高いワイン

山﨑真理子
山﨑真理子

 北大水産学部時代に1年間、練習船に乗って遠洋航海に出ていた船乗り。北海道新聞社に入社後は、社会部の警察担当を振り出しに、網走、帯広、釧路など道内各地で勤務。東京勤務時代は政権交代時の民主党の番記者として、鳩山政権誕生を取材した。2022年4月にTripEat北海道を立ち上げ、初代編集長に就任、23年5月から千歳支局長。

仁木町旭台の丘の上に建つ「NIKI Hills Winery」
仁木町旭台の丘の上に建つ「NIKI Hills Winery」

美しい景色に魅了されて

 NIKI Hills Winery(ニキ・ヒルズ・ワイナリー)。名前の通り、仁木町旭台の丘の上に建つワイナリーは、広告代理店のオーナーが自社の研修施設用の土地を探している時に、余市湾を見下ろせる美しい景色に魅了され、「ここでワイナリーをやる」と決めたという。

「NIKI Hills Winery」からの余市湾を望む景色
ワイナリーからは、余市湾を見下ろすことができる

 準限界集落だった地域の山林を切り開いて2015年に開設した。現在ワイナリーは33ヘクタールに及び、離農者たちの畑は8ヘクタールの美しいブドウ畑に生まれ変わっている。

2人の女性醸造家が織りなす

 素晴らしいロケーションの中、「エレガントで香り高いワイン」を創り出すのは、太田麻美子さん(38)とウィズリントン真理子さん(30)の2人の醸造家。

「NIKI Hills Winery」の醸造家。右が太田麻美子さん、左がウィズリントン真理子さん
醸造家の太田麻美子さん(右)とウィズリントン真理子さん

 太田さんは東京出身で、畑の開墾などワイナリー立ち上げ時から携わってきた。

 一方、ニュージーランド出身でフランス、米国、イタリアでワイン醸造の経験があるウィズリントンさんは19年から参加。ワイン産地の山梨や長野なども見てまわったが、「どんなブドウがつくれるか、北海道が一番面白いと思った」と仁木町を選んだ。

「NIKI Hills Winery」併設のホテルの宿泊者だけが楽しめるディナー会場内の様子
ホテルの宿泊者だけが楽しめるディナー会場

 太田さんは、降り積もる雪に「本当にブドウ栽培に適しているんだろうか?」と何度も不安になったという。冬に入る前には、ブドウの樹が雪の重みで折れないように寝かせ、春になるとまた起こして、木の杭などにワイヤで固定する。仁木町に来て、道外では必要なかった作業も増えたが、「冷涼な気候から生み出される酸味が欲しくても、引き出せない地域もある。雪がほしくても降らない地域がある。ならば、この環境をプラスに捉えて、ここでしか造れないものを」と思うようになった。

「NIKI Hills Winery」に併設されているレストラン店内の様子
ワインのペアリングが楽しめるレストラン

 栽培するのは、ケルナーやバッカスなど欧州系品種。仁木町の自社畑と余市町の契約農家のブドウで年間3万本を生産し、ゆくゆくは5万本への増産を目指す。
 2人で話し合い、議論しながらのワイン造り。ウィズリントンさんは、時に2人の意見が合わないことを「選択肢が増える。とても楽しい」と笑顔を見せる。そんな2人が生み出すワインについて「最初はフレッシュな果物のような香りを感じる。重すぎなく飲みやすいけれど、奥行きがあって複雑」と表現する。

販売されているワインが並ぶ「NIKI Hills Winery」のワインショップ
ワインショップ
「NIKI Hills Winery」のバーカウンター
バーカウンター

五感を通じて感動を

 ワイナリーが掲げるコンセプトは「五感を通じて感動をお届けしたい。」。総支配人は、世界で初めて南極大陸を犬ぞりで横断した世界的冒険家・舟津圭三氏が務め、広大な敷地には、醸造施設のほか、レストランと宿泊施設、四季折々の花が咲くナチュラルガーデンや広大な森林を抱える。

 仁木町のテロワールを知ってもらうため、マウンテンバイクによるツーリングや、ネイチャートレッキングツアー、ワイナリーツアーなど、多彩な日帰り体験ツアーも用意する。

「NIKI Hills Winery」でのワイナリーツアー
ワイナリーツアー
ゆったりとした坂道が続く「NIKI Hills Winery」の入り口
ワイナリーの入り口。ゆったりとした坂道が続く
〈山﨑編集長のワイナリー巡り〉⑧北海道ワイン(小樽)国産生ブドウを貫く

想像力かき立てるワイン

 「ぜひ来て色々体験して、ワインと料理のマリアージュを心ゆくまで味わっていただきたい。想像力をかき立てるワインなので、きっと飲む人たちの会話が弾んで、盛り上がるはずです」

  理想のワインを目指して、太田さんとウィズリントンさんの2人の醸造家が二人三脚で歩んでいく。

◇    ◇    ◇

 北海道にあるワイナリーは53を数え、今やワインの一大産地となっています。地形や気候、積雪量の違いなど、生産者たちは地域ごとのテロワール(風土)を生かし、時には自然と戦いながらブドウの樹を育て、ワイン造りをしています。

 人とブドウの生命力が勝ち取った「命の恵み」でもあるワイン-。

 そんなワインを生み出す北海道のワイナリーを編集長の山﨑が巡ります。

<NIKI Hills Winery>
仁木町旭台148の1
ホテルとレストランを併設し、ショップでは有料試飲などが楽しめる。ワイナリーツアーのほか、トレッキングなど多彩な日帰り体験ツアーを用意。コロナ禍を配慮し、会員制(登録無料)、事前予約制をとる。詳しくはHP(https://www.nikihills.net/

山﨑真理子
山﨑真理子

 北大水産学部時代に1年間、練習船に乗って遠洋航海に出ていた船乗り。北海道新聞社に入社後は、社会部の警察担当を振り出しに、網走、帯広、釧路など道内各地で勤務。東京勤務時代は政権交代時の民主党の番記者として、鳩山政権誕生を取材した。2022年4月にTripEat北海道を立ち上げ、初代編集長に就任、23年5月から千歳支局長。

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