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2022.09.08

クジラを探しに いざ北海道・根室海峡へ 羅臼から2時間半の船上ウオッチングを楽しむ

Tripeat編集部
Tripeat編集部
国後島を背景に水面上に跳び上がる雄のシャチ
国後島を背景にブリーチする雄のシャチ

 自然豊かな北海道ですが、野生のイルカやクジラを見ることのできる場所は限られています。そんな夢を叶えてくれる場所の1つが北海道の知床半島の南東側に位置する羅臼町です。

 羅臼町から沖合すぐの根室海峡では、春から秋にかけてイルカやクジラといった大型の水生動物や、海鳥を観察することができます。
 条件が整っていると陸上からもその姿を望めることがありますが、せっかくならホエールウォッチングの船上から、野生動物たちの迫力満点な姿を間近に見てはいかがでしょうか? (自然写真家小林誠さんと、その知人の写真で紹介します)

羅臼港から約2時間30分のホエールウォッチングへ

羅臼港を後に、根室海峡へ向かう船の波
羅臼港を後に、根室海峡へ向かう船

 羅臼町には、ホエールウォッチングやバードウオッチングができる観光船事業者が5つあります。いずれも羅臼港発着で、約2時間30分かけてイルカやクジラを探して根室海峡をクルーズします。動き回る生き物を大海原で見つけるのは、そう簡単なことではありませんが、羅臼町では、同業他社はもちろん、地元の漁師さんとも連携。無線で観察情報を共有し合っているおかげもあり、シーズンを通して高い遭遇率を誇っています。

季節ごとに訪れる生き物たち

ハシボソミズナギドリの群れ
ハシボソミズナギドリの群れ

 自然相手なので、「必ず」はありませんが、季節によって観察しやすい生き物はいます。

 春先には、オーストラリアなどの繁殖地からやって来るハシボソミズナギドリの大群が海面に浮かびます。多いときは、万を超える集団を観察できることもあり、音を立て一斉に飛び立ってく光景は圧巻そのものです。

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レプンカムイ(沖の神) シャチ

ポッドと呼ばれる群れを作り回遊するシャチ
ポッドと呼ばれる群れを作り回遊するシャチ

 春先から夏にかけては、アイヌ語で「レプンカムイ(沖の神)」と呼ばれるシャチの観察頻度が高まります。

 野生のシャチをコンスタントに観察できるのは日本ではここ根室海峡くらいとのことで、日本のみならず、海外からの乗船者の姿も多く見られます。

 シャチは家族(ポット)で行動するとされ、複数の家族が根室海峡には集まります。一度にたくさんのシャチの家族が集まる「スーパーポット」も観察されています。

スパイポップと呼ばれる周囲の状況を観察する行動を行うシャチ
スパイポップと呼ばれる行動。周囲の状況を観察しているそう

 シャチが見られるだけでも贅沢な経験なのですが、シャチが周囲を確認する行動とされる「スパイホップ」や、水面上に跳び上がる「ブリーチ」などといった行動も運が良いと観察することができます。

世界の報告は20例 奇跡の白シャチ

 そしてもう1つ、根室海峡に出現して話題になったのが「白いシャチ」です。

世界でも稀な光景といえる白いシャチ2頭が泳ぐ姿
白いシャチ2頭が泳ぐ姿は、世界でも稀な光景といえる(小林夏子さん撮影)

 白色と黒色の配色でお馴染みのシャチですが、全身が白いシャチが2019年と21年に観察されました。21年には2頭同時に確認されています。東海大海洋学部大泉宏教授によると、白いシャチの報告事例は世界でも20例ほど。非常に珍しく、21年のうち1頭は19年と同一個体だそうです。「二度あることは三度ある」のことわざではないですが、「また来遊するかも」と想像するだけでもワクワクしてきます。

噴気を上げながら仲間と一緒に併走するシャチ
噴気を上げながら仲間と一緒に併走するシャチ(小林夏子さん撮影)

 地元の羅臼神社(町栄町)は、シャチと幸をかけて「幸守(しゃちまもり)」と名付けたオリジナルお守りを販売しています。参拝者の要望を受けたもので、シャチと白いシャチが荒波を泳ぐ姿があしらわれています。

仲間と一緒に並んで泳ぐシャチ

秋はマッコウクジラの季節

 夏が陰りを見せ出すとシャチの観察機会は徐々に減っていき、マッコウクジラの季節へと移っていきます。

船のすぐそばに現れたマッコウクジラ。並ぶと体の大きさが伝わる
船のすぐそばに現れたマッコウクジラ。並ぶと体の大きさが伝わる(小林夏子さん撮影)

 主にオスのマッコウクジラが餌を求めて来遊します。狙うは、中深層性の魚類やイカ、タコ。1日の大半を餌を採るための潜水に費やします。
 1回の潜水時間は45-60分。潜水と潜水の間に呼吸のために7分ほど浮上し、呼吸を整えて、また潜水していきます。研究者たちは、この時に見える尾ビレの形や傷の跡を参考に個体識別しているんです。

潜っていくマッコウクジラの大きな尾ビレ
尾ビレを大きく上げて潜っていくマッコウクジラ

 マッコウクジラの研究をしている東京農業大学生物産業学部博士研究員の小林駿氏によると、マッコウクジラは潜水時、クリックスと呼ばれる音を発して障害物や餌の位置を探査しているそうです。ちなみにこれを「エコロケーション」と言います。時には10km以上離れた場所でもその音を聞くことができ、指向性も強いため、仲間同士で相手の位置や餌の情報を共有し合いながら同調して移動できるのではないかと研究者たちは考えているようです。

水中のマッコウクジラ
水中のマッコウクジラ

 凪の日には、仲の良い個体と寄り集まって触れ合ったり、鳴き交わしたり、一緒に休息したりするマッコウクジラの姿を見ることもあります。
 マッコウクジラの姿は10月上旬くらいまで見ることができる年もあるそうです。

しっかり撮影できることは珍しいという海面から見えたマッコウクジラの目
マッコウクジラの目。しっかり撮影できることは珍しいそう(小林夏子さん撮影)

まだまだこんなに珍しい生き物も!

 他にも、まだまだ出会える可能性がある生き物たちを紹介します。

ホッキョククジラ

知床ネイチャークルーズ提供

 日本での観察報告は限りなく少なく珍しい。地球上で最も長生きな生物とも言われるクジラで150年を超える寿命を持つとも。

クロツチクジラ

海面に体を見せながら泳ぐクロツチクジラ
知床・羅臼観光船はまなす提供

 2019年の夏に新種として認定されたクジラ。群れをなして泳ぐ姿が観察されることがある。

ザトウクジラ

海面に見えたザトウクジラの尾びれ
ゴジラ岩観光提供

 まれにだが観察することができる。日本では主に、冬から春にかけての小笠原諸島や沖縄県などの南方で見られることが多い。大型鯨類の中でも大きな胸ビレが特徴的。

アホウドリ

海面の上を飛ぶアホウドリ
廣瀬正人さん撮影

 日本で観察することができる海鳥の中でも最大級の大きさを誇る。飛行機のような長くて細い翼を持ち、飛翔能力にとても優れている。国の特定天然記念物でもある。

 いろいろな生き物と出会える根室海峡に、ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょう?

〈TE旅の提案〉春の北海道をゆったり巡る~ ④釧路・阿寒・根室・知床編

羅臼の観光船事業者

知床・羅臼観光船(http://rausu-cruise.com/wp/
知床ネイチャークルーズ(https://www.e-shiretoko.com
ゴジラ岩観光(https://kamuiwakka.jp
北の知床観光(https://c-ohwashi.com
観光船アルランⅢ世(https://shiretoko.life/
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